フジテレビは9月3日、都内本社にて10月改編及び秋の新番組発表会見を行った。同局では昨年6月に宮内正喜氏が新社長に就任。就任後初となった昨年の10月改編時には、現状を「非常事態」とし、17年10月、18年4月、そして今回の10月改編と、3回の改編を通してフジ復活に向けた大改革を行うことを宣言、実行してきた。1つの節目となるこの10月期の改編率は、「全日」5.8%、「ゴールデン」23.1%、「プライム」24.5%。「全日」は4月に28.2%の“大改造”を行ったためやや小幅、「ゴールデン」「プライム」では引き続き、進化を追い求める改編率となったが、会見では一連の改革による成果、意識改革の跡が垣間見られた。
◆4月以降、企画本位でドラマ作りに専念
今回の10月改編のテーマは、「勝負の秋、進化の秋」。会見に出席した編成部長・齋藤翼氏は、「昨年の10月から一致団結し、変える、変わる改編に取り組んで参りました。まだまだではありますが、ドラマ、新しく立ち上げたバラエティ、また今回改編の対象外にはなりますが、『めざましテレビ』や『バイキング』、『直撃LIVE グッディ!』といった帯番組など、少しずつ皆さんに評価をいただき数字が積み上がってきている状況」と手応えを語りながら、だからこそ「この3回目の改編は、1つの節目として非常に意識をして改編をさせていただいた。ひと言で言えば、良いものはさらにパワーアップし、結果が出ないものは刷新する勝負の改編です」と説明した。
現在、特に良い流れができてきているのはドラマ。4月期の『コンフィデンスマンJP』、『モンテ・クリスト伯』は視聴率はさほど振るわなかったものの、“上質なドラマ”として世間に注目され、週刊エンタテインメントビジネス誌主催の『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』でも、『コンフィデンスマンJP』が「主演女優賞(長澤まさみ)」と「脚本賞(古沢良太氏)」、『モンテ・クリスト伯』が「主演男優賞(ディーン・フジオカ)」が受賞した。その流れを受け、現在放送中の7月期ドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』、『グッド・ドクター』は評判に加え視聴率も上々、視聴率はほとんどの放送回で平均2桁台をマークしている。
ドラマ制作を担当する第一制作室長の鈴木吉弘氏によると、「4月以降は、本当に面白いこと、企画のはっきりしたもの、いま視聴者に届けたいものを企画本位でやっていこうと取り組んできた」と社内的にも意識改革があったという。チームが本当に面白いものを作り、またその面白さや魅力がしっかりと視聴者に伝わったからこそ、「(それが)視聴率の上昇にもつながってきていると思います」と手応えを語った。
◆10月期ドラマ『SUITS/スーツ』は米プロデューサーもお墨付き?
その流れを受けて、10月期はさらなる大型企画を投下。木曜10時には、1995年から『ビッグコミックオリジナル』(小学館)で連載されている弘兼憲史氏による同名漫画を原作とした、ラブストーリー『黄昏流星群』を。そして、月9ドラマには、全米のメガヒット海外ドラマ『SUITS』を原作とした『SUITS/スーツ』を放送。織田裕二の10年ぶりとなる月9主演、また織田と鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』以来27年ぶりの共演など、各種トピックスでも注目を集めている。
なお、この人気海外ドラマのリメイクは、同作プロデューサーの後藤博幸氏が7年越しに実現した企画。鈴木氏は、「先日、(配給元の)NBCユニバーサル・インターナショナル・フォーマットのプロデューサーが来日し、キャストの顔合わせ・セリフ読みに参加しましたが、『パーフェクトだ』という感想をいただきました。日本の制作力に関して非常に期待しているというお言葉もいただきました」と自信を覗かせている。比較的“オトナ向け”の印象を受ける2作だが、「ターゲットを絞るわけではなく、あくまでもオールターゲットということを一番に考えている」(齋藤氏)という。
なお、関西テレビは民放GP帯の連ドラ初となる高橋一生を主演に『僕らは奇跡でできている』(火曜21時)を放送。あらゆる生き物の不思議に目がない、ユニークな大学講師が巻き起こす心温まる物語で、『僕の生きる道』シリーズや『フリーター、家を買う。』、『フラジャイル』などの人気作を手がけてきた橋部敦子氏による完全オリジナル作。
東海テレビの「オトナの土ドラ」枠は『結婚相手は抽選で』(土曜23時40分)を放送。こちらも「結婚抽選見合い法」というデタラメな法案に巻き込まれた人々が、お見合いによって未知なる人と出会い、そこから巻き起こる悲喜こもごもによって現代の日本社会のリアルを浮き彫りにする“挑戦的”なヒューマンドラマとなる。
◆バラエティでも若い才能が発揮される
編成部長の齋藤氏が、同局の「復活のキー」と語るバラエティでも、番組作りに関して改革の跡が見られた。9月で放送を終了する『モノシリーのとっておき』(金曜19時)、『さまぁ〜ずの神ギ問』(土曜19時)に変わって、10月期より坂上忍がMCを務める『坂上どうぶつ王国』が金曜19時、佐藤二朗MCによるクイズ番組『99人の壁』が土曜19時にスタートする。
『坂上どうぶつ王国』は、坂上本人から持ち込まれた企画で、企画の面白さ重視で立ち上がった番組。また、『99人の壁』は、20代で入社3年目の千葉悠矢氏が総合演出を務める番組で、社内コンペを経てレギュラー化が決定した。『99人〜』は、過去3回の特番での視聴率はそこまで好成績とは言えなかったものの、こちらも今後の同局や企画の面白さを優先し選ばれたものだという。
