ドキュメンタリー11作品を上映する「TBSドキュメンタリー映画祭2022」が3月18〜24日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて全国で順次開催される。昨年3月にも同様の映画祭を開催し、22作品の上映を行っており、今回が2回目の開催。21日、オンラインで行われた記者会見で大久保竜氏(TBSテレビ報道局/報道コンテンツ戦略室長)は、「ヒューマンなもの、事件ものも、政治ものも、アーティストに密着したもの、いろいろなジャンルの作品がある。多くのドキュメンタリー作品を一度に見られる機会を作るのも魅力的なのではないか」と、“映画祭”を開催する意義をアピールした。
TBSでは、社内に残されていた稀代の天才作家・三島由紀夫と東大全共闘の討論会の全貌をおさめた映像を、ドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(2020年)として劇場公開。その反響の大きさなどから社内でドキュメンタリーの可能性に注目が集まり、TBSのドキュメンタリー映画を総括する新ブランド「TBS DOCS」が誕生。“DOCS”とは、“DOCUMENTARY FILMS”の略称。「日本でもドキュメンタリー文化を広げるきっかけになれば」と、大久保氏は語った。
テレビというメディアを持っていながら、ドキュメンタリー映画を制作するモチベーションとして、「臨場感の出る劇場の大きなスクリーンで観てもらえる魅力が前提としてあるが、現場には、ストレートニュースだけではなく、放送されなかった部分や、放送した後にもさらに取材をして得た新たな事実を、続編として届けたいとい思った時に、ドキュメンタリー映画にするというのは、より深く丁寧に伝えることができる」と大久保氏は説明し、放送コードのある地上波よりも映画にすることで「表現の幅は広がるのは間違いない」と話していた。
今回の上映作品の中で、注目される作品の一つが、3月4日から劇場公開される『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』(監督:立山芽以子)。武装勢力による性暴力があとを絶たないコンゴ民主共和国で、ノーベル平和賞を受賞した婦人科医を取材した作品。現地の女性たちは、私たちが使っているスマートフォンやPCなどの部品づくりに欠かせない鉱物資源の利権のために、武装勢力から性暴力を受けているという。
立山監督は「コンゴで起きている性暴力と、日本の性暴力、性犯罪は同列では語れない。どのように説明すれば、理解、共感、想像できるか、苦心したが、わからないものはわからないものとして、現地の女性たちの証言に耳を傾けてもらい、日本人の理解を超えた現実があるということを丁寧に描くことで理解を得たいと思った。この問題は自分たちともつながっている問題、自分たちが生きる同じ世界でこういうことが起きていることを知ってもらい、考え、行動につながっていけば」と、作品に込めた思いを語っていた。
■上映作品
1.『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』監督:立山芽以子
2.『池袋母子死亡事故 「約束」から3年 (仮)』監督:守田哲
3年前、当時87歳の男が運転する乗用車が暴走し、最愛の妻と娘を亡くした松永拓也さん。事故の裁判は「禁錮5年」の実刑判決で終結したが、松永さんの葛藤は終わらない。遺品の整理をする手は、慟哭とともに止まった。収監直前に自らの過失を認めた加害者の飯塚幸三受刑者。心境の変化に至るまで何があったのか。社会に衝撃を与えた高齢ドライバー事故の遺族と加害者を、3年間にわたり取材した真実の記録。
3.『永遠の総理候補・石破茂 嫌われた正論 (仮)』 監督:中島哲平
永遠の総理候補――石破茂。国民人気が高く、“次期総理・総裁”との期待の声も上がるが、総裁選にこれまで4度挑戦するものの連戦連敗。さらに退会者が相次ぎ、2021年12月、「石破派」解消。石破氏はなぜ党内のハグレ者となったのか? 今、何を考え、どう進むのか? 本心を見せない石破氏の実像を知るため、同志、対立議員、石破派退会者、友人、妻などを直撃。石破氏に関わってきた人物たちの証言、石破氏への密着の中で見えてきたものとは?
