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『エール』で描かれない初レコードのB面秘話と銘菓「福島夜曲」

 NHKで放送中の連続テレビ小説『エール』(月〜土 前8:00 総合ほか)は、28日放送の第44回で、村野鉄男(中村蒼)が書いた詞に、主人公・古山裕一(窪田正孝)がメロディーをつけた「福島行進曲」が初めてレコードになり、ようやく裕一はプロの作曲家デビューを果たした。

連続テレビ小説『エール』主人公のモデルになった作曲家・古関裕而が作曲し、竹久夢二が作詞した「福島夜曲」と同名のお菓子(福々和本舗) (C)ORICON NewS inc.

連続テレビ小説『エール』主人公のモデルになった作曲家・古関裕而が作曲し、竹久夢二が作詞した「福島夜曲」と同名のお菓子(福々和本舗) (C)ORICON NewS inc.

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 裕一のモデルとなっている昭和を代表する作曲家・古関裕而さん(享年80)が、日本コロムビアに入社し、初めてのレコード「福島行進曲」が発売されたのは、1931(昭和6)年。その際、B面に収録された「福島夜曲(ふくしませれなーで)」の作詞者は、画家で詩人の竹久夢二(1884-1934)なのである。

 古関さんはかねてから夢二のファンで、尊敬していたという(ドラマでは、裕一が父・三郎に夢二の作品を表紙絵に使用したセノオ(妹尾)楽譜を買ってもらうシーンが描かれた)。1929(昭和4)年に福島市で開催された夢二の展覧会を見に行った古関さんは、そこで夢二が飯坂温泉を訪れた際に詠んだ詩「福島夜曲」に感銘を受け、すぐさま作曲して、楽譜を市内の旅館に宿泊していた夢二に届けた。これをきっかけに、2人の文通・交流が続いたという。

 それから時は流れて…2006(平成18)年。「福島夜曲」にちなんだお菓子が誕生する。製造販売している福々和本舗の社長・佐久間功さんに電話取材した。

 同店は、1956(昭和31)年に福島市仲間町で創業し、後に五老内町に移転。さらに、2004(平成16)年に古関裕而記念館のある福島市松浪町に移転し、現在に至る。

 「古関裕而記念館へは店から歩いて2、3分。実は、私も福島商業高校出身で古関さんの後輩なんです。移転を機に、福島市名誉市民第1号でもある古関さんの曲をイメージした、新しい名物を作ろうと思いました」(佐久間さん)

 古関さんの長男・正裕さんに相談すると、古関さん直筆の色紙絵をパッケージに使用することを快諾してくれた。色紙には、「福島夜曲」の歌詞と楽譜の一部とともに、今も昔も福島市のシンボルである信夫山が描かれている。古関さんは「絵も私にとっては音楽なのである」と、好んで絵を描き、歌詞のイメージやふるさとの風景を描いた色紙や楽譜を数多く残した。

 群馬県伊香保にある竹久夢二記念館の館長やコロンビアの了解も得て、JASRACにも必要な手続きを踏み、1年がかりで商品化にこぎつけた銘菓「福島夜曲」。バターの濃厚な香りが食欲をそそる生地に包まれた、シロップ漬けのリンゴがアクセントになっている。「果物王国福島ですから、何か果物を入れようということで、リンゴを使うことにしました。ソフトな食感に仕上げています」(佐久間さん)

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、安心して旅行ができるようになったら、福島を訪れて、「福島夜曲」を耳でも、舌でも味わってみたい。

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  • 連続テレビ小説『エール』主人公のモデルになった作曲家・古関裕而が作曲し、竹久夢二が作詞した「福島夜曲」と同名のお菓子(福々和本舗) (C)ORICON NewS inc.
  • 古関裕而さんが描いた色紙絵をパッケージに使用(C)ORICON NewS inc.

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