世界中でeスポーツ産業が盛り上がるなか、やや遅れを取りながら日本でもいよいよeスポーツ元年とも言うべき動きが勃興している。18年12月にサザンオールスターズや福山雅治らを擁する大手芸能プロダクション・アミューズと戦略的パートナーシップを締結した世界最大規模のeスポーツチーム「チーム リキッド」の成功事例から、日本におけるeスポーツの市場拡大のヒントを探りたい。
■eスポーツの活性に求められる、アスリートの枠を超えたサポート
アミューズは18年12月4日、オランダと北米を拠点とする世界最大規模のeスポーツチーム「チーム リキッド」と戦略的パートナーシップを締結。同チーム所属の日本人プロゲーマー、ネモ選手と竹内ジョン選手の日本国内におけるマネジメント業務を開始する。チーム リキッドのCOOであるマイク・ミラノフ氏によると、両者による締結に向けた本格的な協議が行われたのは18年8月のこと。
「日本におけるe スポーツの価値向上と市場拡大が、このたびの締結の狙いです。また、チーム リキッドとしてもゲームファンに留まらない一般への認知拡大を目指しており、eスポーツを超えた選手の活動、例えばアパレルとのコラボやゲーム分野以外のメディア出演なども推進していく意向です。その点でも、アミューズの幅広いエンタテインメント事業やアーティストとのコラボレーションには大変期待しています」(チーム リキッド COO マイク・ミラノフ氏/以下、同)
世界第1位の獲得賞金額を誇る同チームは00年に設立。現在はアムステルダムとLA・サンタモニカの本部のほかに、オーストラリア、ブラジルに事業所を持つ。所属選手は、世界15の国と地域の国籍からなる65名以上。スタッフは約110名を雇用している。
「スタッフの多くは選手のアシストに専任しており、食事管理からフィジカルコーチ、ライフスタイルコーチ、PR コーチ、スポーツ心理学などの専門家を雇用しています。こうした包括的なマネジメントなくしてアスリートが最高のパフォーマンスを発揮することはできません。また、ひいてはそれが世界第1位の獲得賞金額にもつながっているわけです」
チーム リキッドは17年の世界大会『The International 2017』で、チーム歴代最高の約11億円の賞金を獲得。トップ選手に対しカリスマとして憧れる若者も世界で増えている。
「アメリカでは9〜35歳の若者は伝統的なスポーツよりも、eスポーツを好んで視聴するという調査があります。また近年は伝統的なスポーツへの投資家たちが、続々とeスポーツをポートフォリオに入れるようになりました。スポーツ専門チャンネル『ESPN』でも野球やバスケットボールなどと同様に、eスポーツが取り上げられています」
■ビジョンを共有できるパートナーでなければ組むメリットはない
こうした状況は自然発生的ではなく、その背景には業界が一丸となった取り組みがあったという。
「多くのeスポーツチームには多国籍の選手が所属しており、アメリカで活動するためにはビザが必要です。そこでチームだけでなく、スポンサーやゲーム会社などが協力して政府にロビー活動を重ねてきた結果、14年にP1ビザ(※スポーツ分野で実績のある選手が、米国でのトーナメントやコンサートツアー等に参加する際に使用されるビザ)がeスポーツ選手にも適用されることとなったのです」
日本では今年2月に、日本eスポーツ連合が立ち上がったばかり。業界を上げた政府への提言や一般への啓蒙活動にマイク氏も期待を寄せている。さらに、今後ますます増えるであろうe スポーツのチーム運営についてのアドバイスも話してくれた。
「まずはプロ意識を持った優秀なスタッフを揃えること。そしてベストパートナーを探すことです。日本のチームは闇雲にスポンサーを獲得しようとする傾向がありますが、ビジョンを共有できるパートナーでなければ組むメリットはありません。何より、チームのブランドバリューの向上に注力してください。現状、日本には世界と比べて長く続いているチームが多くありません。数年でチーム名を変えたり、結成や解散を繰り返すといったこともよく見受けられます。しかし、この業界に参入するなら、長く活動する覚悟を決めること。それがチームのブランド価値、そして日本のeスポーツシーンのプレゼンス向上にもつながるはずです」
文/児玉澄子
■eスポーツの活性に求められる、アスリートの枠を超えたサポート
アミューズは18年12月4日、オランダと北米を拠点とする世界最大規模のeスポーツチーム「チーム リキッド」と戦略的パートナーシップを締結。同チーム所属の日本人プロゲーマー、ネモ選手と竹内ジョン選手の日本国内におけるマネジメント業務を開始する。チーム リキッドのCOOであるマイク・ミラノフ氏によると、両者による締結に向けた本格的な協議が行われたのは18年8月のこと。
世界第1位の獲得賞金額を誇る同チームは00年に設立。現在はアムステルダムとLA・サンタモニカの本部のほかに、オーストラリア、ブラジルに事業所を持つ。所属選手は、世界15の国と地域の国籍からなる65名以上。スタッフは約110名を雇用している。
「スタッフの多くは選手のアシストに専任しており、食事管理からフィジカルコーチ、ライフスタイルコーチ、PR コーチ、スポーツ心理学などの専門家を雇用しています。こうした包括的なマネジメントなくしてアスリートが最高のパフォーマンスを発揮することはできません。また、ひいてはそれが世界第1位の獲得賞金額にもつながっているわけです」
チーム リキッドは17年の世界大会『The International 2017』で、チーム歴代最高の約11億円の賞金を獲得。トップ選手に対しカリスマとして憧れる若者も世界で増えている。
「アメリカでは9〜35歳の若者は伝統的なスポーツよりも、eスポーツを好んで視聴するという調査があります。また近年は伝統的なスポーツへの投資家たちが、続々とeスポーツをポートフォリオに入れるようになりました。スポーツ専門チャンネル『ESPN』でも野球やバスケットボールなどと同様に、eスポーツが取り上げられています」
■ビジョンを共有できるパートナーでなければ組むメリットはない
こうした状況は自然発生的ではなく、その背景には業界が一丸となった取り組みがあったという。
「多くのeスポーツチームには多国籍の選手が所属しており、アメリカで活動するためにはビザが必要です。そこでチームだけでなく、スポンサーやゲーム会社などが協力して政府にロビー活動を重ねてきた結果、14年にP1ビザ(※スポーツ分野で実績のある選手が、米国でのトーナメントやコンサートツアー等に参加する際に使用されるビザ)がeスポーツ選手にも適用されることとなったのです」
日本では今年2月に、日本eスポーツ連合が立ち上がったばかり。業界を上げた政府への提言や一般への啓蒙活動にマイク氏も期待を寄せている。さらに、今後ますます増えるであろうe スポーツのチーム運営についてのアドバイスも話してくれた。
「まずはプロ意識を持った優秀なスタッフを揃えること。そしてベストパートナーを探すことです。日本のチームは闇雲にスポンサーを獲得しようとする傾向がありますが、ビジョンを共有できるパートナーでなければ組むメリットはありません。何より、チームのブランドバリューの向上に注力してください。現状、日本には世界と比べて長く続いているチームが多くありません。数年でチーム名を変えたり、結成や解散を繰り返すといったこともよく見受けられます。しかし、この業界に参入するなら、長く活動する覚悟を決めること。それがチームのブランド価値、そして日本のeスポーツシーンのプレゼンス向上にもつながるはずです」
文/児玉澄子
2019/01/06