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「なんで妹にだけ…」“きょうだい児”だった私が「母の愛情は平等ではなかった」と感じた日

 近年、支援の必要性が指摘されている『きょうだい児』。自分の兄弟姉妹に障がいや難病がある人を指し、自身は健常者でありながらも、兄弟姉妹の世話や親に甘えられないなど、周囲からは見えにくい“生きづらさ”を抱えていることが多い。主婦のはちみつこさん(@hachi_mitsu89)もそのひとりだ。30代になって自身が『きょうだい児』と呼ばれる存在だったことを知り、妹“ふみちゃん”との日々をSNSで公開した。

妹の入院で母と離れて暮らしていたはちみつこさん。母と妹が戻ってきた時期は安堵から泣きながら寝ていたという。『妹の話 きょうだい児の私が思うこと』(はちみつこ/hachi_mitsu89)より

妹の入院で母と離れて暮らしていたはちみつこさん。母と妹が戻ってきた時期は安堵から泣きながら寝ていたという。『妹の話 きょうだい児の私が思うこと』(はちみつこ/hachi_mitsu89)より

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■祖母との生活に「とても孤独でした。ストレスで夜泣き、チック、夢遊病も」

 はちみつこさんの2歳下の妹“ふみちゃん”は、先天性の難病「ターナー症候群」を抱えている。4歳で手術をするまで、通院は家族総出の行事になっていた。

「月に1度、車で5時間かけて大学病院に妹の診察のため通わなければならず、私自身車酔いがあったので毎回すごくしんどかったのを覚えています」

 ふみちゃんを中心に回る生活の中で、精神的に不安定になった時期もあった。4歳の手術の時だ。母親とふみちゃんは大学病院に1ヵ月間入院することになり、小学1年生のはちみつこさんは、父方の祖母の家で暮らすことになった。祖母は慣れない孫との生活に苛立ち、はちみつこさんの目の前で父親に文句を言った。

「とても孤独でした。父も仕事でほとんど不在だったので。ストレスで夜泣き、チック、夢遊病が出てました」

 母親とふみちゃんが戻り、再び家族との暮らしが始まっても、今度は母のいる安堵と嬉しさから、泣いて眠ることが多かったと振り返る。しかしながら、そんなふみちゃんとの生活について、嫌な感情はなかったという。

「しんどかったけどそれが当たり前でしたし、“ふみちゃんは病気だから仕方ない”と、純粋にそれだけでした」

 『きょうだい児』は心身に負担があっても、本人すらそのストレスに気がつかないことがある。それによって周囲にも“生きづらさ”が見えにくく、社会的に見過ごされてきた。はちみつこさんが『きょうだい児』としての違和感を感じたのも社会人になってからだ。

■「少しずつ広がっている支援の場を、どうかたくさん利用して」

 妹ふみちゃんの病気は、適切な治療を行えば命に関わるような重篤な症状は発症しないという。病気の特徴として、低身長で太りやすく、基礎疾患があるので普段から薬を服用しないと、糖尿病や高血圧など様々なリスクがあるものの、4歳での手術以降は大病もせず成長した。

「基本的に温和な性格ですが、超絶マイぺース、部屋は汚い、空気読めない、会話も続かない…という特性のある“ちょっと変わった子”でした。でも頭は非常に良かった。おそらく知的障がいこそないものの発達障がいのある子なんだと思います。母は今も頑なに『ふみちゃんはこういう子だから、こういう性格だから』と認めないですが(笑)」

 そんな“ちょっと変わった”ふみちゃんに対し、思春期以降、どこか複雑な感情を抱きながらも、少し距離を置くことで気持ちのバランスをとっていたという。ところが、心のバランスは突然崩れた。

「母は妹が就職する際、『心配だから』という理由で職場近くの新築マンションに住まわせ、家賃や光熱費などを全面的にサポートしていました。一方で当時の私は保育士としての給料がまだまだ低い中、築20年のアパートに住んで自力で生活していたので、『何で私だけこんなに大変なの?』『何でふみちゃんには甘いの?』という納得できない思いが怒りのように湧いてきました」

 心の奥にしまっていた感情があふれた。

「これまで平等だと思っていた母の愛情が、ふみちゃんの方に多く注がれているんだと思いました」

 さらに追い打ちをかけるような出来事が続いた。“ちょっと変わった”ふみちゃんは、数ヵ月で就職先をクビになり、心配した母親ははちみつこさんにふみちゃんとの同居を提案した。料理も掃除も苦手なふみちゃん。一緒に暮らせば、働きながらサポートもしなければいけない。悩んだ末、母親の提案を断った。

その後、ふみちゃんは母親の支援を受けながら3年間就職活動を続け、障がい者枠で仕事に就いた。現在も元気に働いているという。当時、可愛い妹を突き放す罪悪感はあったものの、それ以上にふみちゃんや、大好きな母に腹が立ってしまう自分が嫌だったと話すはちみつこさん。離れて暮らす間に、結婚出産を経験し、2児の母になった。

「母は“母親としてできる精一杯のことをしてあげたい”と思っていたんだと思います。今まで理解できなかったその気持ちに、今は少しだけ寄り添えるようになったと思います」

 一方で、『きょうだい児』として悩む当事者には「背負わなくていい」とアドバイスする。

「私自身、ふと将来のことを考えて『ゆくゆくは妹の面倒を見なければいけないのかな』という漠然とした不安を感じたことはありました。でも、今言えるのは、“背負わなくていい”んだということ。『きょうだい児だからこうあるべきだ』『きょうだい児だからこうしなきゃいけない』という考えに縛られることもあると思いますが、私は、『ここまでならできるから、こうしよう』と一定の線を引くことで、すごく気持ちが軽くなりました。妹とちょうど良い距離を保つことで、今とても良い関係を築けています」

 広がりつつある支援の場の積極的な利用も呼び掛ける。

「様々な『きょうだい児』の形があると思います。どうしても切っても切り離せない環境に身を置かれる方もいると思います。親よりも兄弟の方が長い年月を共にすることになります。今現在少しずつ広がっている支援の場を、どうかたくさん利用して、1人で悩まないで欲しいです」

 ふみちゃんとの日々、現在の関係を描いた漫画『妹の話〜きょうだい児の私が思うこと〜』をSNSで公開しているはちみつこさん。最後に「正直なところ、今でもこの先を考えたらどうすればいいんだろう…と考えてしまう事はあります。決して綺麗事だけではまとめられないのが現実ですが、色々あってたどり着いたかけがえのない今を、大事にしたい」と、心境を明かした。
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  • 「あの時期は、頬を伝う涙が冷たくて、カピカピになって(笑)よく目が覚めていたのですが、すぐ横に母がいて、妹がいて、「あぁ嬉しいなぁ…!」って心の底から思って、余計に泣けてました」『妹の話 きょうだい児の私が思うこと』(はちみつこ/hachi_mitsu89)より
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