ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で、新世代の映像作家たちを支援するプロジェクト“Disney Launchpad”から生まれた短編映画6作品が配信中だ。さまざまなバックグラウンドを持つ監督たちが作り上げたのは、すべて20分ほどの映画でありながら、“自分を受け入れること”や“他者を受け入れること”など、近年のディズニーが大切に紡いできた想いがギュッと込められた6本となっている。
■『アナと雪の女王』『モンスターズ・インク』…世界を魅了したディズニー映画との共通点
“Disney Launchpad”短編映画コレクションの一つ、『リトル・プリン(セ)ス』は、バレエや人形遊びが好きな中国人の少年と、その友達の交流を描く物語。大好きなピンク色の物に囲まれ、ガブリエルはニコニコとした笑顔で楽しい日々を送っているが、周囲からは「男なら普通はそんなことしない。普通とは思えない」と偏見の目で見られることもある。
すばらしいのはガブリエルの両親で、「愛らしい、特別な子」と誇りを胸に彼を育てている。目を輝かせながらバレエに励むガブリエルを見ていると、自分らしく生きようとする姿が美しくまぶしいほど。じんわりと、温かな涙のこぼれる一作となっている。監督を務めたモキシー・ペンは「ガブリエルみたいな子だった」そうで、自身の経験をもとに「あるがままの僕を受け入れてくれる人がいる」という想いを本作に込めたという。
“ありのまま生きる”というテーマは、全世界を魅了したディズニー映画『アナと雪の女王』とも重なるものだ。エルサが、他人とは違うことに悩みながらも「ありのままの自分になるの」と歌い上げるさまは、王子様と結ばれることをゴールにしない新たなプリンセス像を打ち出すとともに、多くの人々の心を揺さぶった。愛を感じながら、自分の人生を歩んでいく『リトル・プリン(セ)ス』のガブリエルもきっと、観た人の背中をそっと押してくれる存在となるはずだ。
また人間とバンパイアの間に生まれた少女の悩みをコミカルに描いた『若きバンパイアの憂鬱』も、にぎやかなストーリー展開の中に“多様性”や“ボーダーレス”という、力強いメッセージがあふれ出す一作。アン・マリー・ペイス監督は「私はメキシコ系アメリカ人で、バイセクシュアルなんです」と告白。どのアイデンディティに属するのか葛藤しながら大人になったといい、その不安を主人公の少女ヴァルに投影している。ヴァルの通うモンスター学校で、学生たちは「人間は敵!」と思い込み、会ったこともない人間を目の敵にしている。ヴァルは人間の世界、モンスターの世界のどちらでも自分を偽り、人間の親友・ジミーにも正体を言えずにモヤモヤとした日常を過ごしているのだ。
そこで思い出すのが、ディズニーの大人気シリーズ『モンスターズ・インク』だ。モンスターたちの世界では「人間の子どもは恐ろしい。触れてはいけない」と言い伝えられていたが、モンスターのサリーとマイクは、人間の女の子ブーと出会い、温かな絆を育んでいく。人間やモンスターという枠組みを取り払い、心と心で向き合えば友達になれると伝えてくれる内容は、子どもはもちろん、大人の観客にもさわやかな感動を与えた。『若きバンパイアの憂鬱』のヴァル&ジミーの友情を見ても、偏見や差別を乗り越えることで、新しい未来がやってくることを実感できる。元気になれる一作とオススメしたい。
■ドラマチックで、発見に満ちた魔法の20分
他の4作品も、カラフルな短編がそろった。イスラム教徒でパキスタン人の移民の少女が自分たちの文化を知ってもらおうとアメリカで奮闘する『イード』。『トラになろう』では、母親を亡くした悲しみを抱えた少女が、4歳の子どもの子守をするうちに、孤独を癒していく。『ディナーをどうぞ!』では、全寮制のエリート学校に通う中国人留学生が、努力では勝ち取れないものに対してぶつかっていくき、『最後のチュパカブラ』では、伝統を守ろうと一人で苦戦しているメキシコ系アメリカ人の女性が、ふとしたことから古代の生き物を呼び出してしまう。
人種、宗教の違いなども提示し、多様な考えや価値観を目の当たりにできる作品群で、観た後には世界に対する視野が広がってくるよう。そして、そこから浮かび上がるのは、各々に個性、悲しみ、喜びがあり、それらを誰かと分かち合えたときに、より豊かな人生が開けてくるということ。今は海外旅行や、人々が集うことすら困難な時代となっているが、世界中でたくさんの人が悩みながら、同じように自分の生き方を探しながら歩んでいる…。そう感じるだけでも、なんだか「一人じゃないんだ」と勇気が湧いてくる。登場するのは「その後、あの人たちはどうしているかな?」と想像してしまうような、チャーミングなキャラクターばかり。新たな発見に満ちた、魔法のようにキラキラとした20分をぜひ堪能してほしい。(文:成田おり枝)
