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【エール】第18週「戦場の歌」振り返り インパール作戦を描いた衝撃

 NHKの連続テレビ小説『エール』(月〜土 前8:00 総合ほか※土曜は1週間の振り返り)の第18週「戦場の歌」(第86回〜第90回:10月12日〜10月16日)では、音楽慰問でビルマを訪れた主人公の古山裕一(窪田正孝)が、太平洋戦争で最も無謀と言われた「インパール作戦」の悲劇を目の当たりにし、やがて終戦を迎えるまでが描かれた。

連続テレビ小説『エール』第18週・第88回より。慰問先のビルマで藤堂先生(森山直太朗)と再会した裕一(窪田正孝)だったが、藤堂率いる部隊を悲劇が襲った(C)NHK

連続テレビ小説『エール』第18週・第88回より。慰問先のビルマで藤堂先生(森山直太朗)と再会した裕一(窪田正孝)だったが、藤堂率いる部隊を悲劇が襲った(C)NHK

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 『エール』では、第15週から4週(約1ヶ月)にわたって、戦争下の音楽について真正面から向き合った。音楽は、人々を元気づけるが、戦意高揚にも利用される。連続テレビ小説で、これほど戦争を詳しく描いた作品も異例だ。さらに、GReeeeNの主題歌が流れるオープニング映像もなく、戦争映画並みの戦地シーンに終始した回(第88回)も。新しい視点で戦争と音楽を描き出し、さまざまな意味で衝撃を与えた。

 制作統括の土屋勝裕氏は「主人公・裕一のモデルとなった古関裕而さんは、戦時中、軍歌・軍国歌謡で大ヒット作を数多く生み出しました。外地慰問にも行かれています。そういった経験なくして戦後、『長崎の鐘』や『栄冠は君に輝く』などの名曲は生まれなかったのではないでしょうか。戦時下の音楽を丁寧に描くことで、平和の大切さ、尊さが見えてくると思い、戦争中のパートはちゃんと描こうと、最初から考えていました」と話している。音楽は時に戦意高揚に貢献し、平和にも貢献する。良し悪しではなく、戦争によって生まれた音楽もあるという事実を伝えることに重点をおいた1ヶ月だった。

 作家・水野伸平(大内厚雄)、洋画家・中井潤一(小松和重)とともにビルマにやって来た裕一。作戦は予定どおりに進んでいないようで、前線に向かう命令がなかなか下りずラグーンで足止めされていた。1ヶ月後。ようやく水野と中井は前線に行くことが許される。その際、裕一は、水野から「ビルマ派遣軍の歌」という詞を託され、曲をつける。

 前線から戻った中井の話で、裕一は戦況が絶望的な事を知る。さらに、従軍記者の大倉憲三(片桐仁)から、藤堂先生(森山直太朗)がビルマにいる部隊の隊長として配属されていることを聞き、危険な状況の中行くべきかしばらく悩んだ末、慰問を申し出る。申し出が認められ、裕一はすぐに出発。藤堂先生と念願の再会を果たす。

 藤堂先生は、楽器のできる兵士、神田憲明(山崎潤)、東次郎(近藤フク)、岸本和俊(萩原利久)らを集めて楽団を結成。慰問会で「ビルマ派遣軍の歌」を披露しようと、さっそく練習をはじめた。「ビルマ派遣軍の歌」を高らかに歌う藤堂先生。

 その夜、音楽を通して皆の気持ちが通じ合い、裕一と兵士たちは腹を割って語らう。岸本は「今日のようなすばらしい時間を過ごすと死ぬのが怖くなる」と話した。「みんな生きて帰ろう」と、藤堂先生。そして、裕一が作曲した「暁に祈る」をみんなで歌った。その翌日のことだった。和やかに迎えた朝。藤堂率いる部隊は突如、敵兵からの襲撃を受ける。

 どこからともなく放たれる銃弾に、あっけなく倒れていく兵士たち。そして藤堂も。「最後に、お前に会えて、よかった。昌子と憲太…頼む…もう一度、会いたかった」と言い残し、裕一の腕の中で息を引き取った。

 悲惨な戦場を目の当たりにし、自分は戦争の現実を何も知らずに戦意高揚の曲を書き続けていたことを思い知った裕一は「僕、何も知りませんでした、ごめんなさい、ごめんなさい…」と、泣きじゃくった。

 慰問から無事に帰国した裕一は、その足で藤堂先生から託されていた手紙を昌子(堀内敬子)に渡すために、福島の藤堂家に向かう。手紙には、昌子に出会えて自分が変われたこと、そして「君が好きだった。愛していた。ありがとう。僕の人生に現れてくれて。君に会いたい」とつづられていた。手紙を読み、「幸せだった」「もう一度、会いたい」と泣く昌子。

 一方、音(二階堂ふみ)は福島でまさ(菊池桃子)や浩二(佐久本宝)、華(根本真陽)とおだやかな毎日を過ごしていた。裕一の姿を見て、安心する音。しかし、心の整理がつかない裕一は「しばらく一人でいたい」と先に東京に戻る。戦況が悪化するほど、国民の士気を高めるために裕一への曲作りの依頼は増え続け、裕一は心を殺して曲をつくり続けていた…。

 昭和20年6月19日。豊橋は空襲に遭い、原稿を取りに行った梅と、梅を助けに行った岩城(吉原光夫)が戦火に巻き込まれる。梅と岩城は助かったものの、岩城はもともと心臓が悪かったらしく寝たきりの状態に。

 昭和20年8月15日。日本は敗戦。ようやく戦争が終わった。裕一のもとに、弘哉の母・トキコ(徳永えり)がやってきて、「これだけ返ってきた」とハーモニカを取り出し、弘哉が戦死したことを伝え、泣き崩れた。

 裕一は、自分の作った音楽が人々を戦争に駆り立て、若い人の命を奪ってしまったと自分を責める。「音楽が憎い」と話し、裕一は曲を書くことができなくなってしまう。

 その頃、日本放送協会(NHK)の局員・初田功(持田将史)、重森正(板垣瑞生)のもとに、戦争孤児をテーマにしたラジオドラマの企画を持ち込む男がいた。劇作家の池田二郎(北村有起哉)だ。結局、初田に言いくるめられ、別のドラマをやることになったが、池田は必ず作ると意気込むのだった。

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