アカデミー賞作品賞を受賞した映画『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督が、自身のルーツであるロンドンのカリブ系コミュニティの人種差別の歴史にスポットライトを当てた、5本の”映画” から成るアンソロジー・シリーズ『スモール・アックス』(全5話)が、日本初上陸。3月29日より「スターチャンネルEX」にて独占配信、4月19日より「BS10 スターチャンネル」で日本独占放送を開始する(※4月16日に字幕版第1話先行無料放送あり)。
1960〜80年代のロンドンを舞台に、カリブ系黒人住民たちが経験してきたこれまであまり語られなかった史実をもとに、自らの運命を変えようと苦悩し格闘した人々の姿を、鋭い社会的メッセージとエンタテインメント性を備えた5本の“映画”でつづったもの。
「スター・ウォーズ」シリーズのジョン・ボイエガ、『ブラックパンサー』のレティーシャ・ライトら、注目の俳優たちや往年のベテラン俳優に加えて、まだ機会に恵まれていない若手黒人俳優にチャンスを与えたいという監督の意向で、無名の若手俳優たちを多数起用。キャスティング・ディレクターを務めたゲイリー・デイヴィは、製作の裏方を表彰する英国アカデミー賞(BAFTA)テレビ技能部門でキャスティング賞を受賞している。
カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに2本(第1話「マングローブ」&第2話「ラヴァーズ・ロック」)が選出されて大きな話題を呼び、2020年11月にBBCで放送が開始されるや大絶賛を浴び、その後、さまざまな賞レースを席巻して世界規模の注目を集めることとなった。
アカデミー賞の前哨戦であるロサンゼルス映画批評家協会賞では『ノマドランド』を抑え、TVシリーズとして初めて最優秀作品賞を受賞したことは、歴史的な快挙に。オバマ元大統領は「2020年のベスト”映画”」に第2話「ラヴァーズ・ロック」を選んでいる。
一つ一つのエピソードを“Film=映画”と位置付け、いわば5本のTV映画として構想・製作された本シリーズだったが、劇場用に製作された作品ではないという理由でアカデミー賞の選考基準から外れ、映画業界に「映画とは何なのか?」という議論も巻き起こした。
■ “BLM運動” に至るまでの、知られざる長い闘いの歴史。
2020年、アメリカで、白人警官による不当な暴力によってアフリカ系アメリカ人男性が死亡する事件が発生。この「ジョージ・フロイド事件」に抗議する大規模なデモの報道で、一躍世界中に響き渡った“Black Lives Matter(BLM)”というスローガン。しかし、この言葉が生まれたのは、2012年に同じく白人警官が黒人少年を射殺した「トレイボン・マーティン射殺事件」への抗議が発端だったと言われている。“BLM”という言葉はなくとも、その源流と言える“闘い” には知られざる長い歴史があった。
本作では、「イギリス」、「カリブ系黒人」という視点が興味深い。マックイーン監督は自身にとって初のTVシリーズとなった本作について、「私の母親でも家で気軽に観られるように、TVで放送する作品として作りたいと思った」と語っている。
シリーズ・タイトル『スモール・アックス(Small Axe)』は、1973年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム『Burnin’』に収録されたレゲエ曲「Small Axe」から取られている。その歌詞の中に引用されたことで世界的に有名になったフレーズ「If you are the big tree, we are the small axe(おまえが大きな木なら、俺たちは小さな斧だ)」は、19世紀後半まで続いた黒人奴隷貿易に起源をもつ、ジャマイカなどカリブ地域のアフリカ系黒人コミュニティに伝わる諺(ことわざ)で、権力を持つ者を大きな木に喩(たと)え、自分たちは小さな斧だけど刃を研ぎ澄ましいつでも切り倒してやる、という反骨のメッセージが込められている。
全話を通してレゲエやスティールパンの鳴り響く中南米音楽が作品の重要な要素で、特に第2話「ラヴァーズ・ロック」は、レゲエのジャンルの一つ”ラヴァーズ・ロック”の楽曲がふんだんに散りばめられた青春ラブストーリー。理不尽な社会の中でも彼らのルーツの音楽が常に身近にあり、歌い踊り陽気に生きる彼らの本来の姿が描かれている。
