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「アカデミー映画博物館」今秋のオープニングを飾る「宮崎駿展」の中身

 今年9月30日(日本時間10月1日)、米カリフォルニア州ロサンゼルスに「アカデミー映画博物館(Academy Museum of Motion Pictures)がオープン予定だ。先日、グランドオープン時の一般来館者向けプログラム・リストが発表された。オープニング記念企画展として行われる「宮崎駿展」の内容も明らかになった。

アカデミー映画博物館のオープニング記念企画展で60年に及ぶキャリアと手掛けた作品が紹介される宮崎駿監督(撮影:Nicolas Guerin)

アカデミー映画博物館のオープニング記念企画展で60年に及ぶキャリアと手掛けた作品が紹介される宮崎駿監督(撮影:Nicolas Guerin)

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 アカデミー映画博物館は、映画製作にまつわる芸術、科学、そしてアーティストたちに捧げるアメリカ最大の施設。建物は、プリツカー賞(Pritzker Prize)を受賞したレンゾ・ピアノ(Renzo Piano)が設計。ウィルシャー(Wilshire)通りとフェアファックス(Fairfax)通りの角の広さ30万平方マイル(2万7870平方メートル)の敷地に位置し、二つの建物で構成されている。その一つであるサバン(Saban)ビルは、町のランドマークである1939年建築のストリームライン・モダン様式のメイ・カンパニー・ビル(May Company Building)を修復し、大口寄付者のシェリルとハイムのサバン夫妻(Cheryl & Haim Saban)の名を冠したもの。もう一つはその北側に建てられた、ガラスとコンクリート製の高くそびえたつ球形の建物で、そのテラスからはハリウッド・ヒルズを見渡すことができる。

 施設内のギャラリー・スペースはのべ5万平方フィート(4600平方メートル)超。WHY Architecture」が展示デザインを手掛ける「映画の物語(Stories of Cinema)」と題した、映画の歴史に関する没入型常設展のほか、さまざまな企画展示を行っていく。

 その企画展のオープニングを飾るのが、「宮崎駿展」。会場は、博物館の4階にある「マリリン・ジェフリー・カッツェンバーグ(Marilyn and Jeffrey Katzenberg)」ギャラリー。約1122平方メートルもの広大なスペースで、宮崎氏自身と彼が手掛けた作品に焦点を当てる、北米初の回顧展となる。

 日本国外で初めて公開されるものを含む、オリジナルのイメージボード、キャラクター・デザイン、絵コンテ、レイアウト、背景画、ポスター、セル画など、300以上の展示品や映像の上映などを通して、『となりのトトロ』(My Neighbor Totoro、1988年)やアカデミー賞受賞作品『千と千尋の神隠し』(Spirited Away、2001年)を含む宮崎作品の世界を紹介。60年に及ぶ宮崎監督のキャリア、そして彼の情熱と美学を駆り立てているものにフォーカスしていく。

■宮崎駿の世界を旅するような構成に

 展示はテーマ別の7つのセクションからなり、作品の世界を旅するかのような構成。まず、『となりのトトロ』に登場する4歳の“メイ”の後を追って、宮崎監督の魅力的な世界へいざなう「ツリートンネル」。中では、さまざまなキャラクターがどのようなコンセプトで作られたのか、宮崎監督と共にスタジオジブリを設立した盟友の故・高畑勲監督とともに長きに渡り取り組んだ作品、またアニメ作家としての彼の初期の作品を紹介する。

 さらに進み、「想像の世界(Creating Worlds)」では、宮崎のアニメにしばしば登場する美しく平和な自然の風景と、労働と技術に支配された産業世界の対比に注目。宮崎監督の想像力が垣間見られるスケッチ画や背景画の中から『千と千尋の神隠し』に登場する有名な湯屋を通じて、垂直に伸びる構造物への彼の深い関心、『崖の上のポニョ』(Ponyo、2008年)では水中世界、そして『紅の豚』(Porco Rosso、1992年)や『風立ちぬ』(The Wind Rises)(2013年)から飛ぶことに対する関心もそれぞれ浮き彫りにしていく。

 宮崎作品のもう一つのモチーフとなる「ゆったりとした時間を過ごしたい」「一休みしたい」「考えたい」「夢を見たい」という思いを表現したスカイビュー インスタレーションも本展の見どころ。

 「変容(Transformations)」では、宮崎作品の登場人物やストーリーが目覚ましい変容を遂げていく様子など、映画の世界観を体感。最後に魔法の森と、その母なる木のインスタレーションにたどり着く。宮崎作品に登場する巨大で神秘的な木は、夢と現実の狭間で、別の世界への扉を開いてくれるものだ。

 隣接するワーナーブラザースのギャラリーでは、スタジオジブリによる同様の装置から着想を得た驚くべき「ピクサー・トイストーリー・ゾエトロープ」(Pixar Toy Story Zoetrope)も展示される。

 なお、宮崎駿展の後は、「再生:黒人のシネマ 1898〜1971」(Regeneration:Black Cinema 1898-1971)が決定している。これはワシントンDCにある国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館のキュレーターと共同で制作。黒人アーティストが映画業界にもたらした功績についてはじめから探求する初めての試みとなる。

 秋のグランドオープンに先駆け、現地時間4月25日に予定されている「第93回アカデミー賞授賞式(Academy Awards)」に合わせて、オンライン対談、映画上映、教育プログラムなど、アカデミー賞に関する一連のバーチャル・プログラムを展開する。家族連れを対象に宮崎監督の映画の世界を案内する「“宮崎駿・ファミリー・デー”」も実施。バーチャル・プログラムは、アカデミー映画博物館のホームページやソーシャル・メディア(SNS)を通じて、一部を除き世界中で利用できる。

関連写真

  • アカデミー映画博物館のオープニング記念企画展で60年に及ぶキャリアと手掛けた作品が紹介される宮崎駿監督(撮影:Nicolas Guerin)
  • 球体空間が特徴的なアカデミー映画博物館の外観(写真:ジョシュ・ホワイト)JW Pictures/(C)Academy Museum Foundation
  • 歴史的なサバン・ビル(旧メイ・カンパニー・ビル(1939年)が修復され、アカデミー映画博物館として生まれ変わるJW Pictures/(C)Academy Museum Foundation
  • 『風の谷のナウシカ』(1984)イメージボード 宮崎駿 (C)1984 Studio Ghibli・H
  • 『風の谷のナウシカ』(1984)イメージボード 宮崎駿(C) 1984 Studio Ghibli・H
  • 『風の谷のナウシカ』(1984)スチール写真 宮崎駿(C) 1984 Studio Ghibli・H
  • 『天空の城ラピュタ』(1986)背景画 (C) 1986 Studio Ghibli
  • 『天空の城ラピュタ』(1986)イメージボード 宮崎駿(C) 1986 Studio Ghibli
  • 『天空の城ラピュタ』(1986)スチール写真 宮崎駿(C) 1986 Studio Ghibli
  • 『となりのトトロ』(1988)イメージボード 宮崎駿(C) 1988 Studio Ghibli
  • 『となりのトトロ』(1988)イメージボード宮崎駿(C) 1988 Studio Ghibli
  • 『となりのトトロ』(1988)スチール写真 宮崎駿(C) 1988 Studio Ghibli
  • 『魔女の宅急便』(1989)レイアウト (C) 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N
  • 『魔女の宅急便』(1989)スチール写真 宮崎駿(C)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

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