昨年は『鋼の錬金術師』『氷菓』など人気コミックやアニメ原作作品への出演が続いた俳優・本郷奏多（27）。バラエティー番組に出れば奔放な発言でさらにその魅力を増幅させるという稀有な俳優として、唯一無二の世界観を確立。そんな彼の今年最初の出演作は、タイムスリップして人生のやり直しを描いた小説が原作の読売テレビ・日本テレビ系『木曜ドラマF「リピート〜運命を変える10か月〜」』（毎週木曜　後11：59　※11日スタート）。あるトラブルをきっかけにカメラマンになる夢を諦めた主人公・毛利圭介と通じるところがあるというのだが――。本郷奏多ワールド、とくと堪能あれ。

【写真】その他の写真を見る

　　　　　　　　　　◇

　僕も大学で写真の勉強をしていたので、写真が好きというのは（毛利と）似ているかな。カメラマンのアシスタントをしている友達がたくさんいたこともあり、役をつかみやすかったです。ただ、毛利は不器用な人間ですが、僕は超器用な人間だと思うのでそこは似ていない。いろいろなバラエティー番組に出演した影響で、コミュニケーション能力がないと思われがちですが、僕はあるほうだと。人生ポシティブに捉えているので、世渡りは上手だと感じています。細部にまでこだわったガンプラを作るので、手先も器用かな。

　今作は、現実世界の時間軸をやった直後に、人生をやり直す“リピート（タイムスリップ）”をして過去に戻ったシーンを撮影するので、頭の整理に苦労しました。共演者の貫地谷（しほり）さん、（ガレッジセールの）ゴリさんも大変そうでした。ただ、自分自身が過去に戻ってやり直すというのはないですね。高校、大学時代は毎日遊んでいて楽しかったので、当時の楽しい日々をまた送りたいとは思います。

　小学生のときから子役の仕事をしていて、高校入学のタイミングで上京しました。そこが今の人生に直結する分岐点だったかなと思います。そこまで戻れるなら、この仕事を続けるかどうか考え直すかなと。あ、違うな。今は大満足の人生ですが、普通の人生を経験してみたいです。上京しなかったら、まあまあな大学に入学して、まあまあな企業に就職して、まあまあな幸せな人生を送っていると思います。

　インタビューや打ち合わせは、思っていることをそのまま発言しています。テレビなどでは『ちょっと変わった人だな』と思わせる瞬間を編集するので、誇張されているなと感じますが、それは嫌ではないですし、見ている人が面白いと感じてくれるならいいです。素顔を見せる葛藤も特にないですね。抵抗して今イチな反応をしたら、番組制作に関わっている人たちがガッカリするので、犠牲となってピエロを演じます。ご飯を食べていたら、初めて会った人に「え！　ご飯食べるの!?」と驚かれもしますが食べるでしょ、人間なのだから。だけど、話の切り口になるので、いいと思いますね。母親から心配するメールが増えましたけど（笑）。

　去年は思い返すと、漫画やアニメが原作の作品しか演じていませんでした。出演する際は、作品のイメージを崩さないように、原作通りやることを心がけています。それをやることが、一番良しとされる世の中なので、それに従っています。なので、実はまったく頭を使っていません（笑）。今回は小説が原作ということなので、漫画やアニメのように視覚で訴えた作品が参考としてありませんでした。なので、役のイメージをしっかりと考えました。その時、ほかの役者さんって普段こういうふうに仕事をしているだと思いましたね（笑）。

　なので今年も、去年と変わらずに仕事を頂けるよう、与えられたことをしっかりやっていく。今年は28歳になるので、周りから「アラサーだね」と言われることが最近多くなりました。若い世代が勢いあるので、負けないようにしっかりやっていきたいです。

　『リピート〜運命を変える10か月〜』は原作がしっかりしていて、素敵な役者もそろっています。非常に見応えがあるドラマに仕上がると、手応えを感じています。毎週続きが気になる、まったく先の読めない展開が続いていくので、楽しみに見てもらいたい。貫地谷（しほり）さんや島崎（遥香）さんと、ちょっとした恋愛関係がありますが、こういうのは、ほとんどやったことがないので、新鮮な姿に見えるかもしれないですね。ご期待ください。