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浜辺美波の繊細な表情に注目 医療ドラマに新風を吹き込んだ『ドクターホワイト』

 視聴者にとって身近なテーマである医療を扱ったドラマは、これまで数多く制作され、様々なヒーロー、ヒロインが誕生してきた人気ジャンルだ。ところが、今年1〜3月にカンテレ・フジテレビ系で放送された、浜辺美波主演の診断医療ミステリードラマ『ドクターホワイト』は、少々趣の異なるものだった。というのも、本作の主人公は医者でも看護師でもない。記憶喪失で社会性が皆無、さらに医師免許を持っていないにもかかわらず、豊富な医療知識と天才的な診断能力を持つ謎だらけの女性だったからだ。主人公の謎を追うミステリーや、彼女が属する総合診断協議チーム(CDT)のメンバーとのハートフルでコミカルな会話劇など、ある意味、医療ドラマの枠を超えた、多彩な要素が盛り込まれたこの新奇な作品の魅力を今一度振り返ってみたい。

豊富な医療知識がある正体不明の女性を演じた浜辺美波『ドクターホワイト』(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

豊富な医療知識がある正体不明の女性を演じた浜辺美波『ドクターホワイト』(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

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■異色の主人公が織り成す新感覚の“診断医療ミステリー”

 『金田一少年の事件簿』などで知られる樹林伸氏の小説『ドクター・ホワイト千里眼のカルテ』『ドクター・ホワイト神の診断』を原作とした本作の最も大きな特徴は、医療現場を舞台とした医療ドラマでありながら、主人公の雪村白夜(浜辺美波)が医師や救急救命士、看護師など、医療に携わる資格を持っていないことだ。にもかかわらず、白夜は、豊富な医療知識と天才的な診断能力を持ち、医師たちの診断を「それ、誤診です!」と覆し、患者の命を救っていく。

 さらに異色といえるのが、そのキャラクターだ。医療ドラマは、これまで数多く制作されてきたこともあり、扱われる題材も細分化、マイナー化していった。また、主人公が医者であれば、その専門分野も外科医や内科医をはじめ、産婦人科医、小児科医、心療内科医…と多岐にわたり、キャラクターも、人情派からぶっきらぼうで社交性ナシのクセものまで様々だ。しかし、1つだけ共通している点がある。それは、表面的にはどう見えるにせよ、命を救うために闘っていることだ。ところが本作の主人公・白夜は、社会生活を送る常識がなく、人間的な感情も欠如しており、「命とは何かわからない」「医療には限界がある」と平然と言ってのける。患者の前で平然と誤診について語り、不安をあおることに頓着しない。ヒーロー・ヒロインとして描かれる医療ドラマの主人公とは、おおよそかけ離れた心もとない存在なのである。

 しかし、だからこそ描ける命の現場のリアルがある。診断の専門チーム・CDTに白夜を採用した病院長である父(石坂浩二)に対して、チームリーダーの高森麻里亜(瀧本美織)が、「彼女には無理。人間の感情を全く理解していない」と詰め寄る場面がある。それに対し院長は、医者は人の心を知る必要があるが、一方で心を知ると、思い込みや先入観で、診断を誤る可能性があることを示唆し、「いい勉強になるんじゃないか、お互いに」と諭すのだ。「患者の症状に興味があるだけ。本当は何の病気なのか、その答え合わせができればそれでいい」と言い切る白夜は、ドラマのタイトルが表すとおり、医療の知識以外は持ち合わせない“無垢で真っ白”な存在である。良くも悪くも感情に左右されることがなく、裏表もない。そのため、どんな問題に対してもニュートラルに判断していく。それがやがて、周囲に大きな気づきをもたらしていく。

 一方の白夜もまた、CDTのメンバーをはじめとする仲間たちとの触れ合いを通じて、感情が生まれ、共感力を養い、患者の命を全力で救う「“諦めない”スタッフになりたい」と考え始めるようになる。そういった白夜の成長物語が楽しめるのもこのドラマの大きな見どころの1つとなっている。さらに並行して描かれるのが、白夜の謎に迫るミステリーだ。白夜はいったい何者なのか。最後には驚きの真実が明かされることになる。

主人公を助け面倒をみる医療ジャーナリスト・狩岡将貴(柄本佑)(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

主人公を助け面倒をみる医療ジャーナリスト・狩岡将貴(柄本佑)(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

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■ピュアで知的な浜辺美波と脇を固める豪華な俳優陣の演技も見どころ

