5日、東横線・渋谷駅および東京メトロ・表参道駅に池田エライザがモデルを務めるヘアカラーブランド『ULTIST(アルティスト)』の巨大広告が登場した。これは資生堂プロフェッショナルが展開するサロン向け商材で、当然顧客は美容師だ。しかしながら当交通広告は、このあと原宿・新宿・銀座ほか、名古屋や大阪、福岡もジャックするという。そこまでの一般的な認知は無用に思えるプロ向け商材の同ブランドが、ここまで大々的な広告を打ち出す理由とは。同社マーケティング部の鈴石倫之さんに聞いた。
■いまやプロ向け商材でも求められる“知名度”、背景に美容院選ぶユーザーマインドの変化
――東京を皮切りに、全国10ヵ所に駅広告を掲出とは思い切った決断だったのでは。
【鈴石倫之さん/以下同】そうですね。広告のデジタルシフトが主流の中、あえて交通広告を大々的に全国に展開するのは、大きな決断でした。当ブランドとしては、発足からまもなく2年を迎えるこのタイミングで、初めての挑戦です。
――ずばり、その狙いは?
12月って理美容室が一番賑わう季節なんですね。クリスマスや新年に向けて綺麗にしようという意識がとても高まる時期なので、そういうタイミングでサロンに行こう、アルティストで染めようと思っていただけることを目指しました。
――商材のターゲットはサロンや美容師ですよね?
直接的なターゲット層は確かにそうですが、今回打ち出す広告は、エンドユーザーの認知拡大が狙いです。昨今は美容系インフルエンサーやYouTuberの増加などにより、人々の美意識や知識は年々確実に向上しています。それにより、アクセスや価格、知名度でお店を選ぶというよりは、インスタの作品やハッシュタグで検索し、自身の理想に近いヘアカラーやスタイルづくりをされている美容師さんの元に行くという方も増えており、理美容室選びの基準も変化しつつあるようです。
――なるほど。ユーザーのオーダーの仕方にも変化があるのでしょうか?
中には、ものすごく具体的なカラーの指定やスタイルデザイン、使っている商材メーカーにまでこだわる方も増えている印象です。食材にしても、化粧品にしても、製造過程や、作り手の想い、背景にあるストーリーを気にする方って増えていますよね。ヘアサロンにおいてもSNS上での集客が主流となりつつある今、プロ目線の技術やコツを積極的に発信する美容師さんも増えています。中には、今後商材で理美容室を選ぶ人も増えてくるという目論見もあって、今回の広告然り、今後はエンドユーザーのブランド認知拡大は大切なことだと感じています。
■「人とかぶるのは嫌…」消えたトレンドカラー、自分だけの“2wayカラー”が人気上昇
――ブランド発足から約2年、現時点での認知はどのように感じていますか。
当初の予想以上のスピードで、全国の多くの理美容室で採用していただいている印象ですね。弊社では『プリミエンス』というメインのヘアカラーブランドを約10年に亘り展開しているのですが、プリミエンスと同等の導入軒数をアルティストは2年で獲得しています。実際に美容師の方から、「お客さまに『ヘアカラー変えた?』と聞かれた」という声や、シャンプーやブロー後の手触りの違いに驚くお客さまが多いという声も頂いております。
――すでに市場にはサロン向けヘアカラー商材が数多くある中で、美容師の方々はどのような点をポイントに選ばれているのでしょうか。
第一はダメージレスな点だと思います。あとは色の表現力や色彩の幅など、総合的に見て採用していただくサロンが多いのではないでしょうか。アルティストでは、“芯から色づく、美しさ続く。”をメッセージとして、“アジア人の髪のためのヘアカラー”をコンセプトに、美しい発色とツヤのあるトレンドカラーを多様に表現しています。
――これまで、ヘアカラーのトレンドはどのように変化してきたのでしょうか?