4.『完黙 中村喜四郎〜選挙無敗の男が負けた時 (仮)』 監督:武田一顕、松原由昌
昨年の衆院選、「無敗の男」と呼ばれた男が初めて敗れた。中村喜四郎…初出馬から40年以上、あっせん収賄罪で逮捕、起訴中の選挙でも当選。前科1犯、ムショ帰りの身でも勝ち続けた「選挙の鬼」である。その男がなぜ負けたのか。そして、もう一つの敗北、総理候補を奈落の底に突き落とした“あの事件”と、その取り調べで“140日間完全黙秘”を貫き通した真意とは。数々の逆境を乗り越えてきた不屈の政治家・中村喜四郎の生き様に迫る。
5.『ももいろクローバーZ 〜アイドルの向こう側 (仮)』 監督:酒井祐輔
女性アイドルの最前線を走り続けているももいろクローバーZ。そんな彼女たちも最年少が25歳、最年長は28歳を迎え、30代が目前に。男性は何歳になってもアイドルを続けられるが女性は? これまでもアイドルの常識を覆し続け、日本の芸能界で前人未到の境地を切り拓こうとしているももクロはどこに向かい、私たちに何をみせてくれようとしているのか? メンバーや関係者たちへのインタビューを通じて、その可能性と未来をみつめる。
6.『ライブで歓声が聞こえる日 コロナ禍に抗う音楽業界 (仮)』 監督:川西全
5人組メタルバンド「HAGANE」。彼女たちの“晴れ舞台”初ワンマンライブは新型コロナの感染拡大で無観客に。それから今日まで観客はライブで声を出すことが禁じられている。水際措置で開催困難となった海外アーティストの来日公演。洋楽プロモーターは2年以上“本業”ができず、先も見通せないままだ。観客の“声出し”はいつ解禁されるのか。海外アーティストが日本でライブをする日はいつ来るのか。コロナ禍に生きる音楽関係者の苦悩を描く。
7.『戦争の狂気 戦場特派員が見た中東和平の現実 (仮)』 監督:須賀川拓
それはまるでカミソリのように鋭く、その大きさからは想像できないほどズシリと重かった。イスラエルがガザに投下した爆弾の破片は、いとも簡単に体を切り裂く。「精密誘導弾だから、人道的に配慮している」とイスラエルは主張する。対するイスラム組織ハマスは4000発ものロケット弾を無差別に放った上で「イスラエルが境界の封鎖を解けば軍事施設を狙う精密兵器を作る」と開き直った。現場を歩き、集めた証言から浮かび上がる戦争の残酷な現実に迫る。
8.『難病と私〜萌々花20歳 だから私は前を向く』 監督:山本一雄
病気を知ってもらう一番の方法は、自分の言葉で伝えること。「混合型脈管奇形」という、原因も根本的な治療法も分からない難病と闘う萌々花さんは自らカメラを回した。記録されていたのは…毎日服用する大量の薬、お腹の血管の塊を取り除いた手術の痕、痛みで眠れない様子…赤裸々な闘病生活。そして、彼女の本音。病気のこと、友達のこと、母のこと、彼女が自立を目指すこれからのこと…20歳になった萌々花さんは“私らしく”前を向いて生きていく。
9.『日の丸 〜それは今なのかもしれない (仮)』 監督:佐井大紀
TBSドキュメンタリー史上、最大の問題作と呼ばれた作品がある。1967年2月放送、街頭インタビューのみで構成された番組『日の丸』。「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」と街頭インタビュー。放送当時に閣議で問題視され、長年タブーとされてきた本作が現代に甦る。2022年の今を生きる人たちに同じ質問をしたらどう答えるか。55年でどう変わったのか。2022年と1967年、2つの時代の『日の丸』インタビューの対比を中心に、「日本」の姿を浮かび上がらせていく。
10 .『地下鉄サリン被害者家族の25年 〜さっちゃん最後のメッセージ (仮)』監督:西村匡史
「家族みんなで支えていたことが、さっちゃんにとって本当に幸せだったのだろうか。辛い辛いで生きていたのではないだろうか」。2021年3月、浅川幸子さんの一周忌で、兄の一雄さんは涙を拭った。地下鉄サリン事件で重い障害を負いながらも、懸命に生きてきた幸子さん。傍らには在宅で介護し、いつも寄り添い続けた一雄さん一家の存在があった。突然、襲いかかった苦難に被害者家族はどう向き合ったのか。さっちゃんと家族の25年の記録。
