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「夏休みの宿題」は本当に必要なのか? 変わりゆく令和の夏休み

 長い夏休みもいよいよ終盤、家族や友人と楽しい思い出を共有している最中だと思われるが、忘れてはいけないのが、子どもたちの「夏休みの宿題」。ギリギリまでため込んで家族総出で取り掛かる…などという“サザエさん一家”のような状況は減少傾向にあるようだが、その意義については、様々な観点から論じられる機会が増加傾向にあるようだ。

廃止する学校も増えつつある「夏休みの宿題」 果たしてその意義は?

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■「AIドリル」の導入、『ポケモン』『ONE PIECE』が自由研究の対象…変化する“宿題の形態”

 コロナ禍でICT(Information and Communication Technology)教育のさらなる必要性が叫ばれるなか、宿題をめぐって、近年デジタル環境の変化からタブレットやパソコンで解答を入力すれば、その場で採点される「AIドリル」などの新しい方式へと移行しているケースもある。子どもの学習状況を把握し、どの問題でつまずいているのかも分かりやすくなるために、教師からも効率的に指導ができると評判だ。

 ドリルだけでなく、夏休みならではの「自由研究」や「絵日記」などの慣例的な宿題も時代とともに変化している。『ポケモン』、『ONE PIECE』などの人気アニメやゲーム作品をテーマにした研究を許されている学校もあるほか、小学校で必修化されたプログラミングなどを用いた作品を発表するケースもあるという。

 動画制作なども自宅で手軽に作業できる時代だけに、研究内容を「動画で提出」するなどの新たなファーマットも散見される。絵日記は、子どもならではの自由な発想による絵のタッチが不可欠だったが、手軽に写真が撮れ、転載も容易なため、それを模写するケースも増えているとのことで、いささか寂しさも感じる。

 そのような変化が生じる中、日頃の宿題自体の廃止に踏み切る学校も2000年代に入り増加傾向となっている。東京都・麹町中学校は2014年、ドリルや英単語の書き写しなどの宿題を一律で廃止。茨城県水戸市立石川小学校もドリル宿題を撤廃するなど、子どもたちの意志を尊重する学習法へと舵をきる学校も。

 宿題廃止の主な要因としては、やはり受験のための学習塾などに通う児童・生徒などへの配慮だ。夏期講習などの過密スケジュールと、学校から出される宿題との両立は、子どものストレス過多につながる可能性が高い。また、受験期に入った際に、親から生じる“学校の授業”への疑問の声に対する配慮という側面もあるだろう。

■夏休み期間も働き詰め? 生徒だけでなく、教師にかかる負荷も“見直し”の要因に

受験勉強との両立でストレス過多に陥る児童も

受験勉強との両立でストレス過多に陥る児童も

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「夏休みの宿題」の是非に関しては、生徒だけでなく教師にかかる負荷も議論の対象となっている。

 文部科学省が行った平成28年度教員勤務実態調査では、小学校で約3割、中学校で約6割もの教員の時間外労働が過労死ラインを上回っていると発表されている。教員は、授業前の準備や成績処理などの事務作業、授業時間外での学習指導など、大量の業務を1人の教諭が抱えている。行事への対応に加え、放課後や土日にまでおよぶ部活動の顧問など、常に業務に追われている状況だ。

 夏休みは授業も無くなり、時間的にはゆとりのできる時期だが、それでも部活の顧問などで日々練習に付き合う教員も多い。昨今叫ばれる、教師の肉体的・精神的な負荷を軽減するための措置として宿題も含めた変化が求められているのだ。

■“夏休みの宿題”ソッコー派、ギリギリ派の割合は? “集中力リミット”は栃木県が最も高い?

 では、令和における“夏休みの宿題”事情はどうなっているのか? 「今ドキ高校生の夏休みの宿題に関する全国調査」をアサヒ飲料が全国の高校生1410名を対象に調査したところによると、宿題の量については74.3%が「多い」と回答。「適量」が19.9%、「少ない」が5.9%という結果だった。

 また、夏休みの宿題を早く終わらせる“ソッコー派”か、後半まで手を付けない“ギリギリ派”かについては“ギリギリ派”が45.5%とほぼ半数。初期に終わらせる“ソッコー派”は27.3%、コンスタントに進める“コツコツ派”は27.2%とほぼ同数だった。

さらに、集中力が長く続く“集中力リミット”が最も長く集中力が続く都道府県については「栃木」で89分18秒という結果に。全国平均は63分13秒で、栃木は約1.5倍だった。続いて「滋賀」の84分36秒、「北海道」の83分16秒という結果に。トップ10内に関東は栃木のみで、落ち着いた環境の地方のほうが集中力も高いことが浮き彫りとなった。

 自主性を育むため、一定の部分では宿題も必要不可欠。だが、慣例に縛られたままの杓子定規な学習に時間を割くことには、受験対策用の勉強を“当たり前のように”並行している子どもたちにとっては重荷となる。近年は、自由な発想を育む学習への回帰志向も高まりつつある。限られた時間の中で、“本当に必要な学習”を選択できるような、新たな座組みにも期待したい。

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