ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

【いだてん】役所広司インタビュー 嘉納治五郎は歴史を動かした“憎めない”男

 NHKで1月6日にスタートする大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。“日本で初めてオリンピックに参加した男” 金栗四三と、“初めて日本にオリンピックを呼んだ男”田畑政治、2人を主役に、1964年東京オリンピックが実現するまでの、明治・大正・昭和にまたがる激動の半世紀を描く。同ドラマのキーパーソンの一人、嘉納治五郎を演じるのが俳優の役所広司。大河ドラマは『花の乱』(1994年)以来、25年ぶり6作目の出演となる。

NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(1月6日にスタート)嘉納治五郎を演じる役所広司(C)NHK

NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(1月6日にスタート)嘉納治五郎を演じる役所広司(C)NHK

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


 嘉納治五郎は、講道館柔道の創始者で“柔道の父”“日本スポーツの父”と呼ばれ、「精力善用」「自他共栄」の考え方にもとづき、柔道とオリンピックで国際平和を目指した大人物。連続テレビ小説『あまちゃん』の宮藤官九郎によるオリジナル脚本の『いだてん』では、第1回から登場し、アジア初のIOC(オリンピック組織委員会)委員として、日本のオリンピック初出場のために奮闘していく。

――大河ドラマは25年ぶりの出演ですが…

【役所】大河ドラマでオリンピックのはじめて物語を2019年にやるというのは、2020年東京オリンピックを控えて、最高のタイミングだと思いました。宮藤官九郎さんの脚本を読みながら、いままでの大河ドラマと違う大河ドラマになるんじゃないか。新しいファンが増えるんじゃないか、と思いました。

――嘉納治五郎さんについて

【役所】嘉納治五郎さんが、近代オリンピックの創始者であるフランスのクーベルタンから手紙をもらって、オリンピックに参加してもらいたいという依頼に「イエス」と応えたっていうのを、僕は知らずにオリンピックを見ていました。第1回でも描かれますが、西洋と東洋が手を取り合ってオリンピックを行えば、世界平和を実現することができる、というクーベルタンの思いと、「精力善用」「自他共栄」という柔道の理念は世界共通なんだ、と思ったんでしょうね。当時から、柔道を世界に広げようとして海外へ視察に出かけていらしたので、柔道を通じた人と人との心の交流がいかに価値のあることか、嘉納さん自身、よくわかっていたんだと思います。

 歴史が動く時には嘉納治五郎さんのような人物がいないと、動かないんだな、と感じさせる人物ですね。宮藤さんが書く嘉納治五郎さんも人並み外れた情熱と、ひょうひょうとしたユーモアを併せ持っている。撮影現場ではみんな「治五郎さん」「治五郎さん」って呼ぶんです。そう呼びたくなるキャラクターなんですよね。柔道やオリンピックのために、私財を投げうって、大借金を残して死んでいく。巻き込まれて迷惑を被った人たちもたくさんいたと思いますが、それでも憎めない。そんな治五郎さんの人柄が出せているといいな、と思います。

――オリンピックの思い出は?

【役所】1964年の東京オリンピックですね。あの頃は、地元の長崎にいましたが、日本中が浮足立っていた気がしますね。柔道・無差別級の決勝で、日本の選手がオランダの(アントン・)ヘーシンクに負けた試合が印象に残っていますね。すごく悲しかった記憶がありますし、日本全体がショックを受けた空気を感じていました。一方で、オランダ関係者が歓喜のあまり畳の上に土足で上がり駆け寄ろうとしたのをヘーシンクが止めた。「礼に始まり礼に終わる」という柔道の精神が外国人選手にもちゃんと浸透していることに感動もしました。そういういい話がいっぱいあるんですよ、オリンピックには。

 1998年の長野オリンピックは、スキージャンプ男子団体の決勝を現地で見ていました。あの場でみんなとウェーブをやっていました。金メダルを取れてよかったんですが、それまで原田雅彦選手の調子が悪くて、スタートしたときはすごい歓声なんですが、失速した時にそれが落胆の声に変わる。何万人の人が「あぁ〜、ダメだった」とため息をつくと、すごい音になるんですよ。そのプレッシャーの中で選手たちは戦っているんですからね、本当に尊敬します。2020年の東京オリンピックではすべての日本代表選手に大きなプレッシャーがかかると思いますが、柔道の選手はことさら大変でしょう。嘉納治五郎さんが目指した柔道は強いだけじゃない、礼節を重んじ、美しくなければいけない。それが、世界が一目置く日本の柔道。それで勝つところをやっぱり見たいですよね。

――視聴者へメッセージをお願いします。

【役所】いまでは当たり前のように見て、楽しんでいるオリンピックが、110年前はほとんどの人が知らなくて、ストックホルムまで行くのも一苦労で、お金もかかって大変だったというところから、東京でオリンピックが開かれるまでになる、その過程が細かく、ユーモラスに描かれていきます。関東大震災や第2次世界大戦を乗り越えて、それでもスポーツを続けていく物語です。スポーツで元気になろう、というメッセージがてんこ盛り。明治・大正・昭和と、現代とのつながも感じられる時代に頑張った人たちがたくさん出てきます。これはフィクションか?と思うような内容が、調べていくと実在の人物だったり、本当にあった話だったり、そういう発見も面白く楽しんでいただけると思います。

関連写真

  • NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(1月6日にスタート)嘉納治五郎を演じる役所広司(C)NHK
  • 第1回より。嘉納治五郎(役所広司)のもとに、オリンピックへの参加要請がくる(C)NHK
  • 第1回より。三島弥彦(生田斗真)にオリンピック参加を持ちかける嘉納治五郎(役所広司)(C)NHK

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索