公開中の映画『エルヴィス』で、「オースティンのエルヴィスは、エルヴィスが乗り移ったかのようにエルヴィスそのものでした」などと、観た者をとりこにしているエルヴィス・プレスリー役のオースティン・バトラー。オースティンがエルヴィスを演じるために並々ならぬ努力をしたことは紛れもない事実だが、それ以上にオースティンがエルヴィスを演じるのは宿命だったのではないか、と思えるような共通点があった。
■言葉にできない感情を音楽で表現するのが好き
オースティンは「クリスマスの日に、エルヴィス・プレスリーの『ブルー・クリスマス』をいつの間にか口ずさんでいた。それから2〜3週間後、自宅でピアノを弾きながらエルヴィスの歌を何曲か歌っていたら、そばにいた親友が『君はエルヴィスの役をやるべきだよ』と言ったんだ。その2日後にエージェントから電話があり、バズ・ラーマン監督がエルヴィス・プレスリーの映画を制作予定であることを知った」と振り返る。
「お告げのように感じた」というオースティンは、オーディションが始まらないうちに、「アンチェインド・メロディ」をピアノで弾き語りしたビデオをバズ・ラーマン監督に送ったそう。その後、5ヶ月にわたるワークショップや正式なスクリーンテストを経て、エルヴィス役に決まったわけだが…。
6月下旬に来日したオースティンにインタビューした際、「そもそもあなた自身がギターやピアノを弾いたり、歌ったり、音楽で気持ちを表現する術を持っていなかったとしたら、エルヴィス役を獲得できなかったのでは?」と問いかけると、オースティンは次のように答えた。
「その通りなんですよ。僕は、言葉にできない感情を表現できる音楽が好きなんです。音楽は自分にとって、その時の喪失感であったり、希望であったり、感情を代弁してくれるものだし、そういう気持ちを込めて演奏することもあります。
信じられないことに、エルヴィスは自分で曲を書いたことがないんですよね。でも、自分が歌う曲は自分で選択している。離婚の話し合い中には、『Separate Ways(別れの歌)』や『Always On My Mind』を歌ってるんです。その時の気持ちにぴったりの曲を彼は選んでいる。エルヴィスのそういうところにもシンパシーを感じていました」
■ギターを買ってもらったことがきっかけ
オースティンは幼少期にバイオリンを習っていたことがあったそうだが、音楽に目覚めたのは「13歳の時に父親にギターを買ってもらってから」だという。「ギターにはまって、1日8時間くらい弾いていたこともありました。その後、ピアノも弾くようになったんだけど、全部、独学なんです。音楽は僕にとって心が安らぐセラピーみたいなものでした」と教えてくれた。
実は、エルヴィスも11歳の誕生日にギターをプレゼントしてもらい、自宅でずっと練習し、音楽に傾倒していったと伝わる。
■シャイでありながら大胆
エルヴィスは性格的にシャイなところがあって、怖くてレコード会社の門を叩けなかったというエピソードがある。一方で、ステージ上で音楽に身を任せてパフォーマンスすると、若者、特に若い女性を熱狂させる大胆なセクシュアリティがあった。
オースティンも「僕もエルヴィスと同じなのですが、とてもシャイで、舞台に上がることに緊張してしまうタイプなんです」。
そんなオースティンが、エルヴィス役に決まって約1ヶ月後、エルヴィスが240曲もの楽曲を録音したテネシー州ナッシュビルにあるRCAスタジオでいきなりレコーディングすることに。
「キャスティングされたばかりだったのに、バズはスタジオで働く全員を集め、その前で、誰もが知る名曲を歌わなければならなかったんだ! 恐ろしく緊張して全身が震えあがっていました」と振り返る。
それでもやるしかなかったオースティンは、バンドの演奏に合わせて「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」を歌い始めた。バズ・ラーマン監督をはじめ、そこにいたスタッフ全員がオースティンのオーラに取り込まれ、ノリノリに。
「いきなり海に突き落とされて、さぁ、泳ぎなさい、みたいな状況でしたけど、撮影が始まったら、大勢の人の前でエルヴィスとしてパフォーマンスしなければならないわけだし…。この時、僕が感じた恐怖は、エルヴィスが初めてステージに立った時に感じたものと同じなんじゃないかと思いました。エルヴィスは恐怖を乗り越え、自分の音楽を表現し、観客にポジティブな影響を与えることができました。それと同じ経験ができたことは、エルヴィスを演じる上ですごく鍵になりました」と、話した。
■トム・ハンクスも絶賛
エルヴィスとオースティンの“共通点”について、プロダクションノートからエルヴィスの悪名高いマネージャーであるトム・パーカーを演じたトム・ハンクスのコメントも紹介する。
バズ・ラーマン監督からエルヴィス役にオースティンを考えていると相談されたトム・ハンクスは、試しにエルヴィスを演じるオースティンを見て、「まさにエルヴィスだった。そうとしか言いようがない。『彼しかいない』と私はバズに言った。彼をエルヴィス役にするべきだと言ったんじゃない。彼はエルヴィスそのものだと言ったんだ。オースティンは目に見えない深いところでエルヴィスとのつながりを見出していた。バズはそれを見抜いていたんだ」と、回想している。
さらにトム・ハンクスは「オースティンとの共演シーンは思っていたほど多くなかった。だが、彼を観察することができた。その結果、オースティン・バトラーから目が離せなかったと言わざるをえない。彼は熱意をもって取り組み、うわすべりな演技をせず、完全に入り込んでいた。この役に注ぐ彼の熱意は最初から相当なものだったんだ」と、証言。