来年はフジテレビ開局60周年の記念イヤー。齋藤氏は、「今後のテレビというメディアの価値、維持向上していくためにも、今までのテレビ番組の企画や既成概念にとらわれないことが大切。そして、私たちはこれから“フジテレビの顔”になる看板番組を育てなければいけない」と力を込める。“進化”を続けようと奮闘する同局の“変化”に、秋以降も注目したい。
◆4月以降、企画本位でドラマ作りに専念
今回の10月改編のテーマは、「勝負の秋、進化の秋」。会見に出席した編成部長・齋藤翼氏は、「昨年の10月から一致団結し、変える、変わる改編に取り組んで参りました。まだまだではありますが、ドラマ、新しく立ち上げたバラエティ、また今回改編の対象外にはなりますが、『めざましテレビ』や『バイキング』、『直撃LIVE グッディ!』といった帯番組など、少しずつ皆さんに評価をいただき数字が積み上がってきている状況」と手応えを語りながら、だからこそ「この3回目の改編は、1つの節目として非常に意識をして改編をさせていただいた。ひと言で言えば、良いものはさらにパワーアップし、結果が出ないものは刷新する勝負の改編です」と説明した。
現在、特に良い流れができてきているのはドラマ。4月期の『コンフィデンスマンJP』、『モンテ・クリスト伯』は視聴率はさほど振るわなかったものの、“上質なドラマ”として世間に注目され、週刊エンタテインメントビジネス誌主催の『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』でも、『コンフィデンスマンJP』が「主演女優賞(長澤まさみ)」と「脚本賞(古沢良太氏)」、『モンテ・クリスト伯』が「主演男優賞(ディーン・フジオカ)」が受賞した。その流れを受け、現在放送中の7月期ドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』、『グッド・ドクター』は評判に加え視聴率も上々、視聴率はほとんどの放送回で平均2桁台をマークしている。
ドラマ制作を担当する第一制作室長の鈴木吉弘氏によると、「4月以降は、本当に面白いこと、企画のはっきりしたもの、いま視聴者に届けたいものを企画本位でやっていこうと取り組んできた」と社内的にも意識改革があったという。チームが本当に面白いものを作り、またその面白さや魅力がしっかりと視聴者に伝わったからこそ、「(それが)視聴率の上昇にもつながってきていると思います」と手応えを語った。
◆10月期ドラマ『SUITS/スーツ』は米プロデューサーもお墨付き?
その流れを受けて、10月期はさらなる大型企画を投下。木曜10時には、1995年から『ビッグコミックオリジナル』(小学館)で連載されている弘兼憲史氏による同名漫画を原作とした、ラブストーリー『黄昏流星群』を。そして、月9ドラマには、全米のメガヒット海外ドラマ『SUITS』を原作とした『SUITS/スーツ』を放送。織田裕二の10年ぶりとなる月9主演、また織田と鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』以来27年ぶりの共演など、各種トピックスでも注目を集めている。
なお、この人気海外ドラマのリメイクは、同作プロデューサーの後藤博幸氏が7年越しに実現した企画。鈴木氏は、「先日、(配給元の)NBCユニバーサル・インターナショナル・フォーマットのプロデューサーが来日し、キャストの顔合わせ・セリフ読みに参加しましたが、『パーフェクトだ』という感想をいただきました。日本の制作力に関して非常に期待しているというお言葉もいただきました」と自信を覗かせている。比較的“オトナ向け”の印象を受ける2作だが、「ターゲットを絞るわけではなく、あくまでもオールターゲットということを一番に考えている」(齋藤氏)という。
なお、関西テレビは民放GP帯の連ドラ初となる高橋一生を主演に『僕らは奇跡でできている』(火曜21時)を放送。あらゆる生き物の不思議に目がない、ユニークな大学講師が巻き起こす心温まる物語で、『僕の生きる道』シリーズや『フリーター、家を買う。』、『フラジャイル』などの人気作を手がけてきた橋部敦子氏による完全オリジナル作。
東海テレビの「オトナの土ドラ」枠は『結婚相手は抽選で』(土曜23時40分)を放送。こちらも「結婚抽選見合い法」というデタラメな法案に巻き込まれた人々が、お見合いによって未知なる人と出会い、そこから巻き起こる悲喜こもごもによって現代の日本社会のリアルを浮き彫りにする“挑戦的”なヒューマンドラマとなる。
◆バラエティでも若い才能が発揮される
編成部長の齋藤氏が、同局の「復活のキー」と語るバラエティでも、番組作りに関して改革の跡が見られた。9月で放送を終了する『モノシリーのとっておき』(金曜19時)、『さまぁ〜ずの神ギ問』(土曜19時)に変わって、10月期より坂上忍がMCを務める『坂上どうぶつ王国』が金曜19時、佐藤二朗MCによるクイズ番組『99人の壁』が土曜19時にスタートする。
『坂上どうぶつ王国』は、坂上本人から持ち込まれた企画で、企画の面白さ重視で立ち上がった番組。また、『99人の壁』は、20代で入社3年目の千葉悠矢氏が総合演出を務める番組で、社内コンペを経てレギュラー化が決定した。『99人〜』は、過去3回の特番での視聴率はそこまで好成績とは言えなかったものの、こちらも今後の同局や企画の面白さを優先し選ばれたものだという。
来年はフジテレビ開局60周年の記念イヤー。齋藤氏は、「今後のテレビというメディアの価値、維持向上していくためにも、今までのテレビ番組の企画や既成概念にとらわれないことが大切。そして、私たちはこれから“フジテレビの顔”になる看板番組を育てなければいけない」と力を込める。“進化”を続けようと奮闘する同局の“変化”に、秋以降も注目したい。

2018/09/03