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安田顕、愛犬から着想を得た“無言のおじさん”役 共演・白石聖には「会えたことに感謝」

 多彩な変化球に緩急も自在――頼りになる投手のように、映画やドラマなど映像の世界でも引っ張りだこの俳優・安田顕(48)。そんな彼が、主演でありながも、まったくしゃべらない“無言のおじさん”という難解かつ興味深い役を演じているのがNHKドラマ10「しもべえ」だ。北京五輪のため、放送は休止となっていたが、2月25日の第5話再開を前に、改めて作品の魅力や、キャラクター構築方法を聞いた。

安田顕 (C)ORICON NewS inc.

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 白石聖演じる明るくのんきな女子高生・ユリナが、アプリをダウンロードしたことをきっかけに、彼女がピンチになるとこつ然と現れる中年おじさん・しもべえ。彼はいつも無言ながらも、ユリナを叱咤激励する。

『しもべえ』第5話より(C)NHK

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 「僕が演じる役はしゃべらないとは聞いていたのですが、実際演じるときはどうしようかなという思いはありました。でも“目は口ほどのモノを言う”と言いますし、僕の家にはワンちゃんがいるのですが、しゃべることができず、表情も豊かではないなか、寂しそうだなとかうれしそうだなというのが雰囲気で伝わるんです。人間には手足があるので、しゃべらなくても伝えたいと願えば思いというのは伝わるのでは…と考えて臨みました」。

 安田の言葉通り、しもべえはユリナと言葉を交わすことなく、彼女の心を動かしていく。まさに佇まいで、伝えたいことを表現する彼の“すごさ”を体感できる。しかしそこには安田の表現力だけではなく、白石の女優としての素晴らしい資質も大きいようだ。

『しもべえ』第5話より(C)NHK

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 「白石さんは間合いや感覚というのが、非常にたけた役者さんだなと感じました。もちろん彼女が努力をされているのだと思いますが、対峙したとき受けの芝居がすごくお上手なんです。こちらはしゃべらないのですが、リアクションに対してビビッドに反応してくださいますし、コメディ要素が強い作品のなか、勘の良い方だなという印象を受けます。とてもすてきな女優さんにお会いできたことを感謝しています」。

 阿吽の呼吸で紡ぎ出すユリナとしもべえのやり取り。そこにもう一つ、大友良英が作り出す音楽が加わることで、より物語はドラマチックになる。

 「大友さんと言えば『あまちゃん』もすてきでしたが、僕は『俳優 亀岡拓次』や『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』でもご一緒させていただき、すごくご縁があるんです。今回は特にせりふがない役なので、大友さんの音楽がすごくサポートしてくれているなと感じています」。

 第4話まで放送が終了しているが、反響は安田の元にも届いているという。

 「もちろん、面白い作品だと思っていましたが、内容がチャレンジングなドラマなので、若い層には届くとは思いつつ、年齢層を選ぶ作品なのかなという思いもあったんです。でも、ふたを開けると、評判がいいんですよ(笑)。特にご年配の方から結構支持をいただけているのは、言葉が正しいか分かりませんが、うれしい誤算でした。『アナコンダ捕まえたね、泣いちゃったよ』なんて感想をいただくと、本当に最高ですよね(笑)」。

 さらにうれしかったのが身内の評価だという。

『しもべえ』第5話より(C)NHK

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 「うちの親父がすごく気に入ってくれていて『次はいつやるんだ』なんて言ってくれるんです。妻や娘も結構、物語の展開を気にしてくれています。僕にとって家族の意見というのは、一番の尺度。娘も本当にいいなと思う作品を見ると『うれしかった』と言ってくれるのですが、『しもべえ』はそう言ってくれていました。そんな作品に出演させていただき、本当にスタッフ・キャストの皆様に感謝です」。

 また『しもべえ』と同じく現在放送中のドラマ『逃亡医F』(日本テレビ系/土曜ドラマ)にも出演している。本作で安田は、ヒールな研究者・佐々木世志郎を演じているが『しもべえ』とはガラリと違う顔を見せる。

 「呼んでいただけて感謝していますというのが本音です。プロレスに例えて言うならば、ベビーとヒールがいるから成立するものであり、そこにはしっかりとヒールが役を全うしないと、ベビーが引き立たないんです。その意味ではとてもハードルが高い役割を与えていただいているので、しっかり結果が残せるように頑張っています。まあちょっと変な人なんですけれどね(笑)」。

 とにかく緩急自在。ストレートな役から、くせ者まで表現の引き出しの多さには驚かされることが多い安田。主演として立つこともあれば、ピンポイントで物語をざわつかせるキャラを演じることもある。

 「どちらもそれぞれの魅力がありますが、やっぱりピンポイントで作品に入っていくことの難しさは感じています。例えばレギュラーで出演しているとバッターボックスには3回以上は立てます。そのなかで球筋も読めるし、1回でもヒットが打てれば、また試合に出られますが、代打だとその1打席で結果を求められますよね。いきなり流れに入っても、戸惑わないようにするための準備は大変です。でもその分、やりがいも楽しさもあります」。

 現在放送中の連続ドラマ2本に加え、3月6日から、TEAM NACS初の東京公演となった『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム』を映像作品として新たにリニューアルしたTEAM NACS 25周年最終プロジェクト「LOOSER 2022」が配信される。安田をはじめ、森崎博之、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真の5人が勢ぞろいするが、この25年でどんな変化が生じているのだろうか。

安田顕 (C)ORICON NewS inc.

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 「難しいところですが、例えていうなら、会社があって、その会社をゼロから立ち上げて登っていくときというのは、勢いと楽しさというものが前面に出ていると思うんです。でもその会社が円熟期を迎えたとき、どう維持するか。そんな状況になったときのモチベーションを想像してもらえれば、僕らそれぞれの向き合い方というものを感じとっていただけるのかなと思います」。

 さらに4月8日には、瀬々敬久監督作の『とんび』、4月15日には主演映画『ハザードランプ』の公開も控えている安田。今後も怒涛の出演ラッシュが続くが、まずは『しもべえ』の再開がやってくる。「休止期間がありましたが、相変わらず楽しくて、ちょっとグッとくる、なかなかお目にかかれない青春ドラマになっているので、楽しみにしてください」と期待をあおった。(取材・文:磯部正和)

■ TEAM NACS 25周年記念作品「LOOSER 2022」配信
2022年3月6日(日)16:30〜
脚本:田中眞一
監督:木村ひさし
出演:TEAM NACS(森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真)
詳細はこちら
https://www.teamnacs.com/stage.php

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  • 安田顕 (C)ORICON NewS inc.
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  • 『しもべえ』第5話より(C)NHK
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