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『特捜9』好調を支える青柳VS村瀬 吹越満と津田寛治の掛け合いの妙

 テレビ朝日系水曜よる9時のドラマ枠で“9係”の愛称で親しまれてきた『警視庁捜査一課9係』が、この春、『特捜9』として再出発。4月11日放送の初回は16.0%、同18日放送の第2話は15.4%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調な滑り出しを見せた。

テレビ朝日系『特捜9』青柳靖役の吹越満、村瀬健吾役の津田寛治(C)テレビ朝日

テレビ朝日系『特捜9』青柳靖役の吹越満、村瀬健吾役の津田寛治(C)テレビ朝日

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 昨年3月に亡くなった渡瀬恒彦さんが演じた“係長”加納倫太郎は内閣テロ対策室に派遣という形をとり、残された9係は解散、メンバーも散り散りになっていたころから『特捜9』はスタート。初回は、1年間の空白期間を経て、神田川警視総監(里見浩太朗)が、初動捜査から送検まで早期の事件解決を目指す独立した「捜査班結成」を指示。数年前のとある事件を機に退職していた宗方朔太郎(寺尾聰)を班長として復職させ、浅輪直樹(井ノ原快彦)ら“元・9係”のメンバーが再集合する過程が描かれた。どうやら、9係の“解散”は、1年前の事件で起きた「捜査ミスと捜査員の自殺」の責任を押し付けられてのことらしい。

 2006年4月にスタートしてから、12年間のシリーズを通して築いてきた、バリエーションのある難事件と、それに付随する人間ドラマを描き出す『9係』のスタイルは、『特捜9』でも継続。井ノ原演じる直樹を中心に、小宮山志保(羽田美智子)、青柳靖(吹越満)、矢沢英明(田口浩正)、村瀬健吾(津田寛治)ら元9係メンバーに、新たに若手刑事・新藤亮(山田裕貴)が加わり、チームに分かれて別々の捜査をしながらも、最後は一つの「事件解決」という頂(いただ)きに登り詰めていく醍醐味はそのままに、個性豊かな刑事たちがテンポの良いドラマを展開していく。

 『9係』から続く『特捜9』が、ほかの刑事ドラマと一線を画する所以(ゆえん)は、刑事たちがぶつかり合ったり、騙し合ったりしながらも助け合う、絶妙な「チームワーク」と「コンビネーション」。その象徴的な2人が、青柳と村瀬だ。

青柳は、反骨精神の塊のような男で、金持ちと上流階級が大嫌いな皮肉屋だが、コンプレックスを常に抱えた生き方はかなり不器用。かつて暴力団から救出した垣内妙子と恋人関係になり、そのことをよく思わない警察組織のなかで葛藤し、9係解散後に辞表を提出していたほど、恋人思いなところもある。

 一方の村瀬は、ノンキャリアとして警視庁に入るが、自分の能力はキャリア以上と信じて疑わない自信過剰の男。実際、頭の回転はよく、品行方正なのだが、要領良くやっている人より力みすぎて空回りしてしまう残念なタイプ。出世しか頭にないように見えて、根は熱い刑事魂を内に秘めている。

 2人とも階級は警部補。青柳は、年下なのに9係で主任を務めていた村瀬を敵視しているところがあり、何かにつけからむのが“お決まり”になっている。特捜班として再集結した時(初回)も、「主任が必要でしょ」と名乗りを上げた村瀬をスルーして、新班長の宗方は浅輪を主任に指名。青柳は「おれは村瀬じゃなかったら誰でもいい」と本人の前で言い放ち、安定の塩対応を見せていた。「話が違う」とあ然としていた村瀬だが、それで心折れたり、腐ったりしないところも彼の良いところだ。

 職場の人間関係に悩んでいる人からみたら、青柳のような皮肉屋に憧れたり、村瀬のメンタルの強さに励まされたりするのではないだろうか。

 青柳・村瀬の掛け合いが“面白く”見られるのは、吹越・津田の実力でもある。第3話(4月25日放送)では、パソコンの前で奇声をあげた宗方班長を見て、村瀬が何気なく「何やっているの?」と聞くと、すかさず青柳が「オセロゲーム」と答え、オウム返しにした村瀬に、「知らないの? オセロゲーム。白い石と黒い石を並べて、挟んだらひっくり返せて…」と嫌味なくらい丁寧に説明する青柳に、村瀬が「知ってますよ、それは」とさえぎる一幕が。

 5月2日に放送された第4話では、「家族3人とも被疑者の可能性があるでしょう」と指摘した青柳に、間髪入れず村瀬が「いや、娘は白でしょう。自らリフォームを依頼したんだから」と反論。「あぁ、そうねぇ」と認めざるを得なかった青柳の言い方と顔。2人の息の合った掛け合いは、ボケ・ツッコミの役割分担があるわけでもない独特なもの。ますます磨きがかかる青柳VS村瀬の掛け合いにも注目したい。

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