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田中圭、キャリア18年 駆り立てるものは「同じ事務所には、ずっと小栗旬がいる」

 これまでにも数多くの作品で活躍し、今年はドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で会社の上司と同僚2人の男性から好意を寄せられる主人公の春田、通称“はるたん”を全力で演じた田中圭。実力派俳優として、改めて注目の的だが、“ブレイク”とは言ってもキャリア18年。幅広い役柄を真摯に演じてきた結果が花開いた。そんな彼が、どのように役に向き合い、役者という仕事についてどのように考えるのか、話を聞いた。

『おっさんずラブ』で注目を集める田中圭(写真/逢坂 聡)

『おっさんずラブ』で注目を集める田中圭(写真/逢坂 聡)

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■“田中圭がどう見られるか?”というのはどうでもいい

――今月スタートするドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)は生活保護受給者を支援するケースワーカーを描いたドラマです。ケースワーカーという職業を演じるにあたり調べたことや勉強したことなどはありますか?

【田中圭】 ケースワーカーの仕事内容に関する詳しい資料を頂いたので読ませていただいたんですけど、ただただ凄い仕事だなと思いました。人と向き合う大変なお仕事をされている方々を純粋に尊敬します。究極な話、例えば俳優という仕事が無くなっても社会は困らないかもしれないけど、ケースワーカーというのは社会にとってなくてならない重要な仕事なんだということを思い知らされたというか。そこは意識して演じなければと思いました。

――『おっさんずラブ』の最終回放送後は“はるたんロス”の人が続出しましたが、このドラマで演じる京極は春田とは正反対のキャラクターです。また田中さんの新たな魅力が開花されるのではないでしょうか。

【田中圭】 僕の勝手な理想を言わせてもらうと、春田と同じ感覚で京極を演じられれば最高なんじゃないかと思っているんです。ただ、春田はオリジナルのキャラクターなので自由に演じることができましたけど、京極は原作に登場するキャラクター。なのでそこまで自由に演じてはいけないんですよね。なのでお芝居のアプローチなどできる範囲で春田と同じように思い切り演じることができれば、またひとつ何か新しい引き出しが増えるんじゃないかなとは思っています。

――これまでも幅広い作品に出演されていますが、田中さんは現場でどんなことを大事にされているのでしょうか?

【田中圭】 基本的には“田中圭がどう見られるか”というのはどうでもよくて、とにかく作品が面白くなればと思って演じています。正直な話、その作品が面白くなるかならないかがどれだけ自分にかかってくるかでモチベーションが違ってきますし、作品が少しでも面白くなるなら自分にできることは全部やりきりたい。『スラムダンク』の安西先生の名台詞じゃないですけど“諦めたらそこで試合終了”しちゃうので(笑)、どの作品もなるべく諦めずに時にはわがままを言うことも大事なのかなと。もちろん良い意味でのわがままですよ。僕個人はどう思われてもいいから役を通して色んなことと戦っていきたいです。

■18年のキャリア、駆り立てるものは「売れてぇ〜!」

――やはりご自身の中でも春田の存在はまだ大きいのでしょうか?

【田中圭】 確かに周りから「凄いね」とか「おめでとう」と言っていただくことも多かったですし、一昨年出した写真集が重版になったと聞いて「へ〜そんなことってあるんだな」と驚きつつもありがたいなと思っている自分がいます。単純に嬉しいですね。ただ、ちょっと待てと。この現象についていくつか自分の中で思うことがあって…ひとつはまず、特に変わることもなく僕自身には何の影響もないということ(笑)。それからこの状況はいつまでも続かないだろうなと妙に冷静になっているというか。キャリアも結構あるし、そうはならないだろうとは思うんですけど、例えば僕がどんなにつまらない芝居をしても周りが褒めてくれるような状況は作りたくないですね。そういうとこと戦ってきて今の“田中圭”があるはずなので、これからも自分自身に対して“つまらない芝居するんじゃないぞ”と喝を入れ続けなければいけないなと感じています。

――そうやって役者を長く続けてきた田中さんを、そこまで駆り立てるものは何でしょう。

【田中圭】 そうですね…。「売れてぇ〜!」ってやつですね(笑)。

――単純明快! でももう十分ご活躍されていると思うのですが…(笑)。

【田中圭】 違うんです、違うんです! 同じ事務所には、ずっと小栗旬がいるので(笑)。 ただ、もう18年も事務所にいますから「どんだけ自分が頑張ったと思っても、ずっと背中を見せ続けてくれる先輩がいることをありがたいと思いなよ」と後輩達には言っています。

――今作で吉岡里帆さん演じるヒロインに仕事の厳しさを教える係長の京極大輝のように、田中さんも後輩に対してアドバイスされているんですね。

【田中圭】 ところが気付いたらみんな僕の背中を抜かしていってしまって(笑)。だけど芝居だけは全員に絶対に負けてないと思っているので、また後輩達に背中を見せられるように頑張らなきゃいけないなとは思っています。

■どんな役もこなせる役者じゃなくて、個性派俳優になるのが理想だった(笑)

――田中さんのようにどんな役でもハマってしまう役者は少ないような気がします。

【田中圭】 本当はどんな役もこなせる役者じゃなくて、ピンポイントでハマり役を演じる個性派俳優になるのが理想だったんですけどね!(笑) 残念ながらそうはならなかったです(笑)。

――先ほど役者という仕事が無くなっても社会は困らないかもしれないとおっしゃったのですが、このドラマではケースワーカーの大変さや受給者の現状を世の中の人に知らせることができるので個人的には役者はとても重要な仕事だと思っています。田中さんは役者という仕事を通して社会にこんな影響を与えたいといった願望はありますか?

【田中圭】 僕がこの仕事を好きな理由のひとつが、自分が関わった作品を見て将来の夢が決まったという人がいたり、生きるのが辛いと思っていた人に生きる希望を与えることができたり、そんな風に誰かの心を動かす可能性があるところなんです。そのためにはまず自分が楽しいと思える作品に関わり続けることが大事なんじゃないかと。社会に何か影響を与えたいといった大きな願望ではなくて、こちらが意図せずとも誰かが楽しんでくれたり喜んでくれるだけで嬉しいですから、そういう意識で今後も役者を続けていけたらと思います。

(インタビュー・文/奥村百恵)

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