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作詞家・秋元康氏の原点は「高3の夏休みのニッポン放送レコード室」初の自選歌詞集が発売

 作詞家でプロデューサーの秋元康氏(63)が、坂道シリーズの楽曲より46作をセレクトした初めての自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』(幻冬舎)の発売日の3月2日、朝から深夜までニッポン放送の各番組に出演する「1DAYジャック」を行った。忙しい1日の合間、しばしの休憩時間に秋元氏はORICON NEWSの取材に応じ、自身のキャリアの原点となった同局の思い出や、同局でOLとして働きながらアイドルとして活動した新内眞衣の功績、著書に込めた思いや作詞家としての仕事の向き合い方などを語った。

初の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』を出版した秋元康氏

初の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』を出版した秋元康氏

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■作家としての初給料で友達とディスコへ

 秋元氏は高校2年生のときにニッポン放送へコント台本を送り、それが制作部副部長だった亀渕昭信氏(のちに社長)の目に留まったことが縁で、同局に出入りし始めた。「初めて書いた台本のギャラ2万円を茶色い封筒でいただいて、それを持って友達とディスコに遊びに行ったかな」。

 高校生ながら同局にこもって作業していた秋元氏。当時の経験が、のちの作詞家への土台となった。「奥様向け番組の担当になって、自分の知らない歌謡曲のイントロに合わせて口上を書かないといけないから、高3の夏休みにレコード室に閉じこもって、ずっと歌謡曲を聴き続けてました。当時は井上陽水さんや吉田拓郎さん、あとは洋楽が好きだったけど、歌謡曲というジャンルが自分から抜け落ちていた。最初は仕事のために聴いていたけど、どんどん歌謡曲の魅力に気付いていって、何を学んだとは具体的には言えないけど、たぶん作詞家としてすごく勉強になっていたと思います」。

 ニッポン放送は、先月発表されたラジオ聴取率調査(ビデオリサーチ)で首位を獲得した。好調なデイタイムの番組が牽引したが、それらの番組に出演した秋元氏も同局の勢いを感じた。「ラジオって新陳代謝しなきゃいけないけど、変わるべきところと変えてはいけないところのバランスが難しい。コロコロ変えてたら定着しないし、変えないと予定調和で同じ人しか聴かなくなる。そういう意味ではニッポン放送は果敢にいろいろトライしている結果だと思います」。また、同局のPR戦略についても「他の局と比べても一番うまく仕込んでいる」と評価した。

秋元康氏の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』

秋元康氏の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』

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■“OL兼アイドル”だった新内眞衣が支持されたワケ「唯一無二の選択で面白い」

 秋元氏がプロデュースするアイドルグループ・乃木坂46は、同局の深夜の看板番組『オールナイトニッポン』を担当しており、パーソナリティーは2014年から約4年間にわたり同局の関連会社で働きながら、「OL兼アイドル」として活動していた新内眞衣が務めてきた。グループ卒業とともにラジオも久保史緒里にバトンタッチしたが、仕事の合間によく同番組を聴いていた秋元氏は、そんな新内の功績に目を細める。

「あの子はOLとアイドルの両立をやってみようということで始まりましたが、さっき(同局アナウンサーの)上柳昌彦さんに聞いたら、すごく真面目に働いていましたよ、と。昔のスポーツの実業団選手みたいに所属してるだけでほとんど会社に行かない、という形だけじゃなく、新内はちゃんとOLもアイドルもやっていたから、彼女の独自の魅力が伝わっていったんです。結局、大人数のアイドルグループというのは、自分とは何かを見つけた人、自分探しができた人が勝ちなんですよ。周りはみんなかわいいし、普通に勝負したら勝てないと思ったから、指原莉乃はぜんぜん違う方向に行って成功した。新内もアイドルをやりたいけど、どうやって奨学金を返済しようかと悩んで、アイドルとOLの二刀流という答えにたどり着いた。唯一無二の選択で面白いですよね」

 多くの社会人は、理想と現実の間で揺れ動きながら毎日の仕事と向き合っている。そんなときに、自分と同じように会社員として働きながらアイドル活動に取り組み、センターポジションではないけど腐らずに真面目に取り組む新内の姿を見て、勇気をもらい、「私も働きながら夢を目指したい」と希望を抱き、シンパシーを感じる。そんな人たちに応援され、新内眞衣は乃木坂46というトップアイドルグループで独自のポジションを築き、さらなる夢に向かって飛び立っていった。

3月2日に『ナイツ ザ・ラジオショー』に出演した(左から)秋元康、塙宣之、安藤なつ、土屋伸之(C)ニッポン放送

3月2日に『ナイツ ザ・ラジオショー』に出演した(左から)秋元康、塙宣之、安藤なつ、土屋伸之(C)ニッポン放送

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■作詞はパソコンの前に座り“仕事モード”で 欠かせないものは「コーヒーと…」

 2018年に『漫画 君たちはどう生きるか』が大ヒットしたことをきっかけに、若者に向けた自己啓発本がブームとなっているが、若者だけではなく多くの人が“生きるヒント”を求めているという背景をとらえ、今回の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』の発売が決まった。歌詞の内容を考え、第1弾はメッセージ性の強い楽曲の多い坂道シリーズから46曲が選ばれた。

 この46曲について、歌詞を作った時の心境や感情を覚えているかと秋元氏に尋ねたところ、「覚えてますよ」と即答した。「僕は職業作詞家なので、歌詞を作る時に乃木坂・欅坂・日向坂・櫻坂の子たちが何を歌ったら一番説得力があるかなって考えるわけです。メンバーの現状や社会の状況をヒントにして、彼女たちはいま何を歌うべきなのか、僕が霊媒師のようになって言葉を紡いで、作詞をしていきます」。

 本書では、仮歌やラフミックスのたびに何度も何度も歌詞を書き直すと明かした秋元氏。これまでに5000曲以上も作詞しているが、書き直さなかった歌詞は「一曲もない」という。「やっぱり僕は“詩人”ではなく作詞家なので、歌になってみないとわからないんです。声に出してメロディーにのせるのと、文字として目で見る歌詞は違うし、譜割りが悪かったり、変なイントネーションになっちゃうこともある。そういうことをメロディーにのせた時に整理するので、どの曲も何回も書き直してしまいます」。

 作詞について「歩いてる時にふと歌詞が降りてきてスマホにメモした」と語るアーティストも多いが、秋元氏は職業作詞家としてパソコンの前に座り“仕事モード”で作詞活動に取り組む。仕事に欠かせないものを聞くと「昔はタバコで、吸わなくなってからは『じゃがりこ』でしたけど、食べすぎてかなり太ってしまったので(笑)、それもやめて今はコーヒー。あとは、ナイツさんのラジオでも話したけど、焼き芋です」と教えてくれた。

◆『こんなに美しい月の夜を君は知らない』
作詞家の秋元康氏の自選歌詞集。総合プロデューサーを務める乃木坂46、欅坂46、日向坂46(けやき坂46)のタイトルから、46曲を選んだ。装画・挿画には、画家の長沢明氏の絵画を使用。帯文は乃木坂46の齋藤飛鳥が担当した。好セールスで発売2日で重版が決定している。幻冬舎刊 定価1540円

※番組の模様は、放送後1週間以内は「radiko」で聴くことができる。

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