11 .『クライマー山野井泰史 〜垂直に魅せられた人生〜 (仮)』 監督:武石浩明
「誰も成し遂げていないクライミングを成功させて、生きて還る」。世界の巨壁に単独で挑み続けてきたクライマー・山野井泰史。彼は2021年、登山界最高の栄誉、ピオレドール生涯功労賞を受賞した。しかし、山野井の挑戦は終わらない。伊豆半島にある未踏の岩壁に新たなルートを引こうとしていた。そして再びヒマラヤにも。“垂直の世界”に魅せられた男の激しい生き様とは? 山野井の生涯のパートナーである妻・妙子への取材も通して問いかける。
TBSでは、社内に残されていた稀代の天才作家・三島由紀夫と東大全共闘の討論会の全貌をおさめた映像を、ドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(2020年)として劇場公開。その反響の大きさなどから社内でドキュメンタリーの可能性に注目が集まり、TBSのドキュメンタリー映画を総括する新ブランド「TBS DOCS」が誕生。“DOCS”とは、“DOCUMENTARY FILMS”の略称。「日本でもドキュメンタリー文化を広げるきっかけになれば」と、大久保氏は語った。
テレビというメディアを持っていながら、ドキュメンタリー映画を制作するモチベーションとして、「臨場感の出る劇場の大きなスクリーンで観てもらえる魅力が前提としてあるが、現場には、ストレートニュースだけではなく、放送されなかった部分や、放送した後にもさらに取材をして得た新たな事実を、続編として届けたいとい思った時に、ドキュメンタリー映画にするというのは、より深く丁寧に伝えることができる」と大久保氏は説明し、放送コードのある地上波よりも映画にすることで「表現の幅は広がるのは間違いない」と話していた。
今回の上映作品の中で、注目される作品の一つが、3月4日から劇場公開される『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』(監督:立山芽以子)。武装勢力による性暴力があとを絶たないコンゴ民主共和国で、ノーベル平和賞を受賞した婦人科医を取材した作品。現地の女性たちは、私たちが使っているスマートフォンやPCなどの部品づくりに欠かせない鉱物資源の利権のために、武装勢力から性暴力を受けているという。
立山監督は「コンゴで起きている性暴力と、日本の性暴力、性犯罪は同列では語れない。どのように説明すれば、理解、共感、想像できるか、苦心したが、わからないものはわからないものとして、現地の女性たちの証言に耳を傾けてもらい、日本人の理解を超えた現実があるということを丁寧に描くことで理解を得たいと思った。この問題は自分たちともつながっている問題、自分たちが生きる同じ世界でこういうことが起きていることを知ってもらい、考え、行動につながっていけば」と、作品に込めた思いを語っていた。
■上映作品
1.『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』監督:立山芽以子
2.『池袋母子死亡事故 「約束」から3年 (仮)』監督:守田哲
3年前、当時87歳の男が運転する乗用車が暴走し、最愛の妻と娘を亡くした松永拓也さん。事故の裁判は「禁錮5年」の実刑判決で終結したが、松永さんの葛藤は終わらない。遺品の整理をする手は、慟哭とともに止まった。収監直前に自らの過失を認めた加害者の飯塚幸三受刑者。心境の変化に至るまで何があったのか。社会に衝撃を与えた高齢ドライバー事故の遺族と加害者を、3年間にわたり取材した真実の記録。
3.『永遠の総理候補・石破茂 嫌われた正論 (仮)』 監督:中島哲平
永遠の総理候補――石破茂。国民人気が高く、“次期総理・総裁”との期待の声も上がるが、総裁選にこれまで4度挑戦するものの連戦連敗。さらに退会者が相次ぎ、2021年12月、「石破派」解消。石破氏はなぜ党内のハグレ者となったのか? 今、何を考え、どう進むのか? 本心を見せない石破氏の実像を知るため、同志、対立議員、石破派退会者、友人、妻などを直撃。石破氏に関わってきた人物たちの証言、石破氏への密着の中で見えてきたものとは?
