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【まんぷく】ありがとう“塩軍団” 塩作りの舞台裏

 NHKで放送中の連続テレビ小説『まんぷく』(月〜土 前8:00 総合ほか)。20日放送の第70回で、萬平(長谷川博己)は財務局の追徴課税を逃れるため、「たちばな栄養食品」を解散することを決断。22日放送の第72回で福子(安藤サクラ)は社員の前で「解散」を宣言した。“塩軍団”と呼ばれた15人の社員たちとは、神部(瀬戸康史)ら一部を除いてお別れとなる。彼らが大活躍した11月からの泉大津編を振り返り、その舞台裏を紹介する。

連続テレビ小説『まんぷく』第12週でたちばな栄養食品が解散。塩軍団ともお別れ(C)NHK

連続テレビ小説『まんぷく』第12週でたちばな栄養食品が解散。塩軍団ともお別れ(C)NHK

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 戦争で家や職場を失った福子と萬平は、世良のつてで泉大津の物件に引っ越してくる。そこは元は軍の施設で、倉庫に81枚の鉄板が残されていた。萬平は、この鉄板を使って何か新しいことを始められないかと考え、塩作りを思いつく。

 塩作りシーンの数々は、ロケや事前研修まで行い、多くの関係者の協力を得て収録された。たちばな塩業の塩作りは、昔ながらの塩作りをアレンジしたもの。大きく分けて3つの場所で撮影された。

■赤穂市「塩の国」ロケ

 塩作りを思い立った萬平と神部が塩作りを学ぶシーン(第6週)は、7月下旬、赤穂市立海洋科学館「塩の国」で撮影された。「塩の国」は中世から近現代にかけての製塩施設を復元した体験・学習施設。

 『まんぷく』の製塩シーン全般の指導も行った「塩の国」の職員によると、「入浜(いりはま)」という、砂を利用した塩田のシーンを撮影では「2日前に入浜全体を万鍬(まんが)で引き、沼井の中に砂を満杯にする作業をしました。砂を浜全体から集めてくるのが大変で、浜に凹凸ができないようにし、沼井に放り込む作業は猛暑の中大変でした(昔は、この作業を一人で、何倍もの浜を任されていたとのこと)」。

 さらに、釜屋(かまや)という建物の中でかん水を煮詰め“塩の花”を集めるシーンも撮影。「当日午後2時からの撮影に合わせ、釜屋の平釜の清掃を行い、かん水を定量入れ午前10時に火を入れて焚きはじめました。撮影時に最高の状態にするためには、火加減の調整が必要で、職員全員交替で見張りました。放送を見て、良い物が出来ていたので安心しました」と、無事に放送されたことを喜んでいたという。

■事前に研修も行った南あわじ市・吹上浜ロケ

 実際に海水を鉄板に流しながら水分を蒸発させて塩分濃度を高めるかん水作りのシーンの撮影は、7月下旬と8月下旬に兵庫県南あわじ市・吹上浜で行われた。実はこのロケに先立つ7月の半ば、淡路島を“塩軍団”15人全員が訪れ、「塩作り研修」を行っていた。研修当日、一行はたちばな塩業と似た方式で昔ながらの塩作りを行っている洲本市の製塩会社を訪ね、まずは社長から塩作りについてのレクチャーを受けていた。

 この会社では萬平の方法とは違い、鉄板によるかん水づくりは行っていないのだが、この研修のために特別に簡易の鉄板を設置し、ドラマと同じ方法での塩作りが体験できるようにしてくれたそう。その後、俳優たちは、かん水を煮詰めて塩の結晶を作るところまで体験し、劇中と同じように全員汗だくになりながら塩作りの過酷さ、難しさを学んでいった。

■スタジオセットでも“塩の花”咲く

 かん水を煮詰め、塩の結晶(塩の花)を作り出す煎熬(せんごう)作業のシーンは、8月上旬、NHK大阪放送局のスタジオで撮影。この時の収録では、赤穂の「塩の国」から本物のかん水を提供してもらい、たちばな塩業のスタジオセット内の釜で実際に火を使って煮詰めていった。この煎熬作業は、火加減や温度など、非常に繊細な調整が必要になるため、塩の国職員の廣門良信さんがスタジオに駆け付け、指導・監修者として収録に立ち会った。

 スタジオではこのシーンの前後もさまざまなシーンを撮影しているため、調整に手間取るわけにはいかない。刻一刻とシーンの収録時間が近づく中、たくさんのスタッフが火加減や温度の調整を繰り返し、スタジオは緊張感が漂っていたという。廣門さんは「スタジオ内での製塩は、さまざまな制約(収録時間や設備の都合など)があり、完璧に再現することは難しい」と思っていたそうだが、無事、かん水が煮詰まり、塩の結晶ができあがるところを撮影することができた。

 塩作りから、栄養食品「ダネイホン」作りまで、萬平・福子夫妻とともに汗だくになりながら泉大津編を駆け抜けた“塩軍団”。その舞台裏では、多くのスタッフや外部の協力者も汗をかいていた。そんなたくさんの人たちの汗が結晶となり、ドラマは形づくられていく。

関連写真

  • 連続テレビ小説『まんぷく』第12週でたちばな栄養食品が解散。塩軍団ともお別れ(C)NHK
  • 赤穂で塩作りを学ぶ萬平(長谷川博己)と神部(瀬戸康史)(C)NHK
  • 兵庫県南あわじ市・吹上浜で行ったロケの模様(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』第6週より。赤穂で塩作りを学ぶ萬平(長谷川博己)と神部(瀬戸康史)(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』兵庫県南あわじ市・吹上浜でロケを敢行(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』第6週より。かん水を煮詰める煎熬シーン(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』NHK大阪放送局のスタジオ内でかん水を煮詰める煎熬シーンを収録(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』「塩の国」職員の廣門良信さん(右端)がスタジオに駆け付け、指導・監修者として収録に立ち会った(C)NHK
  • 連続テレビ小説『まんぷく』NHK大阪放送局のスタジオ内でかん水を煮詰める煎熬シーンを収録。塩の結晶ができはじめたところ

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