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ハリウッド「〜バース」トレンドの裏側 『アベンジャーズ』に続く『ゴジラ』へ高まる期待

 今、世界中で爆発的なヒットとなっている超大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』。その枕詞は「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最終章」だ。アメコミ映画ファンにとっては説明いらずの表現だが、同ジャンルにあまりなじみのない方は、「ユニバース」という言葉に、敷居の高さを感じるかもしれない。ここ数年のハリウッド映画でよく耳にする、この「〜バース」という表現は一体、何なのか? そのトレンドについて解説する。

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■世界観を共有する作品展開が急増するハリウッド

 ハリウッド映画でよく使われる「〜バース」という表現は、「ユニバース=世界観」という意味。米映画界では、ここのところ「個々に独立した複数のキャラクターやヒーローが、実はひとつの世界観を共有していた(=シェアード・ユニバース)」というコンセプトの作品展開が急増している。

 その筆頭が、マーベル・コミック出身のアメコミ・ヒーローたちの映画の集合体「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」。アイアンマンやキャプテン・アメリカ、ハルク、マイティ・ソーから、スパイダーマンやブラック・パンサー、キャプテン・マーベルまで、それぞれが主役の映画が起承転結をもって独立しながら、ある作品では複数、または、ほぼ全キャラが登場したりする。

 このMCUからは、2008年の『アイアンマン』以来、21本の映画が生まれており、『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、22本目にして最終章となる。ポスターを見れば一目瞭然であるとおり、まさに全員集合の渾身作で、MCUファンの期待度は計り知れない。

■マーベルの後を追うDCコミックス、パラマウント、ソニー

 ディズニー/マーベルのMCUに続くかたちでワーナーが展開しているのが、DCコミックス出身のヒーローたちの集合体「DCエクステンデット・ユニバース(DCEU)」(非公式名称)。ここからは、『マン・オブ・スティール』(2013年)、『スーサイド・スクワッド』(2016年)、『ワンダーウーマン』『ジャスティス・リーグ』(2017年)、『アクアマン』(2018年)などの映画が生み出されている。現在公開中の『シャザム!』もこの一員だ。

 DCにはジョーカーという魅惑的なヴィラン(悪役)が存在するが、その主役映画(今年9月に公開予定のホワキン・フェニックス主演作『Joker』など)は、DCEUとは切り離して展開されている。ユニバースのスケールでは現状、MCUに及ばないDCEUだが、初の女性主役ヒーロー映画『ワンダーウーマン』をヒットさせた功績は大きい。

 このほか、『トランスフォーマー』シリーズの「トランスフォーマー・シネマティック・ユニバース」(パラマウント)、ソニーが実写化権を持つマーベル・キャラクターで構成され、『ヴェノム』(2018年)を生み出した「ソニーズ・マーベル・ユニバース(Sony’s MU)」(ソニー)などもある。

 ユニバース化のメリットは、いわゆる豪華共演や際限なき物語展開&調整が可能となったり、それぞれのキャラクターのファンが合体することで興行が稼げるといった点。一方で、ユニバーサルが権利保有するクラシック・モンスターで構成した「ダークユニバース」は、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(2017年)の1作のみで解散するなど、必ずしも吉と出るとは限らない。

 ユニバース化にあたっては、キャラクターの権利関係を含むビジネス事情や、整合性をとるためのブランド戦略、原作となるコミックやそのファンへのリスペクトなど、さまざまな要素が綿密に考慮される必要があるのだ。

■途中から観ても、単発で観ても楽しめる作品になっている

 では、そこまで拡大したユニバースに、途中から足を踏み入れることは許されるのか? それはもちろんウェルカムである。例えばMCUであれば、好きなヒーローの作品のみを拾うのもよし、お祭り的に『アベンジャーズ』シリーズのみを楽しむのもよし。たまたま、ヒーロー映画気分のときに公開していたランダムな作品に飛び込むのもよし。ハリウッド映画のユニバースとは、決して排他的なものではない。単発で観ても、途中から観ても、楽しめるようになっている。

 ただし、すべてのジョークや伏線を拾いきり、物語を120パーセント理解するためには、ある程度のユニバース住人歴が必要だろう。たとえ住人歴が長くても(全作品を観ていたとしても)、作品同士の時系列や時空列、登場人物の関係性などが幾重にも絡み合っているため、なかなかの脳トレーニングになる。

 もちろん、映画のユニバース以前に原作がある場合には、その原作ファンならではの楽しみ方がある。アメコミの歴史は知らないものの、とにかくヒーロー大好き! という子どもには、彼らなりの感性が働くだろう。大体のユニバース映画は、多様な人々がそれぞれの立場で楽しめるよう仕込まれている。

■『スパイダーバース』が見せた、もうひとつの「〜バース」

 このように複数の映画がユニバースを共有するトレンドのなか、1本の映画で縦横無尽のユニバースを見せた異色作が、今年のアカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)だ。スパイダーマン主演映画は、これ以前に6本製作されており(MCU作品内では、他のマーベル・ヒーローたちとの共演もある)、彼を主軸とした「スパイダー・ユニバース」という展開の構想も報じられてきた。

 これらの映画におけるスパイダーマンの正体は、ピーター・パーカーという白人男性だが、『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公は、プエルトリコ出身のアフリカ系ティーンエイジャー、マイルス・モラレスだ。彼が住む「スパイダーバース」には、ほかに女性や子豚のスパイダーマンや、フィルムノワール界やアニメ界からやってきたスパイダーマンなどが存在する。

 登場人物にダイバーシティ(多様性)を持たせ、「誰でもスパイダーマンになれる」ことを教えてくれる同作は、「どんなヒーローがいてもいい」「ヒーローだって皆、悩みを抱えている」というユニバース映画そのもののメッセージを凝縮したものともいえる。同作プロデューサーのフィル・ロードはアカデミー賞の受賞スピーチで、「誰かの子どもがこの映画を観て、『彼は僕みたいにスペイン語を話している』『僕みたいなヒーローがいる』と思ってくれたなら、もうそれだけで受賞した気分です」と、多様性のメッセージが届いたことに感無量の様子だった。「スパイダーバース」の「〜バース」からは、「ユニバース」だけでなく、「ダイバース(多様であること)」についてのメッセージが伝わってくるのだ。

■ゴジラがけん引する「モンスターバース」への期待

 もうひとつ、注目を集めるユニバースといえば、日本が誇るゴジラと、アメリカが誇るキングコングがけん引する怪獣ユニバース「モンスターバース」だ。米ワーナー&レジェンダリーが展開するもので、これまでに、『GODZILLA ゴジラ』(2014年)、『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017年)が製作され、今年5月31日には『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が世界同時公開、来年には『ゴジラVSコング』に発展予定だ。

 そもそも、今ハリウッドで流行しているユニバース構想の原点は、東宝の怪獣映画だという声もある。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のマイケル・ドハティ監督も、そのひとり。熱烈な怪獣ファンであるドハティは、同作において、ゴジラを「単なる巨獣ではなく、神のような存在」に描いたと公言している。「モンスターバース」が、MCUやDCEUのような息の長いユニバースとして存在できるかは、同作の成功にかかっているだろう。アメリカでも公開が近づくに連れて、同作への関心が高まってきている。ハリウッドの「ユニバース」ファンを巻き込むヒットになるか注目したい。
(文/町田雪)

関連写真

  • 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(C)Marvel Studios 2019
  • 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版ティザーポスター(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.
  • 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ティザーチラシ(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.
  • 『スパイダーマン:スパイダーバース』

提供元:CONFIDENCE

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