4.『完黙 中村喜四郎〜選挙無敗の男が負けた時 (仮)』 監督:武田一顕、松原由昌
昨年の衆院選、「無敗の男」と呼ばれた男が初めて敗れた。中村喜四郎…初出馬から40年以上、あっせん収賄罪で逮捕、起訴中の選挙でも当選。前科1犯、ムショ帰りの身でも勝ち続けた「選挙の鬼」である。その男がなぜ負けたのか。そして、もう一つの敗北、総理候補を奈落の底に突き落とした“あの事件”と、その取り調べで“140日間完全黙秘”を貫き通した真意とは。数々の逆境を乗り越えてきた不屈の政治家・中村喜四郎の生き様に迫る。
女性アイドルの最前線を走り続けているももいろクローバーZ。そんな彼女たちも最年少が25歳、最年長は28歳を迎え、30代が目前に。男性は何歳になってもアイドルを続けられるが女性は? これまでもアイドルの常識を覆し続け、日本の芸能界で前人未到の境地を切り拓こうとしているももクロはどこに向かい、私たちに何をみせてくれようとしているのか? メンバーや関係者たちへのインタビューを通じて、その可能性と未来をみつめる。
6.『ライブで歓声が聞こえる日 コロナ禍に抗う音楽業界 (仮)』 監督:川西全
5人組メタルバンド「HAGANE」。彼女たちの“晴れ舞台”初ワンマンライブは新型コロナの感染拡大で無観客に。それから今日まで観客はライブで声を出すことが禁じられている。水際措置で開催困難となった海外アーティストの来日公演。洋楽プロモーターは2年以上“本業”ができず、先も見通せないままだ。観客の“声出し”はいつ解禁されるのか。海外アーティストが日本でライブをする日はいつ来るのか。コロナ禍に生きる音楽関係者の苦悩を描く。
7.『戦争の狂気 戦場特派員が見た中東和平の現実 (仮)』 監督:須賀川拓
それはまるでカミソリのように鋭く、その大きさからは想像できないほどズシリと重かった。イスラエルがガザに投下した爆弾の破片は、いとも簡単に体を切り裂く。「精密誘導弾だから、人道的に配慮している」とイスラエルは主張する。対するイスラム組織ハマスは4000発ものロケット弾を無差別に放った上で「イスラエルが境界の封鎖を解けば軍事施設を狙う精密兵器を作る」と開き直った。現場を歩き、集めた証言から浮かび上がる戦争の残酷な現実に迫る。
8.『難病と私〜萌々花20歳 だから私は前を向く』 監督:山本一雄
病気を知ってもらう一番の方法は、自分の言葉で伝えること。「混合型脈管奇形」という、原因も根本的な治療法も分からない難病と闘う萌々花さんは自らカメラを回した。記録されていたのは…毎日服用する大量の薬、お腹の血管の塊を取り除いた手術の痕、痛みで眠れない様子…赤裸々な闘病生活。そして、彼女の本音。病気のこと、友達のこと、母のこと、彼女が自立を目指すこれからのこと…20歳になった萌々花さんは“私らしく”前を向いて生きていく。
9.『日の丸 〜それは今なのかもしれない (仮)』 監督:佐井大紀
TBSドキュメンタリー史上、最大の問題作と呼ばれた作品がある。1967年2月放送、街頭インタビューのみで構成された番組『日の丸』。「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」と街頭インタビュー。放送当時に閣議で問題視され、長年タブーとされてきた本作が現代に甦る。2022年の今を生きる人たちに同じ質問をしたらどう答えるか。55年でどう変わったのか。2022年と1967年、2つの時代の『日の丸』インタビューの対比を中心に、「日本」の姿を浮かび上がらせていく。
10 .『地下鉄サリン被害者家族の25年 〜さっちゃん最後のメッセージ (仮)』監督:西村匡史
「家族みんなで支えていたことが、さっちゃんにとって本当に幸せだったのだろうか。辛い辛いで生きていたのではないだろうか」。2021年3月、浅川幸子さんの一周忌で、兄の一雄さんは涙を拭った。地下鉄サリン事件で重い障害を負いながらも、懸命に生きてきた幸子さん。傍らには在宅で介護し、いつも寄り添い続けた一雄さん一家の存在があった。突然、襲いかかった苦難に被害者家族はどう向き合ったのか。さっちゃんと家族の25年の記録。
11 .『クライマー山野井泰史 〜垂直に魅せられた人生〜 (仮)』 監督:武石浩明
「誰も成し遂げていないクライミングを成功させて、生きて還る」。世界の巨壁に単独で挑み続けてきたクライマー・山野井泰史。彼は2021年、登山界最高の栄誉、ピオレドール生涯功労賞を受賞した。しかし、山野井の挑戦は終わらない。伊豆半島にある未踏の岩壁に新たなルートを引こうとしていた。そして再びヒマラヤにも。“垂直の世界”に魅せられた男の激しい生き様とは? 山野井の生涯のパートナーである妻・妙子への取材も通して問いかける。
2022/01/21