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久保田紗友、菜々緒に続く“悪女”ポジション確立 嫌われ役は若手女優のチャレンジ枠へと変化

 正統派美女でありながら、クールな強さが印象的な若手女優・久保田紗友。話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)で、主人公アユをおとしめていじめるレッスンメート・玉木理沙役で、性悪女の風格を漂わせるイビリ役を好演。若干20歳にして若手悪女役ポジションを確立している。大渋滞中の同年代の若手女優のなかでも一歩抜きん出ている実力派の彼女が、菜々緒に続く“悪女枠”の新星として期待を一身に集めている。

主人公・アユのイビリ役を好演する久保田紗友(C)『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)

主人公・アユのイビリ役を好演する久保田紗友(C)『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)

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■『M』でのイビリ役、アクの強い個性派のなかで残した強烈なインパクト

 4月期の数少ないドラマのなかで異彩を放っていた若手女優が、クールビューティ・久保田紗友。『M 愛すべき人がいて』で見せる演技は、SNSを「すごく綺麗で演技もうまい。スター性がある」「次作に期待するファン多いはず」などとざわつかせているのだ。

 久保田紗友が演じる理沙は、アユと高校の同級生の友人であり、第1話では、芸能界での成功を夢見る、同じ目標を持って意気投合する仲間として描かれる。しかし、第2話から一転。プロデューサーのマサ(三浦翔平)がアユに入れ込んでいく様を目の当たりにすると、徐々に敵意をむき出しに。歌手デビューを競うライバル心から激しい嫌がらせをするようになる。

 石けんを床に塗りたくった浴室で転倒させたり、アユが書いた詞を「あなたのセンス、マイナス200点」とこき下ろしたり、アユの頭からオレンジジュースを浴びせるといった激しいイジメを繰り広げた。また、所属するガールズグループのプロデューサー・流川翔(白濱亜嵐)と寝るなど、アユを蹴落とすためには自身が汚れることもいとわない。

 そんな徹底した悪女役が、インタビューで自身の特徴を「自分の強みは度胸があるところ」とする久保田紗友の演技力とビジュアルの強さがハマり、古典的なイジメてんこ盛り演出の妙と相まって強烈な破壊力となり、視聴者に強烈なインパクトを与えた。アクの強い個性的なキャラクターが多く登場する同作のなかでも、周囲にまったく引けを取らない際立った存在感を放っている。

■「進学はせず仕事一本でやっていく」、演技に対する強い覚悟

 久保田紗友といえば、地元・北海道の劇団での活動を経て、「とりあえずテレビに出たいと思って」と小学6年生で現在の事務所のオーディションを受け、東京の劇団ハーベストに所属した。

「高校卒業後、進学はせず、仕事一本でやっていく、と決めてから、生活がかかっているんだ(笑)という責任感を持つようになってきた」(2020年2月15日/ORICON NEWS)と当時の様子を語っており、覚悟を持って芸能の道を歩む、舞台で演技を磨いてきた実力派だ。

 また、演技については「お芝居をしている時に、いまのはなんだったんだろう?って、ゾーンに入った感覚っていうのかな? うまく言葉にできないんですが、自分と役がピタッと一致して自然と身体が動く不思議な感覚になることがあって。そうなった時の充実感やワクワク感をまた味わいたいって思ってしまうんです」とも語っており、自身の天才肌の資質にも触れている。

 これまで着実に努力を重ねてチャンスをものにし、2015年にはNTTドコモ『iPhone・iPad』CMで注目。さらに、2016年後期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』では、クールでどこかミステリアスさのある複雑な役どころを朝ドラという大舞台で好演した。

 そして『過保護のカホコ』(2017年/日本テレビ系)では、主人公の従姉妹の高校生・富田糸役で出演。優等生から一変してグレていく思春期の女子高で、クールかつ迫力に満ちた熱演で暴言を吐くシーンは、視聴者に強いインパクトを残していた。

 その後も、『この世界の片隅に』(2018年/TBS系)や『鈍色の箱の中で』(2020年/テレビ朝日系)といったドラマのほか、映画でも『サヨナラまでの30分』ヒロイン役や、2021年公開予定の『叩き壊すほどに君へ-WADAIKO†GIRLS-』では紺野彩夏とW主演を務めるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げている。

■“悪女役”の価値は向上、ステップアップのきっかけに

 かつての悪女役といえば、視聴者にネガティブな印象を与え、若くしてそのイメージがついて嫌われることを懸念する若手女優が多く、避けられてきた役どころだった。

 しかし、ドラマや映画において“嫌われ役”は必要不可欠。むしろ物語の要所でキーとなる存在になることが多く、出演シーンが多いことからも、良くも悪くも視聴者に強い印象を残す。作品によっては、他の共演者だけでなく、主演をも凌駕するインパクトを与える役柄でもあり、女優としてはチャンスになる役どころでもある。

 ここ最近は、「悪女」の価値は今や向上しており、視聴者も悪女を演じたことで嫌悪感を抱くことは少なく、観るものに負の感情を沸き起こさせる演技をしっかりと評価している。

 たとえば今田美桜も、ここ最近“嫌われ役”で話題を集めた若手女優のひとりだろう。『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(2019年/TBS系)や『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)での“性悪オンナ”役は、見事に自身の存在感を印象付けていた。

 いまや悪女役は、女優にとって活躍の場を広げるきっかけになっているのだ。

 久保田紗友の『M』での好演に対して、SNSでは「演技がうますぎて久保田紗友ちゃんまで嫌いになりそう」という声も寄せられていたが、これは女優にとって最大の賛辞だろう。つまり、悪女を演じ切るには確かな演技力が必要であり、こうした声はそれが認められた証になる。

■「美貌」「演技力」「黒髪ロング」…悪女に必要な条件もクリア

 まさにいまスターダムを駆け上がっている新鋭女優の久保田紗友は、二階堂ふみ橋本愛土屋太鳳黒島結菜など演技派を多数輩出しているソニー・ミュージックアーティスツが売り出し中の若手である。

 16歳時のインタビューでは「オーディション会場に行くと同い年ぐらいの女優さんがたくさんいて、すごくライバル視してしまいます」と語っているが、その負けん気の強さ、自身を向上させるライバル意識といったメンタル部分も、“強い女オーラ”を醸し出す源泉となっており、そのビジュアルと相まって唯一無二の存在感を放っている。

 黒髪ロングヘア、意思の強さを感じさせるまなざしなどからは、実年齢よりも落ち着いた雰囲気が感じられる。圧倒的な存在感を放つ悪女には、類まれなる美貌も不可欠だ。そんなさまざまな条件を満たす悪役女優枠としては、これまで菜々緒が一手にその座を担っていたが、若くして他の追随を許さない逸材が登場したといえる。

 まもなく放送再開されるであろう『M』は、久保田紗友への注目度も高い。この先、さらなる激しいイビリへの期待も高まっているが、次作以降でのさまざまなクセのある女役にも注目が集まりそうだ。
(文/武井保之)
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