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桜庭ななみ&松下洸平のリモートドラマ、関西ローカルから全国への舞台裏

 NHK大阪拠点放送局の制作によるリモートドラマ『ホーム・ノット・アローン』。今月18日から関西地域のみで放送されたが、“視聴者の声”に応える形で、5月30日深夜(=31日 前2:05〜2:15)に全国放送される。どのように作られたのか、制作統括の小川徹氏、城谷厚司氏、演出を担当した泉並敬眞氏に聞いた。(※取材は5月26日、WEB会議システムを使って実施した)。

リモートドラマ『ホーム・ノット・アローン』撮影した映像をチェックしあう桜庭ななみと松下洸平(C)NHK

リモートドラマ『ホーム・ノット・アローン』撮影した映像をチェックしあう桜庭ななみと松下洸平(C)NHK

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、テレビ各局は“ロックダウン”状態に。NHKでも4月1日から連続テレビ小説や大河ドラマをはじめ、ドラマの収録を見合わせるようになった。そんな中、NHKで“テレワークドラマ”『今だから、新作ドラマ作ってみました』と題した新作ドラマの制作を発表。5月4日、5日、8日夜にそれぞれ1話ずつ放送し、大きな反響を呼んだ。

 それから少し経った5月14日、NHK大阪拠点放送局からリモートドラマ『ホーム・ノット・アローン』の制作が発表された。3月まで放送されていた連続テレビ小説『スカーレット』で共演した桜庭ななみ松下洸平が出演するという。しかし、放送は関西地域向けのみ。すぐさま、《凄く見たいんだけど…。関西だけなの?》《全国放送してください》という声がネット上に上がった。

――今回のリモートドラマが実現するまでの経緯を教えてください。

【小川】4月中旬、入局2年目のディレクターが城谷プロデューサーのところに企画を持ち込んだことがきっかけです。彼も緊急事態宣言以降、在宅勤務をしていまして、「誰にも会わずにいるのはこんなにしんどいのか」と感じていて、同じように“つらさ”を感じている人にほんのいっときでも、ドラマで楽しんでもらいたいと思ってドラマを企画したというのです。

 検討して、すぐにやってみようということになって、大型連休に入る前に、脚本家の桑原亮子さん(1月から放送された土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』を担当)に脚本をお願いすることが決まりました。

 並行してキャスティングを進めていきました。泉並ディレクターをはじめ、『スカーレット』のスタッフが関わっていたので、出演者も『スカーレット』にゆかりのある方がいいな、と思い、桜庭ななみさんと松下洸平さんにお願いしたところ、お二人とも快諾してくださいました。5月9日の1日で収録し、突貫で編集して、18日から放送したということになりますので、企画を上げてから約1ヶ月という非常に短期間で作ったことになります。

【城谷】こういう時だからこそ、ドラマで何かできないか、物語で伝えられることがあるんじゃないかと考えていました。できるだけ早く、世の中の人に届けたい。そういう思いも強くありました。

――1話2分、全5話を18日から22日まで5日連続、全5話を再編集した10分版を23日にいずれも関西地域のみで放送されたのは、作ったドラマをできるだけ早く放送するねらいもあったんですね。リモートドラマ制作を通して気づいたことは?

【小川】リモートで作るというのは、集まって収録できないテレビ局側の事情でもあるんですけど、ほかに方法がないからリモートで作ったというのではありません。今回のドラマで一番重要なのは、リモートで作る手法と、ドラマの中身が合っている点が大事だと思っています。

 桜庭さんが演じたくみ子は、アパレル会社に勤めるOLですが、在宅勤務中で「いままで一生懸命やっていた仕事は不要不急なのか」と落ち込んでいたり、修理屋さんにテレビ電話をかけたつもりが、間違えてかかってしまったのが休業中の居酒屋店主だったり。松下さんが演じた常林は、実際に休業を余儀なくされた居酒屋の店主を取材して、脚本を練ってもらいました。

 ドラマの中で、くみ子と常林の二人はビデオ通話というリモートを通じて次第に心を通わせていきます。“自分の出番がくるまで、力を蓄えておこう”とか、“離れていても一人じゃない”と感じる気持ちとか、まさに今、多くの日本人が感じている気持ちに寄り添うような物語と、リモート収録という手法がマッチしたと私たちは考えています。

――今後に生きそうなことはありましたか?

【小川】今回、『スカーレット』のツイッターアカウントを使って、1話を放送する前に、0話をネットで配信しました。その後も、各エピソードをつなぐ2人のツイッターやLINEのやりとり、インスタのストーリーズ風の動画などを紹介して、ドラマとドラマの間も楽しんでいただく。放送とネットが一体になって物語ができていく、これからの時代に向けた新しい試みができたと思います。こうした新たな取り組みをこれからも続けていきたいと思います。

 幸いにも『スカーレット』のアカウントはたくさんの方が見てくださっているので、全国放送してほしいという声もたくさんいただき、全国放送できることになりました。

――劇中でビートルズの曲を使ったのは?

【泉並】1話2分という短尺だったので、多くの人の気持ちをキャッチできて、いろんなことを連想できる音楽をかけたいと思いました。ビートルズの曲は、作られて40年〜50年経っていますが、いまだに人々の心を動かす力を持っているし、歌詞の内容が今回の物語にも非常に合うと思いました。

関連写真

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