 そんな正体不明の謎の女性・白夜を演じる浜辺美波。放送開始直後から「透明感がたまらない」「ひたすら可愛い」とネット上には絶賛の声が多数挙がったが、日常生活に最低限必要な知識を何ひとつ持ち合わせていない、ともすれば幼稚に見えてしまいがちなキャラクターを、凛としたたたずまいとミステリアスな雰囲気、目の奥にたたえた強さで、ピュアに、知的に演じている。無表情だった白夜が笑うことを覚え、怒りを表すようになり、次第に柔らかくなっていくその表情の変化にも惹きつけられることだろう。

 また医療ドラマでは、主人公を取り巻く人間関係も楽しみだが、本作にも個性的なキャラクターが多数揃う。まず、何くれとなく白夜を助け、面倒をみる医療ジャーナリストの狩岡将貴(柄本佑)は、その妹・晴汝(岡崎紗絵)とともに、白夜を温かく包み込み、感情のない白夜に喜怒哀楽を教え、白夜にとってかけがえのない家族のような存在になっていく。

 さらに、白夜が属するCDTの専門医たちも個性的な顔ぶれが揃っている。前出のリーダー役の瀧本をはじめ、片桐仁高橋努高橋文哉勝地涼らクセの強めな医師たちが繰り広げるコミカルな会話劇もまた、本作の大きな見どころとなっている。それ以外にも、院長の座を狙う外科部長の小手伸也、将貴・麻里亜と同級生で刑事の宮田俊哉と、多彩なキャストが絡んできて、物語に厚みを持たせている。

■キャスト集結の座談会など貴重な映像がたっぷり入った特典映像にも注目

 7月15日に発売されるDVD-BOXには、全10話に加え、白夜たちの“その後”を描いた「特別編」をはじめ、クランクイン・クランクアップ・メイキング集、浜辺美波・柄本佑・瀧本美織・岡崎紗絵・片桐仁・高橋努・高橋文哉・勝地涼による座談会、LINEVOOMで限定配信された「なりきり動画」なども収録されている。

 クランクイン・クランクアップ・メイキング集には、おちゃめでユニークなCDTの面々たちの素顔から、和気あいあいとした撮影風景、迫力満点なアクションシーンの練習風景など、ドラマの裏側が見られる貴重な映像がたっぷり。また座談会では、出演者の中でも際立つクセの強いキャラクターを演じた勝地涼をMCに、実際のメイキング映像を交えながら、撮影中の面白かったエピソードや印象に残っているシーン、好きなシーンを語り合う。浜辺や瀧本や岡崎の発言に男性陣が揃って突っ込み、浜辺が笑い過ぎて涙することも。さらにその場にいない小手伸也や宮地俊哉、石坂浩二との思い出をめぐっての爆笑トークも展開。8人が素顔で語るここでしか聞けない話の数々や8人の仲の良さが感じ取れる貴重な内容となっている。

 これまでにない“診断医療”にスポットを当てた本作。複雑化をたどる病気の原因を鮮やかに解決する爽快さに加え、コミカルでハートフルな人間模様や、白夜の謎をめぐるミステリーも盛り込み、医療ドラマという人気ジャンルに、新たな風を送り込んだ作品と言えるだろう。

DVD-BOX『ドクターホワイト』(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

DVD-BOX『ドクターホワイト』(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

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DVD-BOX『ドクターホワイト』
■発売日:2022年7月15日(金)
■価格:23,595円(税込)
■仕様:6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚)/本編468分+特典映像134分
■発売元:カンテレ
■販売元:TCエンタテインメント

<特典映像>
・クランクイン・クランクアップ・メイキング集
・座談会(浜辺美波・柄本佑・瀧本美織・岡崎紗絵・片桐仁・高橋努・高橋文哉・勝地涼)
・特別編
・スペシャルコンテンツ動画

■キャスト
浜辺美波 柄本佑 瀧本美織 岡崎紗絵 片桐仁 高橋努 高橋文哉 ・ 勝地涼 宮田俊哉 毎熊克哉 ・ 小手伸也 石橋凌 石坂浩二

■スタッフ
原作:樹林 伸『ドクター・ホワイト千里眼のカルテ』(角川文庫)、『ドクター・ホワイト神の診断』(角川文庫)
脚本:小峯裕之
音楽:福廣秀一朗 
主題歌:Ado「心という名の不可解」 作詞作編曲 まふまふ (ユニバーサル ミュージック)
プロデューサー:河西秀幸、小林宙
演出:城宝秀則 河野圭太、北坊信一
制作:カンテレ 共同テレビ

(C)樹林伸・KADOKAWA・カンテレ・共同テレビ

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