• ORICON MUSIC
  • アニメ&ゲーム
  • ホーム
  • 芸能
  • 【いだてん】第26回、感動呼ぶ“人見絹枝物語” 菅原小春・大根仁氏が明かす舞台裏

【いだてん】第26回、感動呼ぶ“人見絹枝物語” 菅原小春・大根仁氏が明かす舞台裏

 NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。7日に放送された第26回「明日なき暴走」は、1928(昭和3)年アムステルダムオリンピックに、日本人初、たった一人の女子選手として出場した人見絹枝を中心に物語が描かれた。絹枝を演じた菅原小春、そして演出を担当した大根仁氏に、第26回の演技や演出に対するそれぞれの見解を聞いた。

【写真】その他の写真を見る


 アムステルダム大会では女子陸上が正式種目に。国内予選を席けんした人見絹枝はプレッシャーに押しつぶされ、期待された100メートルで惨敗。このままでは日本の女子スポーツの未来が閉ざされる──そう思った絹枝は未経験の800メートルへの挑戦を決意する。

 絹枝を演じた菅原は、世界レベルで活躍するダンサーとして知られるが、演技は初挑戦。「コンプレックスを自分の力に変えて磨いていくしかない、と思ったところは人見さんと通じるものを感じました」と語る菅原が演じたからこそ、絹枝の情熱と志が切実に感じられたのかもしれない。

 第22回に初登場した絹枝は、岡山の女学校で始めたテニスで圧倒的な強さを誇り、金栗四三(中村勘九郎)、増野シマ(杉咲花)らと出会う。シマの勧めで、陸上をはじめると、抜群の身体能力で日本記録を次々と塗りかえていく。しかし、走れば「化け物!」と野次られ、跳べば「バッタ!」と呼ばれ、黙って立っていると「六尺さん」と笑われる、女子離れした自身の容姿に強いコンプレックスを抱いていた。そんな絹枝に二階堂トクヨは、日本の女子選手全員の希望を託す。その使命感が、絹枝に「女は帰れない」と言わせてしまう。

 菅原は10歳でダンスを始め、18歳でダンス留学し、またたく間に世界へと飛び出していった。「私も経験あるんです。バックダンサーなのに目立ち過ぎちゃって、周りよりもさらに下がって踊れと言われたり、もうちょっと抑え気味に踊れと言われたり。それが私のコンプレックスだった時期もあったんですが、海外に飛び出して行ったら、全然普通じゃないか、と気づけたところがあって。コンプレックスを自分の力に変えて磨いていくしかない、と思ったところは人見さんと通じるものを感じました」。

 第26回のハイライト、ロッカールームで未経験の800メートルへの挑戦を直訴するシーン。菅原は「お芝居でどうやって泣いたらいいのかわからなくて。私、家であんな風に泣くことがあるんです(笑)。作り込んだ感じではなく、実在の人見さんのことや、陸上を勧めてくれたシマさんの存在、すべてのことを思ったら、ああなってました」と振り返った。

 大根氏もこのロッカールームのシーンは「自分の演出力を超えた」と自画自賛する。「300本を超えるほどドラマを撮ってきて、脚本を読めば、だいたい出来上がりはこうなるだろうという予想はつくようになる。でも10年に1本くらい、とんでもないものが生まれることがある。自分の力を超えて、別の力ですばらしいものを作らされてしまうような、まさにそういう回になりました」。

 6月30日放送の第25回から主役が田畑政治役の阿部サダヲにバトンタッチ。この田畑、「口がいだん」と言われるほどよくしゃべる。相手の顔色なんて伺っている間もないほどせっかちで落ち着きがなく、相手が大蔵大臣の高橋是清(萩原健一)でもズケズケとモノを言う。絹枝に対しても「化け物のねぇちゃん」「あんたやっぱり化け物だね」などと、デリカシーゼロ。阿部は台本通り、演じているだけなのだが、菅原は「阿部さんに何度も『化け物』と言われて。本当に毎回、傷ついていました」と苦情を漏らしていた。

■洋菓子「シベリア」で心境の変化を表現

 回を重ねるごとに実際のオリンピックの映像資料も充実し、絹枝が銀メダルを獲った瞬間も映像に残っている。その実際の映像と、菅原が演じる映像と、五りん(神木隆之介)の落語、この3つの掛け合いも、ほかでは決して観られないシーンになった。

 女子800メートルのシーンは「NHKのスタジオに、30メートルくらい陸上トラックを作って、白ホリに資料映像を投影しながら、さもトラックを走っているように撮りました」(大根氏)。菅原は「ストップ・アンド・ゴーの繰り返しなので、体はびっくりしたんですが、すべてが新しい体験で、楽しくて仕方なかった。ランニングマシーンを使った撮影もすごく楽しかったです」と話していた。

 本作は、基本的に宮藤官九郎氏による脚本に忠実に作られているのだが、今回、大根氏が「増やした」シーンがある。それは、トクヨが絹枝に洋菓子「シベリア」をすすめるシーン。シベリアを介して絹枝の変化、成長が視聴者にも手に取るようにわかったことだろう。

 シベリアは、スポンジケーキ(カステラ)でようかんをサンドしたもの。大正時代にはすでにあったとされ、昭和初期の子どもたちに大人気だった。

 「シベリアが出てくるのは脚本どおり。オリンピック開催地へ向かうシベリア鉄道とたぶんかけているんだろうな、と思いました。それを官九郎さんに確かめるのは野暮。でも、シベリアというお菓子が大事な小道具になる気がしたので、シベリアをすすめるシーンを増やしたんです。絹枝さんが最後に大口をあけて食べるところは、何回観ても泣いてしまう。ああいうショットはなかなか撮れない。第26回は菅原さんのすてきな表情をたくさん撮れたと思うし、菅原さんには演技を超えた何かがあるな、と感じました」。

 第26回は、現代にも通じる普遍的な女性へのエールのようなものも感じる一方、「第26回の編集している時に気づいたんですが、いままで出場できなかった女子がオリンピックに出られるようになって、『結果を残さないと日本に帰れない』『後に続く人たちに申し訳ない』という思いは、大河ドラマ初の外部演出家としての自分に重ねることができた」と、大根氏。誰もが“自分の話”として受け取れる「人見絹枝物語」になっていた。

関連写真

  • 大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』第26回「明日なき暴走」人見絹枝役の菅原小春の熱演が光った800mへのエントリーを直訴したシーン(C)NHK
  • 日本人女性初のオリムピック選手・人見絹枝(菅原小春)(C)NHK
  • シベリアが登場したシーン(C)NHK
  • 大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』第26回「明日なき暴走」より。日本人女性初のオリムピック選手にして、800m銀メダリストの人見絹枝(菅原小春)(C)NHK

オリコントピックス