サザンオールスターズやサカナクション、星野源などが所属するレコード会社・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントは10月より「新人開発」に特化したインターンシップの募集を開始した。大学1年生から3年生・短大生で、長期にわたって参加できる学生が対象となる。「新人開発」と「学生」の組み合わせがどんな相乗効果を生み出すのか。今回の取組みの意図を聞いた。
■音楽業界では珍しい特定の業務に特化したジョブ型インターンシップ
インターンシップとは、学生が就業前に企業などで「就業体験」をする制度のこと。欧米では多くの企業がこの制度を採用しており、国内においても2000年代より徐々に普及を始め、今や多くの学生が複数のインターンシップに参加している。もちろん音楽業界でもインターンシップ制度を取り入れている企業はある。しかし、今回のように「新人開発」など特定の業務に特化したジョブ型の、有償のインターンシップは珍しいという。
「ひと口にインターンシップと言っても、1日の仕事体験から、半年から1年といった長期のものまで、期間はさまざまですし、レクチャーを受けるだけのものから実務体験まで、内容のレンジも幅広いというのが実情です。また、他業界では近年、有償で実務を行うインターシップも増えているようですが、音楽業界ではあまり耳にしたことがありません。そういう意味で、今回の募集は新しい取組みなのです」
そう語るのは、同社人事総務部シニアマネージャーの渡邉雄次氏。新人アーティスト発掘セクションであるADグループから、学生の力を活用した新人開発を行うにあたっての募集要項について相談された際に、「できるだけ成果が具体的に見える業務内容にして、募集をかけたほうがいい」と提案したという。
「誰でもいいから試しにやってみませんかではなく、将来、音楽ビジネスへの就職を希望する人や、音楽ビジネスに興味のある人に、実践的なスキルアップにつながる経験をしてもらったほうが次のステップにつながると考えたからです。少しハードルは上がるので、そのぶんエントリーは限られてしまうかもしれませんが(笑)」
今回の長期インターシップの具体的な業務内容とは、「SNSを中心に新人アーティスト情報やマーケット動向をリサーチし、その成果を週1回、オンラインで社員に報告して意見交換を行う」というもの。絶対的な拘束時間は短く自由度が高いというのも、学生にとっては魅力的な内容になっている。
■新しい才能を発掘して世に広めたい TikTok現役世代の視点で新人開発
ところで今回、「新人開発」に特化したインターシップ制度を取り入れようと考えたきっかけは何であったのか。新人アーティスト発掘部門ADグループ長の長谷川鎮一氏は次のように語る。
「ADグループは日頃よりSNSや動画投稿サイトにアップされる作品や情報、ライブハウスなどのパフォーマンスから才能あるインディペンデントアーティストを発掘して、メジャーデビューまでの開発・育成を行っています。近年、SNSまわりからのヒットが目立っており、そのシーンの新人発掘の強化を行うにあたり、TikTok現役世代の視点が欲しいと考えました。これまでも小規模では同様の取組みを行ってはいましたが、次第にもっと組織的に取り組んだほうがいいのではないかと考えるようになったのがきっかけです」
学生インターンを取りまとめるリーダー(社員)を置き、社員と学生がディスカッションを重ねていく中で方針を決めていくというのが、現時点での長谷川氏の構想だ。そうすることで学生にも仕事への責任感が生まれ、その手ごたえも感じてもらえるのでは、と考えるからだ。そして、そういったやり取りを繰り返すうちに、自然と新人を見つける目も養われ、音楽業界の知識も身につき、やりがいを感じるようになっていくのではないかと期待する。
求める人材に関して尋ねると、TikTokを普段からチェックしている人、と即答。さらに、「何かのジャンルに偏るのではなく、それぞれが得意なジャンルを持っている、そんな多様なインターンが集まってくれたらいいなと思います」と付け加えた。
コロナ禍で、ストリーミングランキング上位にインディペンデントアーティストの楽曲が常時ランクインするようになった。また、無名の新人であっても、TikTokを媒介にして一気にヒットするケースも、今や珍しいものではなくなった。そういった状況を目の当たりにして、新たなヒットを生むチャンスは意外と身近に広がっていることを実感し、“新しい才能を発掘して世に広めたい”、そう考える学生も少なくないようだ。実際のところ、同社の定期採用の際のエントリーシートに、“アーティストを見つけてヒットさせたい”と、新人発掘業務を志望する学生も多いという。
「キュレーターのような活動をしている学生もけっこういて、面接の場で自分の推すアーティストの人気がなかなか広まっていかないことを嘆く人もいます」(渡邉氏)
