ディズニー＆ピクサーの新作『私ときどきレッサーパンダ』。本作では、主人公メイの感情の高ぶりを表現する際に、目の中にハートやキラキラを入れるというピクサーではこれまで観ることのなかった描き方をしている。それは日本のアニメでよく用いられるテクニックだ。

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　先日、米ロサンゼルスで開催されたワールドプレミアでも日本のアニメーション好きを公言していたドミー・シー監督。具体的に、『美少女戦士セーラームーン』『らんま1/2』『フルーツバスケット』といったタイトルを挙げて、本作にも大きな影響を与えていることを明かしていた。

　本作の監督を務めるドミー・シーは、短編アニメーション映画『Bao』で第91 回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した、期待の新鋭監督。幼少期からアニメを観て育った生粋のアニメっ子だったそうで、「アニメ作品の、厳密な事実を気にせずに感情を描くところが私は大好きです…表情が一気に変化したりするところとかです！　そういう描き方こそが、感情が大きく動く思春期の少女を描く映画には完璧だと思っています」と話す。

　本作の世界観に自身の愛する”アニメーションならではのスタイル”を注ぎ込んだというドミー。「この映画全体を通して日本アニメからの影響が見られるわ。特に90年代、2000 年代前半の作品。私は『美少女戦士セーラームーン』、『らんま1/2』、『フルーツバスケット』などを見て育った。そして本作には表現豊かでカラフルな『ONE PIECE』からもすごく影響を受けている」と告白。

　そんなドミーについて、プロデューサーを務めたリンジー・コリンズは「キャラクターたちの動きやポーズはかなり誇張されています。こういったドミー様式は、この映画のあらゆる部分に行きわたっていて、“アニメ”に対する彼女の情熱がにじみ出ています。ピクサーの過去の映画がどうというのではなく、ドミーのビジョンを忠実に伝えたかった。だからこの映画はこれまでのピクサーとは違っているということが、一番の誇りよ」と、これまでのピクサーにはない作品に自信をのぞかせた。

　そんな本作では、母親の前での“真面目で頑張り屋ないい子”と、友達の前の“好きなことに夢中な等身大の女の子”、〈自分らしさ〉に葛藤する主人公のメイが、ある日の出来事をきっかけに感情をコントロールできなくなってしまい、モフモフのレッサーパンダに変身してしまう！　そんなイマジネーションあふれる世界観が描かれる。

　メイの“感情”が物語の軸となっていることもあり、メイの一つ一つの動きにはたくさんのこだわりが施されているが、“ドミー様式”はスタッフにも浸透しており、アニメーターのパティ・キムは「私たちは『時をかける少女』などもたくさん観たわ。あれは素晴らしい映画だった。ビジュアルデザインはもちろん、演技の選択についてもとても学ばせてもらったわ。『時をかける少女』で女の子が学校に行こうとしていて、お母さんに“行ってきます”と言うのだけれども、そこで彼女は走り回っているの。どうしてそうするのかわからないのだけど、かわいいのよ。そういう瞬間をメイにも見つけてあげたかったの」と、日本アニメからの影響を明かしている。

　『私ときどきレッサーパンダ』は、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+（ディズニープラス）」で11日より独占配信。「日本アニメの影響？」と思えるところも見つけてみて。