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オリラジ中田は現状維持が耐えられない “肩書きに執着しない”働き方

【REACTION】vol.4 中田敦彦

 軽快なリズムに乗せた武勇伝ネタで、大卒後すぐにブレイクを果たしてから約15年。37歳になった中田敦彦は、芸人という枠組自体に疑問符を投げかける。オンラインサロン主宰、アパレルブランド経営、YouTuber、青山学院大学講師といくつもの顔を持ち、自分が“何者”であるかにまったく興味がない。

“肩書きに執着しない”働き方を語った中田敦彦 (C)ORICON NewS inc.

“肩書きに執着しない”働き方を語った中田敦彦 (C)ORICON NewS inc.

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 「うーん、強いて言えば経営者じゃないかな。肩書きにすごくこだわる日本人のマインドは、終身雇用制度が長かったことも関係しているかもしれない。例えば、起業家が焼き鳥屋やったり、アパレルやったりって普通だと思うんです。孫正義さんに『あなたは何屋さんですか?』って聞かないですよね(笑)。肩書きに関する質問は、経営者が特別なもので、そのほかは従業員であるというマインドの人がするものだと思っています」

 さまざまなジャンルに挑戦する原動力は“飽きる”こと。

「もちろん、今いる場所から飛び出すことへのためらいはありますけど、現状維持が耐えられないんですよ(笑)。飽きたものに対して、その中で楽しみを見つけることができるタイプと、もううんざりってなるタイプがいるとしたら、僕は後者。飽きへの恐怖がありますね。飽きているのに行かないといけない時は、ウソがつけないから寝ちゃう(笑)。先輩がいるスタジオでも、飽きちゃったらガンガン寝ていましたから」

 それゆえに、子育ては“パーフェクト・ヒューマン”から程遠いのだと嘆く。

 「子どもと公園で遊ぶのも正直30分が限界。僕が子どもとふれあいたい時間のキャパをオーバーすると帰ると言っているので(笑)。それでも妻が納得してくれているのは、まだ僕にメリットがあるからだと思うし、子どもたちもとりたてて僕を嫌っているように見えないんですよ。すごく楽しんでくれているように、めちゃくちゃ寄ってきますし、リスペクトされているなという気がします。正直、ろくな親父ではないと思います。全然やる気がないし、いい親だと思われようと思わない。世の中のお父さん、お母さんもそんなに頑張らなくていいんじゃないかな」

 一見すると突き放しているかに聞こえる言葉の真意には、中田なりの“親子論”がある。

「僕は、単に頭が良ければ幸せだと思っていなくて、その子がどんな学校に行こうが、どんな暮らしぶりをしようが、生きているだけでハッピーなので。結果を出しているかどうかも関係ない。将来、朝から、お酒を飲みながら焼き鳥食べている子に育っても、幸せそうだったら、それでいい。そんな感じで、究極ドライに考えているので、別々に暮らすことへの抵抗もそれほどなくて。だって、住む場所は別かもしれないけど、大きく見たら同じ星に存在しているので(笑)」

■吉本興業とは「したたかに付き合っていく」

 家族に対しても“ドライ”な視点を持っている中田だが、所属事務所である吉本興業の騒動をどう眺めているのだろうか。

 「このタイミングできたか、という感じです。かなりオールドスタイルというか、クラシックな会社なんですよ。なんせ100年以上やっていますから。最近できたベンチャーとは違うので、いいところと悪いところが両極端。いいところはすごいですよ。吉本興業なんて、みんなが名前を知っていますから。お笑いの会社、主力の商品もみんな知っている。こんなに有名な会社ないし、すごいところだなと。いろんなところに劇場もあって、すばらしい」

 「であるがゆえに、むちゃくちゃ体制が古いんですよ。それが今から見るとブラックに見える。歴史をひもといてみても、内側からではなくて、外圧がないと変わらないので、今回がいいタイミングじゃないでしょうか。変わる時期が吉本興業にも来ているのかもしれない。今回の件で、バラける方向に行くフェーズなのかもしれなし、そこまで行き届かないかもしれない。僕は静観していますけど、一応自分なりの立ち位置で会社とはしたたかに付き合っていこうと思っています」

 今回の騒動によって、新たな契約形態として「専属エージェント制度」が設けられた。中田や西野亮廣キングコング)などの活動を見る限り、これに近い形を先取って行っていたような印象を見受けるが、当の中田は「先取りというより、3年前くらいから揉めていたということですかね」と笑い飛ばす。

