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パルムドール受賞の是枝裕和監督が凱旋会見「ようやく実感しました」

 『第71回カンヌ国際映画祭』のコンペティション部門で最高賞・パルムドールを受賞した『万引き家族』(6月8日公開)の是枝裕和監督(55)が23日、フランスから空路で帰国。羽田空港内で凱旋会見を開き、快挙に破顔一笑した。

凱旋会見を開いた是枝裕和監督 (C)ORICON NewS inc.

凱旋会見を開いた是枝裕和監督 (C)ORICON NewS inc.

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 日本映画では1997年の今村昌平監督作品『うなぎ』以来、21年ぶりのパルムドール。現地時間19日(日本時間20日)の授賞式以降、取材などで引っ張りだこで、ようやく帰国の途につけた。長旅を終え、少し疲れた表情を見せながらも「スタッフのにこやかな顔を見たら、ようやく実感しました」と感慨深げ。トロフィーを手に笑顔も見せていた。

 ムービーカメラ15台、約80人という多くの報道陣が集まった光景を前に「大きな賞だったんだなと思う」としみじみ。家に帰ってやりたいことについては、LINEなどへ祝福が殺到しているが、まだ返信できていないそうで「いろんな方にお礼は返したい」と話した。

 現地で公式上映が終わり、インタビュー取材を受けると「『タッチ』(感動)という言葉と『ラブ』(愛)という言葉が多かった」そう。そういった変化から「評判はボチボチだなと思った」と実感を口にした。

 授賞式後は米・ニューヨークで次回作の打ち合わせをしていたという。「正直まさか、こんなことになると思っていなかったので、直後に次回作の件でアメリカでの予定を入れてしまっていた。ちょっと戻ってくるのに時間がかかってしまった」と苦笑。内容については「近々、正式に制作発表的なことが行われるだろうと思うので、そこで」と話すに留めた。続けて「打ち合わせ自体はうまくいった。パルムドール(受賞)もご存知で『断れないなぁ』と言われました。そのときは獲ってよかったなって実感しました」と“パルムドール効果”が早くもあったことを明かし、笑わせた。

 映画は「役者のアンサンブルがうまくいった。メインの6人のバランスが非常にいい。監督として、とても恵まれたと思った」という。安藤サクラ(32)が泣くシーンは審査員からも非常に好評だったことも明かし「サクラさんの泣くシーンはカメラの脇で立ち会っていても、これは特別な瞬間だ、と。そういうのが何度もあった。スタッフ、キャスト含めて、いろんな科学反応が現場で起きた。いい映画ができたのかなという実感は持ってました」と作品への思いを口にした。

 また、映画に出演した子役・城桧吏(じょう・かいり)くん(11)への評価が急上昇していることについて聞かれると、「普段は天真爛漫な男の子なんですが、レンズを通すととても色っぽいなという印象でした。(現場で)最初は台本を渡してないのでどういう物語か知らないのですが、撮影が進んでいくと、まわりの大人を観察してカット割りを先読みしだす。まわりを見て観察して、それを自分の演技に生かしていました」と早熟な才能に舌を巻いていた。

 ニューヨークでの打ち合わせにはトロフィーは持っていかなかったそうで「スタッフに預けまして金庫に保管していただいて、ここで再会しました」とにっこり。「記者会見が終わってから、どうするか相談していない。俺が持って帰っていいのかな」とスタッフを見ながら「一晩ぐらいは抱いて寝ようかなと思います」と笑顔が止まらなかった。

 本作は是枝監督が「この10年間考え続けてきたことを全部込めた」と語る意欲作。東京の下町に暮らす一見どこにでもいそうな平凡で貧しい家族。しかし彼らは犯罪で生計をたて、ひっそりと暮らしていた。犯罪でしかつながれなかった家族たち。不完全だが、愛すべき家族の心揺さぶる衝撃の物語を描く。日雇い労働者の父をリリー・フランキー、妻を安藤サクラ、妻の妹を松岡茉優、祖母を樹木希林が演じた。

 パルムドール受賞後、問い合わせが殺到し、先行&拡大公開が決まった。先行ロードショーは6月2日、3日限定で300館以上で行われる予定となっている。また、海外149の国と地域への販売が決定した。

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  • 『第71回カンヌ国際映画祭』のコンペティション部門で最高賞・パルムドールを受賞し、凱旋会見を開いた是枝裕和監督 (C)ORICON NewS inc.
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