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阿川佐和子、役所広司の演技で知った実写化の可能性

 作家の阿川佐和子(64)が手がけたシリーズ小説『正義のセ』が連続ドラマとして実写化される。阿川といえば、エッセイストとして活躍しながら、昨年放送されたTBS系連ドラ『陸王』では老舗足袋製造会社・こはぜ屋の縫製課のリーダー・正岡あけみ役を演じて女優が本業でないにも関わらずその世界観に溶け込んでみせた。ドラマ出演を通して阿川が感じたのは活字が実写化されることによる「世界の広がり」。彼女にそれを提示してみせたのは『陸王』に主演した役所広司(62)の演技だったという。

日本テレビ系連続ドラマ『正義のセ』原作の阿川佐和子 (C)ORICON NewS inc.

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 作家の仕事は基本的に「一人で戦うことが多い」。「担当の人がいたり、アシストしてくれる編集者の人はいるけれど、私が書かなければ原稿ができないし、私がインタビューしなければ記事の素材は集まらない。みんなで一緒にやろう、みたいなことはない。原稿ができるまでは長い時間、自分ひとりで戦わないといけない」とこれまでは個人戦で勝負してきた。

 しかしドラマの現場では違う。「同時にみんなが一緒に同じラインで戦っているんです。音声さんも照明さんも美術さんも役者一人ひとりも自分の役割がどこにあるかを認識して同時に戦う。まるでオーケストラのよう。例えば、役所広司さんが『どう思うみんな?』と低い声を響かせれば、私は『いいんじゃないの!』と言う。『それはねえだろ』と寺尾聰さんが言う。そして『私は反対です』とゲンさん(志賀廣太郎)が言う。トロンボーンが来たりチェロが来たりバイオリンが来たり、シンバルが鳴ったり…一つのオーケストラの曲ができるように、間やスピードや声のトーン、動きが総合されて感情の塊のようなものが膨らんでいく。シーンをみせていくのがドラマなんだと思った。

 そんななか、感じたのが役所の力。台本だけではピンとこなかった表現も役所が発すればそれは生きた人間の言葉となる。「一人で台本を読んでいるときはちょっと不安に思うこともある。『私、この人に対してこんな言い方するのかな〜』と、なんだか反発したくなる。だけど役所さんの場合、普通のセリフでもものすごくイキイキとしたなセリフになるの。魔法のようです。演技の上手さってそういうことなのだと」。

 「最終回の最後のシーンで『茂木ちゃん頑張れ』だったかな。このドラマの最後が『こんな簡単な言葉でいいのかな?』と思っていたんですけど、でも春やすこさんと『役所さんならやると思う』と言い合っていたら本当にそうだった! 活字が実写になったとき、役者さんの声、あるいは役所さんの声と誰かとの呼応によってみるみる命を吹き込まれちゃうんだ」と身を持って感じた。

 あるシーンでは自分のセリフについて役所に相談を持ちかけた。「バカにしたように言うのか驚いたように言うのか淡々と言うのか…迷っちゃったの。それを言うと、周囲が笑うことになっているから、いろいろ試してもどれがウケたのかわからない。役所さんに相談したら『それは普通に言えばいいんじゃないですかね』って。みんなが私のセリフに反応するのだから、あえて私がウケようと思ったり、力を入れたりことさらに感情を入れないで『思う通りに言えば、みんなは返してくれますよ』と。その時に『演技は一人の力でやるもんじゃないんだ』って思いました。私のセリフで全部を作り上げようとしたことが大間違いで、私がここで、素直に一つのセリフを言うことが大事なんだと感じました」。

 今回は女優としてではなく原作者の立場から『正義のセ』を世の中に送り出す。「ドラマ化は小説とは全然、違うものになることが大事。小説は小説で売れてほしいですけど(笑)。それとはまた違う生物として、『ああみてよかった』、『凛々子、頑張って』という気持ちになるようなドラマになってほしい。活字で人に与える影響は、あると思うんですけど、人間が演じることで別の世界になる。実写化によって新たな感動や影響や理解などを与えられる。本当に素敵な人だと思った吉高(由里子)さんに演ってもらえることは光栄。きれいなだけじゃなくて声にこの人はいろんな色がある。声の色合いが豊か。いろんな色を出す女優さんに演じてもらうことが楽しみです」と期待を寄せている。

■日本テレビ系連続ドラマ『正義のセ』(毎週水曜 後10:00)※11日スタート

 170万部を超えるベストセラー『聞く力 心をひらく35のヒント』で知られる阿川氏のシリーズ小説『正義のセ』を実写化。主人公・横浜地検で働く2年目の検事・竹村凛々子(吉高由里子)は不器用だけど何ごとにも一生懸命。周りを巻き込みながらも、まっすぐに事件に取り組み、検事として、そして女性として成長していく姿を描く。

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  • 日本テレビ系連続ドラマ『正義のセ』原作の阿川佐和子 (C)ORICON NewS inc.
  • 日本テレビ系連続ドラマ『正義のセ』場面カット (C)日本テレビ
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