今回初解禁となった予告映像では、カリブ系黒人らの楽し気な歌声と対照的に、政府や警察に向けて拳を突き上げ意見を主張する姿が印象的だ。その中でも「彼らは新しいタイプの人たちだ」「犠牲者ではなく主人公にならなきゃ」「集団になればチャンスがある」など、現代に生きる我々からするととても胸を苦しくさせるせりふが目立つ。後世に残すべき”傑作”を予感させる、痛烈な予告映像となっている。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
スティーヴ・マックイーン監督・脚本の5本の”映画” から成るアンソロジー・シリーズ『スモール・アックス』(全5話)3月29日よりスターチャンネルEXにて独占配信 (C)McQueen Limited
1960〜80年代のロンドンを舞台に、カリブ系黒人住民たちが経験してきたこれまであまり語られなかった史実をもとに、自らの運命を変えようと苦悩し格闘した人々の姿を、鋭い社会的メッセージとエンタテインメント性を備えた5本の“映画”でつづったもの。
カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに2本(第1話「マングローブ」&第2話「ラヴァーズ・ロック」)が選出されて大きな話題を呼び、2020年11月にBBCで放送が開始されるや大絶賛を浴び、その後、さまざまな賞レースを席巻して世界規模の注目を集めることとなった。
アカデミー賞の前哨戦であるロサンゼルス映画批評家協会賞では『ノマドランド』を抑え、TVシリーズとして初めて最優秀作品賞を受賞したことは、歴史的な快挙に。オバマ元大統領は「2020年のベスト”映画”」に第2話「ラヴァーズ・ロック」を選んでいる。
一つ一つのエピソードを“Film=映画”と位置付け、いわば5本のTV映画として構想・製作された本シリーズだったが、劇場用に製作された作品ではないという理由でアカデミー賞の選考基準から外れ、映画業界に「映画とは何なのか?」という議論も巻き起こした。
■ “BLM運動” に至るまでの、知られざる長い闘いの歴史。
2020年、アメリカで、白人警官による不当な暴力によってアフリカ系アメリカ人男性が死亡する事件が発生。この「ジョージ・フロイド事件」に抗議する大規模なデモの報道で、一躍世界中に響き渡った“Black Lives Matter(BLM)”というスローガン。しかし、この言葉が生まれたのは、2012年に同じく白人警官が黒人少年を射殺した「トレイボン・マーティン射殺事件」への抗議が発端だったと言われている。“BLM”という言葉はなくとも、その源流と言える“闘い” には知られざる長い歴史があった。
本作では、「イギリス」、「カリブ系黒人」という視点が興味深い。マックイーン監督は自身にとって初のTVシリーズとなった本作について、「私の母親でも家で気軽に観られるように、TVで放送する作品として作りたいと思った」と語っている。
シリーズ・タイトル『スモール・アックス(Small Axe)』は、1973年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム『Burnin’』に収録されたレゲエ曲「Small Axe」から取られている。その歌詞の中に引用されたことで世界的に有名になったフレーズ「If you are the big tree, we are the small axe(おまえが大きな木なら、俺たちは小さな斧だ)」は、19世紀後半まで続いた黒人奴隷貿易に起源をもつ、ジャマイカなどカリブ地域のアフリカ系黒人コミュニティに伝わる諺(ことわざ)で、権力を持つ者を大きな木に喩(たと)え、自分たちは小さな斧だけど刃を研ぎ澄ましいつでも切り倒してやる、という反骨のメッセージが込められている。
全話を通してレゲエやスティールパンの鳴り響く中南米音楽が作品の重要な要素で、特に第2話「ラヴァーズ・ロック」は、レゲエのジャンルの一つ”ラヴァーズ・ロック”の楽曲がふんだんに散りばめられた青春ラブストーリー。理不尽な社会の中でも彼らのルーツの音楽が常に身近にあり、歌い踊り陽気に生きる彼らの本来の姿が描かれている。
今回初解禁となった予告映像では、カリブ系黒人らの楽し気な歌声と対照的に、政府や警察に向けて拳を突き上げ意見を主張する姿が印象的だ。その中でも「彼らは新しいタイプの人たちだ」「犠牲者ではなく主人公にならなきゃ」「集団になればチャンスがある」など、現代に生きる我々からするととても胸を苦しくさせるせりふが目立つ。後世に残すべき”傑作”を予感させる、痛烈な予告映像となっている。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
2022/03/01