’00年代のギャルブーム時にはミルクティーカラーなどのハイトーンカラーが流行し、その後’10年代、AKB48や乃木坂46が人気を博したアイドル全盛期には清楚な印象を与える暗髪や低明度のカラーが主流でした。現在はK-POPや海外アーティストの影響もあり、ブリーチオンカラーやハイトーンカラーを楽しむ人が増えています。
会社員の方でも毛先のみに入れる裾カラーや髪の内側を表面の髪とは異なる色味やトーンで染めるインナーカラーやイヤリングカラーを楽しまれていたり、これまで奇抜だと思われていたようなハイトーンのペール系のピンクやブルーなど、カラフルな色みを楽しむ方も非常に多いですね。出社時は髪を結んでインナーカラー部分が目立たないスタイルに、それ以外は髪をほどいてビビッドカラーを見せるという2wayカラーのニーズも増えました。
――これまでは”安室ちゃん”風茶髪や”あゆ風”金髪、”えびちゃん”OL風巻き髪など、時代によって多くの方が真似するようなファッションアイコンが存在していましたが、現在はどのような傾向があるのでしょうか。
SNSを通じて様々な情報に触れることができるようになった今、若い世代の方々はむしろ“人とかぶるのは嫌”という考えを持っている方が多いように感じます。流行よりも直感で個々に良い、好きだと感じるものを選ぶ傾向にあるので、一概に“これが流行”とは言えなくなってきています。さらに、昨今イエローベース、ブルーベースなどといったパーソナルカラー診断が一般的になりつつありますが、皆さん心の奥底ではやはり自分の好きな色を纏いたいという率直な気持ちをお持ちなのではないかと思います。
■消えぬ“外国人風カラー”への羨望… 日本人の髪質でも透明感出す秘訣は「グレー」
――そんな中でも長年変わらずあるのは、アッシュ系やグレージュ系の”外国人風カラー”のニーズでしょうか。とはいえ理想通りの発色が難しいように感じますが、日本人の髪質で外国人風カラーに寄せるコツはあるのでしょうか。
“外国人風カラー”に憧れる人の多くは欧米の方々の髪を指していると思うのですが、一般的にアジア人は赤褐色のメラニンが多いのに対し、欧米の方は少ない。そのため、日本人が“外国人風カラー”にするためには、メラニン色素を一旦壊して色を入れなければいけないんです。その過程で、どうしても透明感やツヤが失われ、ダメージも与えてしまう。
そこでアルティストは、今のトレンドに合った多彩な色表現を可能にするために、“ニュートラルグレーベース“をひいているんですね。そうすることで、日本人特有の赤みやオレンジをうまく打ち消しながら、透明感をのせる。その上で、ぺールトーンからビビッドな色まで、ダメージに着目しながら様々な色の表現ができるという点が多くの支持をいただいている理由なのではないかと思います。
――デザインカラーや外国人風カラー、ハイトーンカラーまで幅広く選択肢が広がったことで、ニーズが多様化しているんですね。
そのため、コロナ禍は必然的にホームカラーが伸びましたが、外出自粛が明けると、皆さん一気にヘアサロンに戻った感覚があります。閉塞的な世の中で、よりスキンケアに注力したり、ヘアスタイルを変えたりすることで、気分を上げる方が増えたのではないでしょうか。また、在宅勤務や価値観の多様化も後押しして明るい髪色を楽しむことができる方も増え、デザインカラーがブームとなりました。2〜3通りの見せ方ができるデザインカラーや透明感あふれるハイトーンカラーは、やはりプロの美容師さんの確かな技術とアイデア、多彩なヘアカラー剤が不可欠だと考えています。
■いまやプロ向け商材でも求められる“知名度”、背景に美容院選ぶユーザーマインドの変化
――東京を皮切りに、全国10ヵ所に駅広告を掲出とは思い切った決断だったのでは。
【鈴石倫之さん/以下同】そうですね。広告のデジタルシフトが主流の中、あえて交通広告を大々的に全国に展開するのは、大きな決断でした。当ブランドとしては、発足からまもなく2年を迎えるこのタイミングで、初めての挑戦です。
――ずばり、その狙いは?
12月って理美容室が一番賑わう季節なんですね。クリスマスや新年に向けて綺麗にしようという意識がとても高まる時期なので、そういうタイミングでサロンに行こう、アルティストで染めようと思っていただけることを目指しました。
――商材のターゲットはサロンや美容師ですよね?
直接的なターゲット層は確かにそうですが、今回打ち出す広告は、エンドユーザーの認知拡大が狙いです。昨今は美容系インフルエンサーやYouTuberの増加などにより、人々の美意識や知識は年々確実に向上しています。それにより、アクセスや価格、知名度でお店を選ぶというよりは、インスタの作品やハッシュタグで検索し、自身の理想に近いヘアカラーやスタイルづくりをされている美容師さんの元に行くという方も増えており、理美容室選びの基準も変化しつつあるようです。
――なるほど。ユーザーのオーダーの仕方にも変化があるのでしょうか?
