歌舞伎俳優の松本白鸚（80）が、令和4年度文化勲章を受章することが25日、明らかになり、取材会に参加。受章にあたり心境を語った。

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　白鸚は「この度は身にあたる栄誉をいただきましてびっくりしました。大変うれしく思いますありがとうございました」とあいさつ。「この栄誉は私ひとりではできないことですので、お礼を申し上げたいと思います」と切り出し「松竹株式会社並びに東宝株式会社、この両会社には、私はお礼の言葉もございません。ありがとうございました。それから、裏方さん、本当によくやってくれました。衣装さん、小道具さん、大道具さん、照明さん。それから共演してくださった諸先輩、大先輩に感謝したいと思います。宝物をくれました」と謝意を表した。

　「同輩には、舞台の上で火花を散らせてもらいました。芸を切磋琢磨いたしました。後輩たちもたくさん育ってまいりまして、若手一門の者に将来の歌舞伎を託してきたいと思います。そのほか友人とか家族の者もいつも応援してくださいました。そして、何よりも劇場に足を運びくださいました皆さま本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。続けて「役者の芸しかない男でございました。それ以外のことを全部やってくれた家内がいました。よく高麗屋の女房になってくれました。感謝をしております」と深々お辞儀した。

　受章の知らせを受けて「自分の人生を振り返って、楽しいこと、うれしいことだけでなく、苦しいこと辛いこともいっぱいあったな〜という思いです」と心境を吐露。「役者は一生が修行、ひとつひとつが勝負だと思います。たとえ体の調子が悪かろうと今日こそはもっといい舞台をという思いできました」と役者生活を振り返った。

　今後の目標については「お客様に喜んでいただけるようなお芝居を死ぬまで続けていきたいです」と力を込めた。「目標がかなうか、かなわないかわからないけども、自分では役者というものはそういうものだと思っております。たかが芝居されど芝居で、やっている方は死に物狂いでやっています。ですが、死に物狂いを見せず、あの役者は芝居をやっているときは楽しくて仕方がないんだなという風に思っていただけたら」と理想の“役者姿”について熱弁した。

　白鸚は、1942年8月19日生まれ。東京都出身。46年5月東京劇場『助六』の外郎売の倅で二代目松本金太郎を名乗り初舞台。49年に六代目・市川染五郎、81年に九代目・松本幸四郎、2018年に二代目・松本白鸚を襲名。『勧進帳』の弁慶、『寺子屋』の松王丸など、数多くの演目をこなし、映画・歌・ドラマ・ミュージカルと幅広いジャンルで活躍する。1979年度日本芸術院賞、2005年紫綬褒章、12年文化功労章などをはじめ受賞多数。長男は、歌舞伎役者・俳優の松本幸四郎（十代目）。長女は俳優の松本紀保、次女は松たか子。孫は、歌舞伎役者の市川染五郎（八代目）。