3月28日に放送されるフジテレビ開局60周年ドラマ『砂の器』（後7：57〜10：54）に、父との“宿命”を背負う若き天才作曲家・和賀英良役で出演する中島健人。このほど、東京・渋谷に見立てたロケ地で中島がクランクイン。その模様を最速レポートする。

　「本当に僕が昔からずっと憧れていた作品でもあったので、クランクインしたという事実に改めて感動しています」と中島。そのファーストカットは、怪人二十面相のような黒いマントと黒いマスクで仮装した和賀が、ハロウィーンでにぎわうストリートの人波の中をかきわけて逃げていくシーン。マントの下の白いシャツには血らしきものがべったりだ。

　1974年の映画化以降、映像化のたびに日本中の話題をさらってきた、作家・松本清張の不朽の名作『砂の器』を、現代を舞台に全く新しい解釈でドラマ化する本作。和賀が事件を起こした日を、2018年のハロウィーンの日にするという大胆なアレンジがいきなりさく裂する。

　このシーンの撮影が終わった直後、中島が話していたのは「2019年バージョンの『砂の器』らしいシーン。ハロウィーンが描かれるというのは、これまでの『砂の器』にはないことですし、その中を逃走している和賀の姿は新鮮味があると思います」。

　今作では、犯人を推理していくのではなく、殺害したのは天才作曲家・和賀であることを序盤に明かしてから、刑事・今西（東山紀之）の捜査と、和賀の日常が並行して描かれる。それも今まで映像化されてきた作品とは全く違う印象を与えることだろう。

　「最初の映画に出てくる和賀は白いタートルネックだったのですが、今回は白シャツ。白というところは共通しています。真っ白なものほど作品的にも汚したくなるものなんでしょうか。仮装して人混みをただ走っただけのシーンに思えるかもしれませんが、きょうこそ大事で。自分にとって撮影初日というのは、和賀という役が初めて自分の体に入り込む瞬間でもあり、その感覚というのは初日にしか捉えられないもの。しかも、人を殺害して逃走するというのは、普通に走るのとも違う、いままで演じたこともない初めての感覚でしたので、ちょっとスリル感のあるヒリヒリしたクランクインになりました」（中島）

　仮装した若者たちにふんする大勢のエキストラたちを必要とするシーンだったが、撮影はつつがなく終了。カットがかかるたびに、中島が真剣な表情でモニターチェックをしていた姿も印象的だった。

　「いままでいろんな作品に参加させていただく中で、モニターチェックはけっこう自分の中ではマストでやっていること。今回の和賀は特に繊細なので、逐一、細かく、どういう表情をしていくべきなのか、（河毛俊作）監督とも話し合いながら作っていこうと思っています。『砂の器』は耽美さと繊細さを兼ね備えた作品である、と監督がおっしゃっていました。自分もすべてにおいて繊細に取り組んでいきたいと思います。一分一秒も逃せない感覚がこの作品には散りばめられているので、どの表情も見逃してはならないという気持ちで和賀を演じていきたいな、と改めて思いました」（中島）