そういった「新人発掘」に対して関心の高い今の学生のニーズを取り入れた、今回の長期インターシップ。同社では、今回の実施状況を見て他の業務で運用することも視野に入れているという。応募期間は来年3月31日まで。この新たな試みがどんな成果をもたらすのか、今後の展開が楽しみだ。
文・葛城博子
【応募概要】
応募受付期間:2022年10月3日(月)〜2023年3月31日(金)23:59
応募資格:大学1年生〜3年生・短大生
契約開始日:2022年11月1日
■音楽業界では珍しい特定の業務に特化したジョブ型インターンシップ
インターンシップとは、学生が就業前に企業などで「就業体験」をする制度のこと。欧米では多くの企業がこの制度を採用しており、国内においても2000年代より徐々に普及を始め、今や多くの学生が複数のインターンシップに参加している。もちろん音楽業界でもインターンシップ制度を取り入れている企業はある。しかし、今回のように「新人開発」など特定の業務に特化したジョブ型の、有償のインターンシップは珍しいという。
「ひと口にインターンシップと言っても、1日の仕事体験から、半年から1年といった長期のものまで、期間はさまざまですし、レクチャーを受けるだけのものから実務体験まで、内容のレンジも幅広いというのが実情です。また、他業界では近年、有償で実務を行うインターシップも増えているようですが、音楽業界ではあまり耳にしたことがありません。そういう意味で、今回の募集は新しい取組みなのです」
そう語るのは、同社人事総務部シニアマネージャーの渡邉雄次氏。新人アーティスト発掘セクションであるADグループから、学生の力を活用した新人開発を行うにあたっての募集要項について相談された際に、「できるだけ成果が具体的に見える業務内容にして、募集をかけたほうがいい」と提案したという。
「誰でもいいから試しにやってみませんかではなく、将来、音楽ビジネスへの就職を希望する人や、音楽ビジネスに興味のある人に、実践的なスキルアップにつながる経験をしてもらったほうが次のステップにつながると考えたからです。少しハードルは上がるので、そのぶんエントリーは限られてしまうかもしれませんが(笑)」
今回の長期インターシップの具体的な業務内容とは、「SNSを中心に新人アーティスト情報やマーケット動向をリサーチし、その成果を週1回、オンラインで社員に報告して意見交換を行う」というもの。絶対的な拘束時間は短く自由度が高いというのも、学生にとっては魅力的な内容になっている。
■新しい才能を発掘して世に広めたい TikTok現役世代の視点で新人開発
ところで今回、「新人開発」に特化したインターシップ制度を取り入れようと考えたきっかけは何であったのか。新人アーティスト発掘部門ADグループ長の長谷川鎮一氏は次のように語る。
学生インターンを取りまとめるリーダー(社員)を置き、社員と学生がディスカッションを重ねていく中で方針を決めていくというのが、現時点での長谷川氏の構想だ。そうすることで学生にも仕事への責任感が生まれ、その手ごたえも感じてもらえるのでは、と考えるからだ。そして、そういったやり取りを繰り返すうちに、自然と新人を見つける目も養われ、音楽業界の知識も身につき、やりがいを感じるようになっていくのではないかと期待する。
求める人材に関して尋ねると、TikTokを普段からチェックしている人、と即答。さらに、「何かのジャンルに偏るのではなく、それぞれが得意なジャンルを持っている、そんな多様なインターンが集まってくれたらいいなと思います」と付け加えた。
コロナ禍で、ストリーミングランキング上位にインディペンデントアーティストの楽曲が常時ランクインするようになった。また、無名の新人であっても、TikTokを媒介にして一気にヒットするケースも、今や珍しいものではなくなった。そういった状況を目の当たりにして、新たなヒットを生むチャンスは意外と身近に広がっていることを実感し、“新しい才能を発掘して世に広めたい”、そう考える学生も少なくないようだ。実際のところ、同社の定期採用の際のエントリーシートに、“アーティストを見つけてヒットさせたい”と、新人発掘業務を志望する学生も多いという。
「キュレーターのような活動をしている学生もけっこういて、面接の場で自分の推すアーティストの人気がなかなか広まっていかないことを嘆く人もいます」(渡邉氏)
そういった「新人発掘」に対して関心の高い今の学生のニーズを取り入れた、今回の長期インターシップ。同社では、今回の実施状況を見て他の業務で運用することも視野に入れているという。応募期間は来年3月31日まで。この新たな試みがどんな成果をもたらすのか、今後の展開が楽しみだ。
文・葛城博子
【応募概要】
応募受付期間:2022年10月3日(月)〜2023年3月31日(金)23:59
応募資格:大学1年生〜3年生・短大生
契約開始日:2022年11月1日
2022/10/31



