全国の書店員が“今いちばん売りたい本”を決める『2022年本屋大賞』(本屋大賞実行委員会主催)の大賞作品が6日発表され、逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)に決定。受賞のスピーチで逢坂氏が複雑な胸の内を明かした。 逢坂氏は、1985年埼玉県生まれ。 2008年国際学部国際学科卒業。 2021年に『同志少女よ、敵を撃て』でデビューし、「第11回アガサ・クリスティー賞」大賞を受賞、「第166回直木賞」候補となる。本作は、第二次世界大戦時のソ連の女性狙撃手がヒロイン。女性だけで編成された狙撃小隊が見つめた生と死、戦争の悲惨さを描く。 授賞式に登壇し、記念品を受け取った逢坂氏は「出版前のゲラ読みや感想の段階から各店舗の独自展開に至るまで、多くの書店員の皆様に愛されていると実感できることの多い作品でした。このような素晴らしい賞をデビュー作も関わらず授けていただけたことは、感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びをにじませる。 一方で「私の心は、ロシアによるウクライナ侵略が始まった2月24日以降、深い絶望の淵にあります」と切り出すと「このナチスによるポーランド侵攻、満州事変に匹敵する、むき出しによる覇権主義による戦争が始まったとき、私はこの無意味な戦争でウクライナの市民、兵士、あるいはロシアの兵士がどれだけの数だけ亡くなっていくのだろうと考え、また私自身が書いた小説に登場する主人公・セラフィマがこの光景をみたならば、どういう風に思うのだろうと考え、悲嘆に暮れました」と話した。
2022/04/06
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