俳優・高橋一生主演のカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『僕らは奇跡でできている』（毎週火曜　後9：00）が先週9日よりスタートしている。高橋演じる主人公の大学講師・相河一輝は、生き物の不思議には目がないがそれ以外には極端に無頓着。時間も守れず、他人との距離のとり方もうまくできない、とにかくマイペースで周囲からは“変わり者”としてみられている。だけどどこか憎めなくて愛らしささえ感じられる。そんな魅力的な主人公である一輝がどのようにして生まれたのか、豊福陽子プロデューサーが語った。

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　脚本を手がけているのは『僕の生きる道』、『僕と彼女と彼女の生きる道』、『僕の歩く道』の『僕シリーズ』で知られる橋部敦子氏。「奇をてらった言葉とか予想外の派手な出来事ができるわけではないのに、なぜここまで心を動かされるんだろう」と豊福氏は橋部脚本の魅力に惹かれ、依頼。その際に「ひまわりの種の並びを数えるとある数列になっている…とか日常で目にするものにぜんぜん違う、授業で言えば科目のことが隠れている。面白い、すごいなと思ったことを情報番組ではなくドラマでやってみたいと、雑談レベルの感じでお話ししたら橋部さんも『そういうの興味があります』と言っていただいたんです」と企画がスタート。

　そこから別のプロデューサーも加わり一輝が専門とする“動物行動学”にたどり着き「少しずつ私が感覚的に話すことを例えば『動物行動学』がいいんじゃないかとか、教える立場にいるのであればそういうことも紹介できるのでじゃないかとか、主人公はこういうのが大好きっていうキャラクターがいいんじゃないかとか」と徐々に一輝の骨子を作り上げていった。

　また、「千葉（行利）プロデューサーは高橋一生さんと昔からご一緒されてて、一生さんとまたやりたいという思いのなか、お会いする機会に『こういう話どうですか』と聞いたらその100倍くらいの情報量で“生き物の不思議”を返されたんです。一生さんがラッコの話をされていたんですけど、『こういうところがすごくないですか!？』って私に負けない熱量で語ってくれて、それをみたときに主人公じゃん！って思ったんです。好奇心がとめどなくあって、感動に震えている感じが伝わってきて、それをドラマにフィードバックしてできました。橋部さんと分かち合えたことや、一生さんが興味があったこと、不思議な点と点がつながれた先にこのドラマが実現した感じです」。

　2話に登場する“リスに橋を渡らせる”というエピソード。「リスのために橋をかけようとしている、という説明で（一輝の）『リスに橋を渡るという可能を“みせてあげる”んです』というせりふがあったんです。その時、一生さんは一輝は『みせてあげる』とは言わないんじゃないか。『みせてあげる』だと自分が上になる。『みせる』と言うと思う…と言われて、ああ〜そうですねって。一輝は動物も、植物も、人も等しく愛おしいと思っていて自分がこうしてあげるっていう感覚はないなと」。撮影では細やかな部分で高橋が相河一輝というキャラクターに命を吹き込んでいった。

　第1話ではエリート歯科医の水本育実（榮倉奈々）に向け「うさぎは亀を見下すために走る」と言葉を発し、育実に「先生はうさぎっぽい」と言い放つ。「台本だけだと育実のあり方を否定しているようなせりふに聞こえるけど一輝は、亀は実直に進むけどうさぎを卑下してるわけでなく、うさぎはうさぎなりに一生懸命な頑張り方をしている。一輝はうさぎを否定して亀を肯定しているわけじゃない。育実はそう受け取ってしまうけど一輝自身が、うさぎも肯定している。一輝の発するひとつひとつの言葉の根っこにある考え方をとってもたくさん考えてくれていて、せりふにない仕草も含めて、丁寧につくってくれています」。

　今後の物語ではそんな一輝に影響されて育実をはじめとする周囲の人々にも変化が生まれていく。「一輝と過ごしていくうちにじわじわと影響を受けていた周りの人たちが自分のジレンマとか抱えているものと向き合わざるを得なくなる。それぞれの心に、さざなみが起きて前半戦はゆっくり広がりながら、その波紋の先にいろいろなものがぶつかって様々なこと起きていく。このドラマでのいう、事件というか影響が目に見える形で出てくるのが後半戦。最終的には、いろいろな好奇心を示している一輝が最終的にどうなるのか。予想はできないかもしれないけれど、みなさんがはぁ〜っとできるところに一輝は連れて行ってくれるので楽しみに見届けてほしいですね」。