ラスベガスのコンサートシーンの撮影では、「たしか、オースティンは30回パフォーマンスをしなければならなかったと思う。私は飽きることなく彼を何度でも見ていたくなったんだ。それは彼の俳優としての気迫によるおかげでもあるが、その過程に大きな信念があるのが感じられたからだと思う。その姿がエルヴィスと重なったんだ」と、オースティンに惜しみない賛辞を送っている。
■言葉にできない感情を音楽で表現するのが好き
オースティンは「クリスマスの日に、エルヴィス・プレスリーの『ブルー・クリスマス』をいつの間にか口ずさんでいた。それから2〜3週間後、自宅でピアノを弾きながらエルヴィスの歌を何曲か歌っていたら、そばにいた親友が『君はエルヴィスの役をやるべきだよ』と言ったんだ。その2日後にエージェントから電話があり、バズ・ラーマン監督がエルヴィス・プレスリーの映画を制作予定であることを知った」と振り返る。
「お告げのように感じた」というオースティンは、オーディションが始まらないうちに、「アンチェインド・メロディ」をピアノで弾き語りしたビデオをバズ・ラーマン監督に送ったそう。その後、5ヶ月にわたるワークショップや正式なスクリーンテストを経て、エルヴィス役に決まったわけだが…。
6月下旬に来日したオースティンにインタビューした際、「そもそもあなた自身がギターやピアノを弾いたり、歌ったり、音楽で気持ちを表現する術を持っていなかったとしたら、エルヴィス役を獲得できなかったのでは?」と問いかけると、オースティンは次のように答えた。
「その通りなんですよ。僕は、言葉にできない感情を表現できる音楽が好きなんです。音楽は自分にとって、その時の喪失感であったり、希望であったり、感情を代弁してくれるものだし、そういう気持ちを込めて演奏することもあります。
信じられないことに、エルヴィスは自分で曲を書いたことがないんですよね。でも、自分が歌う曲は自分で選択している。離婚の話し合い中には、『Separate Ways(別れの歌)』や『Always On My Mind』を歌ってるんです。その時の気持ちにぴったりの曲を彼は選んでいる。エルヴィスのそういうところにもシンパシーを感じていました」
オースティンは幼少期にバイオリンを習っていたことがあったそうだが、音楽に目覚めたのは「13歳の時に父親にギターを買ってもらってから」だという。「ギターにはまって、1日8時間くらい弾いていたこともありました。その後、ピアノも弾くようになったんだけど、全部、独学なんです。音楽は僕にとって心が安らぐセラピーみたいなものでした」と教えてくれた。
実は、エルヴィスも11歳の誕生日にギターをプレゼントしてもらい、自宅でずっと練習し、音楽に傾倒していったと伝わる。
■シャイでありながら大胆
エルヴィスは性格的にシャイなところがあって、怖くてレコード会社の門を叩けなかったというエピソードがある。一方で、ステージ上で音楽に身を任せてパフォーマンスすると、若者、特に若い女性を熱狂させる大胆なセクシュアリティがあった。
オースティンも「僕もエルヴィスと同じなのですが、とてもシャイで、舞台に上がることに緊張してしまうタイプなんです」。
そんなオースティンが、エルヴィス役に決まって約1ヶ月後、エルヴィスが240曲もの楽曲を録音したテネシー州ナッシュビルにあるRCAスタジオでいきなりレコーディングすることに。
「キャスティングされたばかりだったのに、バズはスタジオで働く全員を集め、その前で、誰もが知る名曲を歌わなければならなかったんだ! 恐ろしく緊張して全身が震えあがっていました」と振り返る。
それでもやるしかなかったオースティンは、バンドの演奏に合わせて「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」を歌い始めた。バズ・ラーマン監督をはじめ、そこにいたスタッフ全員がオースティンのオーラに取り込まれ、ノリノリに。
「いきなり海に突き落とされて、さぁ、泳ぎなさい、みたいな状況でしたけど、撮影が始まったら、大勢の人の前でエルヴィスとしてパフォーマンスしなければならないわけだし…。この時、僕が感じた恐怖は、エルヴィスが初めてステージに立った時に感じたものと同じなんじゃないかと思いました。エルヴィスは恐怖を乗り越え、自分の音楽を表現し、観客にポジティブな影響を与えることができました。それと同じ経験ができたことは、エルヴィスを演じる上ですごく鍵になりました」と、話した。
■トム・ハンクスも絶賛
エルヴィスとオースティンの“共通点”について、プロダクションノートからエルヴィスの悪名高いマネージャーであるトム・パーカーを演じたトム・ハンクスのコメントも紹介する。
バズ・ラーマン監督からエルヴィス役にオースティンを考えていると相談されたトム・ハンクスは、試しにエルヴィスを演じるオースティンを見て、「まさにエルヴィスだった。そうとしか言いようがない。『彼しかいない』と私はバズに言った。彼をエルヴィス役にするべきだと言ったんじゃない。彼はエルヴィスそのものだと言ったんだ。オースティンは目に見えない深いところでエルヴィスとのつながりを見出していた。バズはそれを見抜いていたんだ」と、回想している。
さらにトム・ハンクスは「オースティンとの共演シーンは思っていたほど多くなかった。だが、彼を観察することができた。その結果、オースティン・バトラーから目が離せなかったと言わざるをえない。彼は熱意をもって取り組み、うわすべりな演技をせず、完全に入り込んでいた。この役に注ぐ彼の熱意は最初から相当なものだったんだ」と、証言。
ラスベガスのコンサートシーンの撮影では、「たしか、オースティンは30回パフォーマンスをしなければならなかったと思う。私は飽きることなく彼を何度でも見ていたくなったんだ。それは彼の俳優としての気迫によるおかげでもあるが、その過程に大きな信念があるのが感じられたからだと思う。その姿がエルヴィスと重なったんだ」と、オースティンに惜しみない賛辞を送っている。
2022/07/17