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モトーラ世理奈、東京と被災地“時間の流れ”の違いを実感「同じ年月がたったとは思えない」

 女性向けファッション誌『装苑』の専属モデルとして活躍し、昨年は『ブラック校則』など3本の映画に出演し、今年も主演映画が3本公開される新鋭女優・モトーラ世理奈(21)。彼女が主演する東日本大震災を題材にした『風の電話』が公開を迎えた。若者の立場として「3・11」をどう考えているのか、どのような行動をしていくことが大切なのかを語ってもらった。

モトーラ世理奈 (C)ORICON NewS inc.

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 同作は、岩手県大槌町に在住の佐々木格さんが、死別した従兄弟ともう一度話をしたいという思いから自宅の庭に設置した「風の電話」をモチーフに、キャストに即興芝居を求める諏訪敦彦監督がオリジナルストーリーとして手がけた。モトーラは、大槌町で震災にあい、家族を亡くして広島に住む伯母の家に身を寄せる高校生のハルを演じている。そしてヒッチハイクをしながら故郷に向かい始め、旅の中でさまざまな人たちと出会う物語が描かれている。

■家族を失う物語は「やりたくなかった」

 「小さいときから家族が亡くなる話は、悲しくなってしまう」というモトーラは「台本をいただいて読んでみて『やりたくない』と思ったんです」と当初の胸の内を明かす。「台本を読んだときも読み進められなくて、小さいころから家族が亡くなる話は絵本とかでも怖くなってしまう。今でも自分の中ではつらく、悲しくなってしまうテーマなんです」と戸惑いもあったそう。

 臨んだオーディションでは「せりふを覚えたんですけど、悲しい気持ちが先に出てしまって、何もできなくなってしまった」と振り返る。それでも通過した1回目のオーディションを経て、2回目は即興芝居を求められた。「そこで初めて即興芝居をやったときに、自然にハルに入ることができたんです。やりやすかったですし、私にあっているなと。周りの空気環境を感じながらお芝居ができたというか、ハルを演じたいと思えるようになったんです」と挑戦する意志を固めていった。

■若者の立場から震災風化を考える「目の前のことだけでなく、ほかのことにも関心を」

 警察庁が昨年12月10日に発表した現在までの東日本大震災での死者数は1万5899人、行方不明数は2529人と甚大な被害をもたらした災害から丸9年がたとうとしている。当時、小学6年生だったモトーラは、21歳となった今どう捉えているのか。

 「被災地には、高校2年生のときに友だちと行ったのが初めてです。本当に何もないんだと思って、元の姿もわからなかったし、なにもかもなくなってしまったことを直に感じました」と衝撃を振り返る。

 「撮影で初めて大槌町に入って、駅も町もきれいになって、新しい建物もできているんですけど、何も手をつけられずに残っている場所もたくさんあって。撮影までの8年間で、私も20歳になって大人になりましたけど、こんなにも変わっていないのかと。ずっと東京にいると東京の街が変わっていくのは目に入っていきますが、大槌に行ったときには同じ年月がたったとは思えなかったのが一番の衝撃でした」と東京と被災地との時間の流れ方の違いを実感した。

 震災の“風化”へ懸念も叫ばれているが、モトーラ自身はこの状況をどのように考えているかも話してくれた。「私たちの年代は、小学生から中学生、高校生と自分の目の前のことで精いっぱいだと思うんです。私自身もあまり詳しくは知りませんでした。でも、20歳を過ぎて世間からは大人と言われるような年代になったら、目の前のことだけでなく、ほかのことにも関心を向けるべきだと考えています。そのままだったら、さらに忘れていく若者は多いと思います」と歳を重ねるごとに視野を広げることの大切さを語った。

■飛躍の2019年 今後は「ぶっ飛んだ役柄をやってみたい」

 女優として、飛躍の年となった2019年だが「私自身は、何かが大きく変わったという実感はないんです」と冷静に分析。「目の前のことを大切にやってきたことで、今があると思っています」と語る。

 今後やってみたい役柄については「SFとか、ぶっ飛んだ役柄をやってみたいですね。戦うのはあまり好きではないですけど、逆にそういうキャラクターにふんして表現することをやってみたいです」と自身とは真逆のキャラへの挑戦にも意欲的だ。

 「好きな映画はリアルな人間関係を描いたものだったり、温かい話ですが、『風の電話』が出来上がって見たときに自分と同じ人には見えなかったんです。今まではどこか自分自身をスクリーンを通して見ていたんですが、今回はそれがなかったのが面白かった。なにか違う役柄に入った自分を見てみたいですね」と女優としてのさらなる飛躍を語っている。

◆モトーラ世理奈(もとーら・せりな):1998年10月9日生まれ 東京都出身
2016年11月発売のRADWIMPSのアルバム『人間開花』のジャケットビジュアルに起用されて話題を集め、18年に200人以上の中からオーディションで選ばれW主演の『少女邂逅』でスクリーンデビュー。今年は『風の電話』のほか、『恋恋豆花』『猫、かえる』と主演作の公開が予定されている。
ヘアセット:Keiko Tada(モッズ・ヘア)
メイク:UDA(mekashi project)
スタイリスト:山本マナ

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  • 『風の電話』の場面カット(C)2020映画「風の電話」製作委員会.JPG
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