 「吉本がブラックだという見方がありますが、そうじゃなくて、9割9分の人がブツブツ言いながら、それでも小作人の方がいいんですよ。実は自作農になって、本当に経営に向いている人って、そのうちの1%しかいなくて、ほとんどが文句を言う小作人なんです。だから、1%の可能性の人のチャンスまで潰さないような仕組みを作って、そこからアップデートしていけばいい。歴史を見ても、体制を一気にぶっ壊しても結局は失敗するので、微妙なアップデートをしながら、少しずつ“吉本2.0”になっていくだろうというのが僕の見方です」

■「テレビでは負け組」漫才・コントという呪縛からの解放

 さまざまな分野で結果を出し続けている中田だが、著書『中田式 ウルトラ・メンタル教本 好きに生きるための「やらないこと」リスト41』(徳間書店)では、自分が「テレビでは負け組」だと明言している。

 「目標を達成できなかったというのが大きいですよね。レギュラーパネラーのひとりとして何番組かを担当したかった訳ではなくて、僕は強欲なので、どうしても先人たちが築き上げたような、大きい番組を仕切って、また自分で企画してみたいな目標を立てていたんですけど、ちょっと違うなと。自分の企画をゴールデン番組で放送する。それが高視聴率を取る。これがわかりやすいゴールですよね。皆さんも想像している、そこの目標が達成できなかったというところは事実なので、違うところに力を注ぎ始めました」

 今だからこそ“芸人・中田敦彦”をテレビで見てみたい。その思いを伝えると、明確に自分の思いを語り出した。

 「僕としてはYouTubeでしゃべっている姿も芸人そのものだし、漫才とコントをやらないといけないっていうイズムを一番否定してきたんです。『M-1』『キングオブコント』に毎年出続けて、気づいたら10年以上経っていたっていうことになるんです。いま漫才とコントが得意な人がテレビという中で権力を持っているに過ぎなくて、漫才とコントだけがお笑いだなんて、ワールドスタンダードではない。その時代の価値観に過ぎなくて、タピオカブームと同じようなものじゃないでしょうか(笑)」

 「フォーマットは何でもよくて、自分の能力にフィットするパフォーマンスで、人の心をつかめる方がいい。僕はYouTubeでいろんな人に見てもらう方が、1年間『キングオブコント』のためにネタを作って予選敗退するよりもうれしい。それで何も不満はないし、どの芸人さんよりは芸人をしているつもりです」

 今後、相方である藤森慎吾(36)とそろって何かを表現する機会はあるのだろうか。

 「彼とはゴールデンでも番組やったし、何年もロケに行ったし、MCもやったし、ラジオもやったし、あらゆる番組をやりました。藤森くんとはあらゆるタイプの番組をあらゆるフォーメーションでやりました。だから別にこれからお話が来て魅力的だったらやるし、そうじゃなかったら、お互いのことを優先する感じですかね。彼の中でも僕の中でも方向性が変わってきているし、話をしていても『それやりたくないんだ』っていうのもありますので」

 コンビでの活動をもっと観たいというファンもいるはずだが、果たしてそこまで割り切れるものなのか。

 「そういう人がいるとすれば『コンビでのグッズを買ってくれたことありますか?』『劇場に観に来てくれたことありますか?』と聞いてみたいですね(笑)。僕は僕でいろいろやっていますし、彼も舞台や映画、ドラマ『ドクターX』に出演していたりと、それぞれがやりたいことで輝いていますから。2人でネタを続けるよりも。藤森くんがドラマの主役を張るようになったり、僕が日本を代表するYouTuberになる方がハッピーだと思うんです。新しいことにチャレンジしている姿を応援してくれたらうれしいです」

■中田敦彦(37)。2003年、慶應義塾大学在学中に藤森慎吾とオリエンタルラジオを結成し、04年にリズムネタ「武勇伝」でブレイク。16年には音楽ユニット・RADIO FISHとして発表した楽曲「PERFECT HUMAN」でNHK紅白歌合戦初出場。芸人以外の活動も精力的に行い、18年にはオンラインサロンを開設。同年にはアパレルブランド「幸福洗脳」を立ち上げ、19年にはYou Tube動画「中田敦彦のYou Tube大学」の配信をスタートさせた。こうした自身の足跡を踏まえて書かれた『中田式 ウルトラ・メンタル教本 好きに生きるための「やらないこと」リスト41』(徳間書店)が発売中。

「REACTION」
人生は反応の連続。どういう局面で、どういう選択をするかによって、自らに返ってくる反応も変わってくる。さまざまな分野で活躍する人々の【REACTION】にスポットを当て、どういう道のりを経て現在にいたったのか、注目作が出来上がるまでの過程などを紹介していく。

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  • 自身の芸人観を明かす中田敦彦 (C)ORICON NewS inc.

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