2月28日にハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの星の除幕式が行われ、ハリウッド殿堂入りを果たしたベネディクト・カンバーバッチ（45）。彼の代表作の一つであり、MCU（マーベル・シネマティック・ユニバース）のキーパーソンとして今後の動向が最も注目されるキャラクターに成長したドクター・ストレンジの歴史とともに、カンバーバッチの俳優としての飛躍、その軌跡を振り返る。

【写真】その他の写真を見る

　カンバーバッチは、英ロンドン生まれ。両親は共に俳優。ロンドンのパブリックスクール、ハーロー校とマンチェスター大学で演劇を学び舞台出演2004年にテレビドラマ『ホーキング』で注目され、10年スタートのテレビドラマシリーズ『SHERLOCK（シャーロック）』でシャーロック・ホームズ役を演じ、大ブレイクを果たす。

　映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』（13年）では悪役を演じ、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』（14年）でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、演技派俳優として順調にキャリアを積む中、『ドクター・ストレンジ』（16年）で異色のヒーロー役に起用され、話題を呼んだ。

　カンバーバッチは、「ドクター・ストレンジは、僕がこれまでにやって来たどんな役ともまったく違う。そして、この役を演じるのは本当に楽しかった。内面的に大きく変化していくストレンジを演じられるのは役者として素晴らしいことだよ」と語り、悲劇的な事故により医者の道を断たれた元天才外科医がヒーローになるという、新境地となる役への挑戦を楽しんだという。

　『ドクター・ストレンジ』は、日本を含む全世界で大ヒットを記録。マーベルの単体ヒーロー作品のデビュー作としては史上最大のヒット（公開時点）となり、ストレンジを演じたことでカンバーバッチの俳優としての認知度もさらに広がりを見せた。

　その後、人類を救うためアベンジャーズの仲間入りを果たした『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』（18年）では、作品の大ヒットとともに、空間を自在に操り、数々の呪文を駆使しながら世界を救うヒーローとしての姿がハマり役となり多くのファンを獲得。役について、「ストレンジは、他のメンバーよりも少し先を読んでいて、成熟した者であろうとするんだ。初登場の時のように傲慢でナルシストではないんだよ」と、1作目を振り返りながら、アベンジャーズをけん引する存在へとキャラクターを進化させたことを語っている。

　マーベル・スタジオの社長であるケヴィン・ファイギも「カンバーバッチはこれまでの出演で、ドクター・ストレンジをアイコン的な存在へ引き上げたんだ。彼がこのキャラクターの可能性を見抜いていたおかげで、ストレンジはMCUの重要なキャラクターとなった。本作を導くことができる唯一の俳優となんだ」とカンバーバッチの功績を称えている。

　『アベンジャーズ／エンドゲーム』（19年）での壮絶な死闘を経て、アイアンマン、キャプテン・アメリカを失った後の世界を描いた『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』（21年）には、スパイダーマンの新たなメンター的存在として、ドクター・ストレンジが登場。『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』はオープニング興行収入が全米歴代3位という特大ヒットを飛ばした。

　世界的ヒーローとして人気を集めつつも、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』（21年）では繊細な演技が高く評価され、「第94回アカデミー賞」で主演男優賞にノミネートされたカンバーバッチ。

　名実ともにハリウッドを代表する俳優となった彼の次なる作品は、『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』のその後を描く、『ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス』（5月4日公開）。今後のMCU の世界において重要な鍵を握る作品と位置づけられている。無限の可能性が存在する“マルチバース”を舞台に、ストレンジはどんな活躍を見せてくれるのか――。