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月9ドラマ『ラジエーションハウス』P語る、“『HERO』っぽい”演出のワケ

 平成から令和へ、フジテレビが時代の狭間に「月9」ブランドとして送り出したのが、窪田正孝主演の『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』。テレビドラマ史上、初めて「放射線技師」を主人公にした本作は、現在『グランドジャンプ』(集英社)で連載中の同名コミックが原作。放射線科「ラジエーションハウス」を舞台に、レントゲンやCTで病変を写し出す放射線技師と、画像を読影し病気を診断する放射線科医にスポットを当て、患者の「視えない病」をみつけ出し、命を救う彼らの戦いを映し出している。同局ではこれまで数々の人気医療ドラマを生み出してきたが、この異色作の企画の狙い、座組のこだわりなどについて、プロデュースを手掛ける中野利幸氏に聞いた。

月9ドラマ初主演の窪田正孝 (C)フジテレビ

月9ドラマ初主演の窪田正孝 (C)フジテレビ

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◆縁の下の力持ちによって支えられている、現代社会に向けたメッセージ

「このドラマで描きたかったのは縁の下のヒーローたちの活躍です。病院に行っても、ほとんどの人が気に留めていなかった放射線技師の活躍を描くことで、皆さんに親しみやすさや感謝を感じてもらえたらという思いが1つ。そしてもう1つ、メインテーマ曲が服部隆之さんによる『誇り』という曲なのですが、放射線技師に限らず、日本は縁の下の力持ちたちによって支えられていると思うので、そういう人たちに誇りを持ってもらえるようなドラマにしたいと思い制作に望んでいます」

 そんな熱い意気込みのもと作られた本作の視聴率は、初回平均12.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)で好発進し、以降も(4話以外の)ほとんどの回で2ケタをキープ。週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』による、視聴者ドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」でも、初回53Pt(100Pt満点中の数字)でスタートし、その後は、2話:56Pt→3話:64Pt→4話:68Pt→5話:73Ptと、右肩上がりで満足度を上げている。

 主人公の掟破りの放射線技師・五十嵐唯織に扮する窪田は、今作が月9ドラマ初主演。彼について中野氏は、「漫画原作のドラマの場合、漫画では表現しやすいけれど、実際の人間では表現しにくい部分がどうしてもありますが、窪田さんは憑依型というのでしょうか。それらの問題を超越して、漫画のキャラクターにリアリティを与えてくれている気がします」と評価する。

 一方、放射線科医役のヒロイン・甘春杏に扮するのは、8年連続で地上波ゴールデン・プライム帯ドラマに出演中の本田翼

「凛とした役柄ながら、ちょっと不器用な感じが出たらいいなと思って、本田さんにお願いしました。最近、女優として脂が乗っていますし、この役を通してさらに光り輝いていただけたら嬉しいですね」

◆人間力、チーム力が際立つ演出で地味なシーンも華やかに

 ところで、スタート直後、ネットで話題となったのが、鈴木雅之監督による演出(※演出はほか、金井紘氏、野田悠介氏、関野宗紀氏が担当)。主要メンバーが集合するオープニング、職場に向かうエレベーター内でメンバーが談笑する様子などが、鈴木監督が手掛けた月9枠の大ヒットドラマ『HERO』っぽい、と称賛する声が相次いだ。

「放射線科は外科医のようないわゆる“花形”の科ではないので、各シーンもセットの中で検査をしている地味な画がほとんど。そんなドラマを、鈴木監督なら面白くしてくれるんじゃないかと考えました。監督には、放射線技師のメンバーたちが浮き立つような話にしたいと相談したのですが、その通り、1つのものを覗き込むメンバーの画や皆が集まっている画などで人間力やチーム力を見事に描いてくださり、それにより地味なセットが華やかに見える。“『HERO』っぽい”というのも、人の真似ではなく、鈴木監督の独自性が出ているということですから素晴らしいと思うし、僕自身、監督ならではの演出をとても楽しんでいます。病を取り上げているので、真摯に演出していますが、シリアスな部分と、気楽に観られる部分のバランスも監督は非常にうまい。僕は普段、若手とドラマを制作することが多いので、大変勉強させてもらっています」

「普段は社会派のオリジナルドラマを若手制作陣と作ることが多い」という中野氏。「若者のテレビ離れにより、テレビドラマが受難の時代と言われますが、『逃げるは恥だが役に立つ』『半沢直樹』『家政婦のミタ』等の成功からもわかるとおり、時代に合っているものは評価され、視聴率が上がる。言い訳はできないと感じています」

文/河上いつ子

●なかの としゆき
1998年にフジテレビジョンに入局。編成部を経て07年の月9ドラマ『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』で初プロデュース。以降『ライフ』(07年)、『ラスト・フレンズ』(08年)、『私が恋愛できない理由』(11年)、『ラスト・シンデレラ』(13年)、『隣の家族は青く見える』(18年)等、社会派作品や恋愛ドラマなど、数々のヒット作を手がける。

関連写真

  • 月9ドラマ初主演の窪田正孝 (C)フジテレビ
  • ヒロインを務める本田翼 (C)フジテレビ
  • チーム力が際立つ演出で地味なシーンも華やかに (C)フジテレビ
  • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)5月13日放送の第6話より (C)フジテレビ
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  • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)5月13日放送の第6話より (C)フジテレビ
  • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)5月13日放送の第6話より (C)フジテレビ
  • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)5月13日放送の第6話より (C)フジテレビ
  • 『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)キービジュアル (C)フジテレビ

提供元:CONFIDENCE

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