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
■『アナと雪の女王』『モンスターズ・インク』…世界を魅了したディズニー映画との共通点
“Disney Launchpad”短編映画コレクションの一つ、『リトル・プリン(セ)ス』は、バレエや人形遊びが好きな中国人の少年と、その友達の交流を描く物語。大好きなピンク色の物に囲まれ、ガブリエルはニコニコとした笑顔で楽しい日々を送っているが、周囲からは「男なら普通はそんなことしない。普通とは思えない」と偏見の目で見られることもある。
すばらしいのはガブリエルの両親で、「愛らしい、特別な子」と誇りを胸に彼を育てている。目を輝かせながらバレエに励むガブリエルを見ていると、自分らしく生きようとする姿が美しくまぶしいほど。じんわりと、温かな涙のこぼれる一作となっている。監督を務めたモキシー・ペンは「ガブリエルみたいな子だった」そうで、自身の経験をもとに「あるがままの僕を受け入れてくれる人がいる」という想いを本作に込めたという。
“ありのまま生きる”というテーマは、全世界を魅了したディズニー映画『アナと雪の女王』とも重なるものだ。エルサが、他人とは違うことに悩みながらも「ありのままの自分になるの」と歌い上げるさまは、王子様と結ばれることをゴールにしない新たなプリンセス像を打ち出すとともに、多くの人々の心を揺さぶった。愛を感じながら、自分の人生を歩んでいく『リトル・プリン(セ)ス』のガブリエルもきっと、観た人の背中をそっと押してくれる存在となるはずだ。
また人間とバンパイアの間に生まれた少女の悩みをコミカルに描いた『若きバンパイアの憂鬱』も、にぎやかなストーリー展開の中に“多様性”や“ボーダーレス”という、力強いメッセージがあふれ出す一作。アン・マリー・ペイス監督は「私はメキシコ系アメリカ人で、バイセクシュアルなんです」と告白。どのアイデンディティに属するのか葛藤しながら大人になったといい、その不安を主人公の少女ヴァルに投影している。ヴァルの通うモンスター学校で、学生たちは「人間は敵!」と思い込み、会ったこともない人間を目の敵にしている。ヴァルは人間の世界、モンスターの世界のどちらでも自分を偽り、人間の親友・ジミーにも正体を言えずにモヤモヤとした日常を過ごしているのだ。
そこで思い出すのが、ディズニーの大人気シリーズ『モンスターズ・インク』だ。モンスターたちの世界では「人間の子どもは恐ろしい。触れてはいけない」と言い伝えられていたが、モンスターのサリーとマイクは、人間の女の子ブーと出会い、温かな絆を育んでいく。人間やモンスターという枠組みを取り払い、心と心で向き合えば友達になれると伝えてくれる内容は、子どもはもちろん、大人の観客にもさわやかな感動を与えた。『若きバンパイアの憂鬱』のヴァル&ジミーの友情を見ても、偏見や差別を乗り越えることで、新しい未来がやってくることを実感できる。元気になれる一作とオススメしたい。
■ドラマチックで、発見に満ちた魔法の20分
他の4作品も、カラフルな短編がそろった。イスラム教徒でパキスタン人の移民の少女が自分たちの文化を知ってもらおうとアメリカで奮闘する『イード』。『トラになろう』では、母親を亡くした悲しみを抱えた少女が、4歳の子どもの子守をするうちに、孤独を癒していく。『ディナーをどうぞ!』では、全寮制のエリート学校に通う中国人留学生が、努力では勝ち取れないものに対してぶつかっていくき、『最後のチュパカブラ』では、伝統を守ろうと一人で苦戦しているメキシコ系アメリカ人の女性が、ふとしたことから古代の生き物を呼び出してしまう。
人種、宗教の違いなども提示し、多様な考えや価値観を目の当たりにできる作品群で、観た後には世界に対する視野が広がってくるよう。そして、そこから浮かび上がるのは、各々に個性、悲しみ、喜びがあり、それらを誰かと分かち合えたときに、より豊かな人生が開けてくるということ。今は海外旅行や、人々が集うことすら困難な時代となっているが、世界中でたくさんの人が悩みながら、同じように自分の生き方を探しながら歩んでいる…。そう感じるだけでも、なんだか「一人じゃないんだ」と勇気が湧いてくる。登場するのは「その後、あの人たちはどうしているかな?」と想像してしまうような、チャーミングなキャラクターばかり。新たな発見に満ちた、魔法のようにキラキラとした20分をぜひ堪能してほしい。(文:成田おり枝)
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2021/06/20