中には、ものすごく具体的なカラーの指定やスタイルデザイン、使っている商材メーカーにまでこだわる方も増えている印象です。食材にしても、化粧品にしても、製造過程や、作り手の想い、背景にあるストーリーを気にする方って増えていますよね。ヘアサロンにおいてもSNS上での集客が主流となりつつある今、プロ目線の技術やコツを積極的に発信する美容師さんも増えています。中には、今後商材で理美容室を選ぶ人も増えてくるという目論見もあって、今回の広告然り、今後はエンドユーザーのブランド認知拡大は大切なことだと感じています。
■「人とかぶるのは嫌…」消えたトレンドカラー、自分だけの“2wayカラー”が人気上昇
当初の予想以上のスピードで、全国の多くの理美容室で採用していただいている印象ですね。弊社では『プリミエンス』というメインのヘアカラーブランドを約10年に亘り展開しているのですが、プリミエンスと同等の導入軒数をアルティストは2年で獲得しています。実際に美容師の方から、「お客さまに『ヘアカラー変えた?』と聞かれた」という声や、シャンプーやブロー後の手触りの違いに驚くお客さまが多いという声も頂いております。
――すでに市場にはサロン向けヘアカラー商材が数多くある中で、美容師の方々はどのような点をポイントに選ばれているのでしょうか。
第一はダメージレスな点だと思います。あとは色の表現力や色彩の幅など、総合的に見て採用していただくサロンが多いのではないでしょうか。アルティストでは、“芯から色づく、美しさ続く。”をメッセージとして、“アジア人の髪のためのヘアカラー”をコンセプトに、美しい発色とツヤのあるトレンドカラーを多様に表現しています。
――これまで、ヘアカラーのトレンドはどのように変化してきたのでしょうか?
’00年代のギャルブーム時にはミルクティーカラーなどのハイトーンカラーが流行し、その後’10年代、AKB48や乃木坂46が人気を博したアイドル全盛期には清楚な印象を与える暗髪や低明度のカラーが主流でした。現在はK-POPや海外アーティストの影響もあり、ブリーチオンカラーやハイトーンカラーを楽しむ人が増えています。
会社員の方でも毛先のみに入れる裾カラーや髪の内側を表面の髪とは異なる色味やトーンで染めるインナーカラーやイヤリングカラーを楽しまれていたり、これまで奇抜だと思われていたようなハイトーンのペール系のピンクやブルーなど、カラフルな色みを楽しむ方も非常に多いですね。出社時は髪を結んでインナーカラー部分が目立たないスタイルに、それ以外は髪をほどいてビビッドカラーを見せるという2wayカラーのニーズも増えました。
――これまでは”安室ちゃん”風茶髪や”あゆ風”金髪、”えびちゃん”OL風巻き髪など、時代によって多くの方が真似するようなファッションアイコンが存在していましたが、現在はどのような傾向があるのでしょうか。
SNSを通じて様々な情報に触れることができるようになった今、若い世代の方々はむしろ“人とかぶるのは嫌”という考えを持っている方が多いように感じます。流行よりも直感で個々に良い、好きだと感じるものを選ぶ傾向にあるので、一概に“これが流行”とは言えなくなってきています。さらに、昨今イエローベース、ブルーベースなどといったパーソナルカラー診断が一般的になりつつありますが、皆さん心の奥底ではやはり自分の好きな色を纏いたいという率直な気持ちをお持ちなのではないかと思います。
■消えぬ“外国人風カラー”への羨望… 日本人の髪質でも透明感出す秘訣は「グレー」
――そんな中でも長年変わらずあるのは、アッシュ系やグレージュ系の”外国人風カラー”のニーズでしょうか。とはいえ理想通りの発色が難しいように感じますが、日本人の髪質で外国人風カラーに寄せるコツはあるのでしょうか。
“外国人風カラー”に憧れる人の多くは欧米の方々の髪を指していると思うのですが、一般的にアジア人は赤褐色のメラニンが多いのに対し、欧米の方は少ない。そのため、日本人が“外国人風カラー”にするためには、メラニン色素を一旦壊して色を入れなければいけないんです。その過程で、どうしても透明感やツヤが失われ、ダメージも与えてしまう。
そこでアルティストは、今のトレンドに合った多彩な色表現を可能にするために、“ニュートラルグレーベース“をひいているんですね。そうすることで、日本人特有の赤みやオレンジをうまく打ち消しながら、透明感をのせる。その上で、ぺールトーンからビビッドな色まで、ダメージに着目しながら様々な色の表現ができるという点が多くの支持をいただいている理由なのではないかと思います。
――デザインカラーや外国人風カラー、ハイトーンカラーまで幅広く選択肢が広がったことで、ニーズが多様化しているんですね。
そのため、コロナ禍は必然的にホームカラーが伸びましたが、外出自粛が明けると、皆さん一気にヘアサロンに戻った感覚があります。閉塞的な世の中で、よりスキンケアに注力したり、ヘアスタイルを変えたりすることで、気分を上げる方が増えたのではないでしょうか。また、在宅勤務や価値観の多様化も後押しして明るい髪色を楽しむことができる方も増え、デザインカラーがブームとなりました。2〜3通りの見せ方ができるデザインカラーや透明感あふれるハイトーンカラーは、やはりプロの美容師さんの確かな技術とアイデア、多彩なヘアカラー剤が不可欠だと考えています。
2022/12/06