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「ウソみたいだろ、ガンプラなんだぜ…」大河原邦男風イラストを再現する“匠の技”とは?

 今年、40周年という“節目”を迎えた「ガンダムプラモデル(以下、ガンプラ)」。そのガンプラカルチャーを支えてきたのは、創意工夫と自由な発想で技術革新に貢献してきたモデラーたちだ。そこで、これまでにORICON NEWSで取り上げたトップモデラーたちを、「ガンプラ40周年記念」として改めてフィーチャー。記念すべき第1回目では、“イラストに見えるガンプラ”を制作したn兄氏とコーディ氏を紹介する。

作品:哀戦士ポスター再現 制作:コーディ(C)創通・サンライズ

作品:哀戦士ポスター再現 制作:コーディ(C)創通・サンライズ

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■大河原イラスト風ザクIIの制作で感じた「“ガンプラは自由”」(n兄)

 モデラー仲間との交流の場を積極的に設けているn兄氏。そんなモデラー仲間の存在が“独自の発想力”に及ぼす作用をこう説明する。

「多くの人がそうであるように、社会人になり家庭を持つようになってから“友人”を作るのは凄く難しい事だと思っています。でも模型をやっている仲間のおかげで、色々なところに出かけるのも楽しいし、集まるだけでも楽しい」と笑うn兄氏。続けて「50歳を過ぎてからも、まだそんな中学生みたいなワクワクを感じられたり、模型制作への刺激を受けられるのは、ガンプラで繋がった友人たちのおかげです」と、ガンプラ仲間の絆を語った。

 さまざまな作品でガンプラの魅力を表現するn兄氏だが、ザク制作には各段の思い入れがあるという。「正直、ザクを作るために模型制作をしているところがあって、不思議と何回制作しても飽きません。受け口の広さ、自由な表現の幅、そしてザクは誰が作ってもザクにしかならないアクの強さ。ホントにこれほど愛されるガンプラもなかなかないですよね。“ザク沼”にどっぷりです(笑)」

 そんな中でも、特にお気に入りなのが、とあるコンペに出すために制作した「大河原邦男イラスト風ザク」とのこと。

「ねじれた胴体、うねる下半身のライン、左右長さの違う脚と腕…もう試行錯誤の連続でした(笑)。塗装に関しては、参考にした大河原さんイラストのタッチを再現するため筆で書きこむのですが、模型の塗装方法とイラストの筆使いでは全く作業が異なるため、その点でも悩みました」と、イラスト風ガンプラ制作の苦労を告白。何よりも、「大河原さんのイラストをモチーフにしているため、『非難されるかも…』と、かなり覚悟を決めて制作しました」と当時の心の内を明かしてくれた。精神面を含めて、モデラーとして一皮むけるきっかけにもなった思い出深い作品なのだという。

■旧キット愛好家に影響を与えた“大河原邦男絵”の魅力(コーディ)

 ガンプラの旧キット愛好家であるコーディ氏は、旧キットを使った箱絵再現を得意とする。氏にとって“ガンプラの原風景”とはどんなものだろうか。

 「幼少時代、プラモデルを作り終えた後は箱絵をずっと眺めていました。何故かといえば、メインとなる機体もカッコイイのですが、バックに様々な脇役が描かれていて、情報量が多いから見ていて飽きない! 背景も砂漠だったり宇宙だったり、破壊された量産型ザクやジオングが転がっていたり、戦艦が飛んでたり…子ども心にその絵から箱絵のストーリーを想像するのがとても楽しかったんです」

 いわゆる「戦場写真」のような、臨場感やストーリー性を箱絵に見出したコーディ氏。さらにもうひとつ、ボックスアートには大きな魅力があった。それは、モビルスーツの生みの親・大河原邦男のデザイン性だと強調する。

 「各設定画や様々なイラストを通して、僕ら世代は小さい頃から大河原絵を見ているので、脳内に刷り込まれているんですよ(苦笑)。大河原さんのデザインって理屈はよく分からないんですが凄く『立体映え』します。旧キットの場合は昔の設計者さんや金型職人さんが設定画から忠実に形を拾っており、現代のコンピューターから形を割り出す技術とはまた違った『勘』を頼りに、微妙なラインを表現しているのではないでしょうか。大河原さんの描くザクなどは意外と複雑なラインをしていますから。旧キットの美しいフォルムは大河原さんの“センス”と職人の“匠の技”、双方あっての産物だと思います」

 そんなコーディ氏は、『機動戦士ガンダムII 哀戦士編』の劇場版ポスター再現でも有名。苦労した部分を聞くと、「2Dを3Dに落とし込む場合どうしても矛盾が発生してくるのですが、どこで背景を切るのか、海と雲と陸の継ぎ目はどうするか、背景と台座をどう繋ぐのかなど、そんな部分だったと思います」と説明する。

 また、こだわりのポイントとして、バックにある胸像をあげた。

 「昔のガンプラの箱絵でモビルスーツの後ろに何か“背後霊”の様に他のモビルスーツが映っている描写がよくあって、このポスターもその例にならっています。再現するには難関だったのですが、“これが表現出来たら絶対面白い作品になる!”と思ったので臆せずトライしました」

(C)創通・サンライズ

関連写真

  • 作品:哀戦士ポスター再現 制作:コーディ(C)創通・サンライズ
  • “イラストにしか見えないガンプラ”を制作したn兄氏(左)とコーディ氏(右)(C)創通・サンライズ
  • 作品:ガンダムマークII 制作:コーディ(C)創通・サンライズ
  • 作品:ザクII 制作:n兄(C)創通・サンライズ
  • 制作:n兄(C)創通・サンライズ
  • 作品:ザクII 制作:n兄(C)創通・サンライズ
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  • 制作:n兄(C)創通・サンライズ
  • 制作:コーディ(C)創通・サンライズ
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  • 制作:コーディ(C)創通・サンライズ
  • 制作:コーディ(C)創通・サンライズ
  • 制作:コーディ(C)創通・サンライズ

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