オリコンによるエンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が主催し、有識者と視聴者が共に支持する質の高いドラマを表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」。第14回目となる今回は、18年10月クール放送の主要ドラマ計32作品を対象に、「作品賞」をはじめ全7部門を決定した。

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◆「作品賞」は、大人も子どもも夢中になった『今日俺』

　18年10月クール放送作品のなかで“最も質の高いドラマ”として「作品賞」を受賞したのは、西森博之氏の同名人気ヤンキーコメディ漫画を、福田雄一氏の脚本・演出、賀来賢人主演で実写化した『今日から俺は！！』（日本テレビ系）。

　本作は「ツッパリ」という言葉が全盛期だった80年代初頭を舞台に、金髪＆パーマにイメチェンし転校デビューを飾った主人公・三橋貴志（賀来賢人）が、同じく転校デビューした伊藤真司（伊藤健太郎）と共に、「今日からツッパリ」の相棒として絆を深めていく物語。今や“時代錯誤”とも言えるツッパリを描きながらも、“福田節”と賀来らキャストの好演によって原作ファンのみならず、大人から子どもまでが楽しめるエンタテインメントに昇華させた点が、視聴者・有識者からともに高く評価された。なお、15年の春改編で新設されて以来、日本テレビの日曜22時半枠による作品賞の受賞は初となった。

　「作品賞」のほか、俳優部門の審査でも『今日から俺は！！』出演キャストの名前が多く挙げられるなか、極悪非道のツッパリ・相良猛役を好演した磯村勇斗が「新人賞」を受賞した。磯村と言えば、『仮面ライダーゴースト』（テレビ朝日系）のアラン役やNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のヒデ役など、これまでは好青年を多く演じてきたが、本作で見事にそのイメージを打ち破った。

◆タイプの異なる落語家を好演、『落語心中』岡田＆山崎がダブル受賞

　「主演男優賞」は、雲田はるこ氏の人気漫画を実写化したドラマ10『昭和元禄落語心中』（NHK総合）で、主人公の落語家・有楽亭八雲（前座名は菊比古）を熱演した岡田将生が受賞。岡田は孤独にさいなまれるほど、芸の腕や妖麗さを増していく八雲の10代から老年までを演じ、その時々の機微はもちろん、落語の腕前までをも丁寧に表現してみせた。

　「助演男優賞」を受賞したのは、同じく『昭和元禄落語心中』で情に厚い天才落語家・有楽亭助六（前座名は初太郎）を好演した山崎育三郎。山崎は八雲とは「月と太陽」ほど異なる助六をエネルギッシュに演じながら、主演を務めた岡田の魅力も引き出し、助演としての役割をまっとうした。

　一方、「助演女優賞」は、ヒットメーカー・野木亜紀子氏が現代に生きる人々のリアルにこだわって描いた『獣になれない私たち』（日本テレビ系）で、クセの強い“こじらせ女子”長門朱里を好演した黒木華が受賞。黒木と言えば、これまでは古風で凛とした女性を演じることが比較的多かったが、本作ではお団子頭によれた部屋着姿で、なかなか一歩が踏み出せない“こじらせ女子”の複雑な心情を体現し、有識者から高く評価された。

◆「主演女優賞」は戸田恵梨香、“大恋愛”描いた大石静氏が「脚本賞」

　「脚本賞」は、金曜ドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』（TBS系）でオリジナルの純愛物語を紡いだ大石静氏が受賞した。本作は、若年性アルツハイマーにおかされる主人公の女医と、彼女を明るく支え続ける元小説家の男の10年間を描く純愛ドラマ。時代性やテレビ視聴スタイルの変化により、近年はこうしたラブストーリー作品が苦戦を強いられる状況にあるなか、大石氏は「恋人が記憶を失っていく」という使い古されたフォーマットを用いながら、見事に“愛の奇跡”を描き上げた。

　そして、段々と記憶を失っていく主人公・北澤尚を熱演した戸田恵梨香が「主演女優賞」を受賞した。戸田は、ムロツヨシ演じる真司と過ごす日々の愛おしさ、自身の新たな一面を知る楽しさ、病が発覚・進行していく切なさや悲しみなど、喜怒哀楽の表情豊かにタイムリミットが迫る女性を儚くも美しく体現し、多くの視聴者の涙を誘った。

　なお、『大恋愛〜僕を忘れる君と』は、「作品賞」の候補としても最後まで名前が挙がっていた。学園コメディの『今日から俺は！！』と純愛ストーリーの『大恋愛〜僕を忘れる君と』。タイプの異なる両作が話題をさらっていたという状況からは、ここ最近、再び盛り上がりをみせるドラマシーンの多様性が窺える。

※「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」とは
オリコンのグループ会社oriconMEが発行する、週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が主催し、有識者と視聴者が共に支持する「質の高いドラマ」を表彰する賞。視聴者の評価は、『コンフィデンス』が毎週、約700名を対象に調査しているドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」の累積平均データを使用。審査員の投票結果と合計したうえで、最終的には有識者15名による審査会で決定する。