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高田文夫&松村邦洋“心肺停止コンビ”が東京さんぽ 笑芸の舞台めぐり「今、見ておかないと…」

 12月ある金曜日の午後1時過ぎ。東京・有楽町のニッポン放送のスタジオ横にある面談スペースで待機していると、『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(月〜金 前11:30)の放送を終えた、高田文夫(69)と松村邦洋(50)がやって来た。リオ五輪で金メダルを獲得した女子バドミントンの「タカマツペア」ならぬ、こちらはそろって“心肺停止”から生還を果たした「高松ペア」。そんな2人と仲間たちが「有楽町に1時」を合言葉に、2013年から始めた「いち・にの・さんぽ会」の様子をつづった著書『高田文夫と松村邦洋の東京右側『笑芸』さんぽ』(講談社)がこのほど発売され、人気を集めている。執筆のきっかけを聞こうとすると、高田が「まえがきとあとがきを読んでもらったら、だいたいわかるよ」とニヤリと笑った。

(左から)松村邦洋、高田文夫 (C)ORICON NewS inc.

(左から)松村邦洋、高田文夫 (C)ORICON NewS inc.

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■前代未聞の心肺停止「高松ペア」が誕生するまで 4時間の散歩コースは当日発表

 改めてさんぽ会の経緯を聞こうとすると、高田が先回りして説明してくれた。「オレが(2012年に)倒れたんで、どうしようかってみんなが心配していた。それで、さんぽ会リーダーの高野(ひろし)くんが、年賀状でオレが『今年は歩きます』って書いたことにピンときて『これは、みんなで歩くっていうことだな』と思ってくれたのがきっかけだね」。記念すべき第1回は、2013年2月1日。ニッポン放送がある有楽町から神田まで“足慣らし”の6000歩からスタートした。

 2回目の翌3月には、2009年の東京マラソン出場時に急性心筋梗塞を起こして心肺停止状態になった経験を持つ松村も参加。心肺停止経験者が2人もいるという前代未聞のグループ「いち・にの・さんぽ会」が晴れて誕生した。当時の写真を眺めながら、高田がなつかしそうに当時のことを振り返る。「オレもリハビリがてら歩くっていうことで、松ちゃんも倒れているから誘って、5人仲間で始めたってことだね。最初の方の写真を見たらわかるけど、オレは杖をついているんだよ。そして、松ちゃんのこのお腹(笑)。これだけでもドキュメントだよね」。

 高田と松村以外のメンバーは、散歩のエッセイ連載を持つ趣味人のリーダー・高野氏、落語会・音楽ライブなどをプロデュースする通称「職業・高田文夫の追っかけ」の馬場憲一氏、某テレビ局制作会社のディレクターの渡辺誠氏の3人。月に一回の金曜日、高田と松村が出演する『ビバリー』の生放送が終わる午後1時にニッポン放送の下に集合。約4時間のさんぽ会が始まる。コースを事前に知っているのはリーダーの高野氏だけ。残りのメンバーは当日にルートを知るのだ。このコースを知らない醍醐味を高田は語る。

 「高野くんが4時間を逆算してルートを作ってくれる。それで、いきなり当日発表されるわけ(笑)。オレと松村を歩かせるために、2回から3回くらい下見をしているんだよ。だいたい4時間くらい歩いたら、オレが『そろそろ飲むか?』って言うから、それがどこになってもいいように、近くのお店1軒1軒に前もって入って調べておくらしいの。その気持ちがうれしいよね。予約ができないし、オレも気まぐれだからさ、スゴい大変だと思うんだよ。ただ(さんぽ会の性質上)予約した所に向かって歩いていくっていうのはおかしいでしょ。歩きながらフッと入った方が、風情としていいからさ」。

■さんぽ会の継続で“心配停止”に 風情あふれる東京の街並み「今、見ておかないと…」

 来年の2月で、スタートしてから5年を迎えるさんぽ会。松村は今年9月のライザップ新CM発表会見で、約8ヶ月でマイナス30.6キロのダイエットに成功したことを報告。高田が「5年という歳月は、人をこれだけ健康にするんだよ。オレは、もう杖なしでドンドン歩けるから。歩くことによって血の巡りも良くなって、頭の回転も良くなるんだよね」と手応えをにじませると、松村も「この心肺停止の2人がこうやって歩いて、高田先生が元気になったっていうのがうれしいですね。僕よりも、歩くスピードが速くなっていますからね。本当に元気になったんだなって思います」とかみしめるように語った。

 今や「心配停止」の2人が歩く東京の右半分は、落語や歌舞伎の舞台となった地も数多くあり、まさに“笑芸”の名所がズラリと登場してくる。同書の中には、各地で繰り広げられる高田の話芸と松村の物まねが収録されているが、活字であっても臨場感たっぷりに伝わってくる。松村は「今が一番人生で楽しいですね。こうやって先生とゆっくりしゃべることができて、本当に幸せです。1時間1分みんなでワイワイやって話せるのが、時間が止まったような感覚でいいですね」と言葉に力を込める。

 今だからこそ、さまざまな文化が詰まった東京の街を散歩することに意義があるのだと高田は強調する。「これから、あと1年2年で東京はガラッと変わっちゃう。今のうちに、歩いて見ておくことだね。歩きながら写真も撮っているけど、これが一番大事だな。1964年の東京オリンピックを体験しているから、こんなに変わるんだっていうのをオレは実感しているから。今歩いておかないと、東京を忘れちゃうよ。今年と来年ね、みんな自分で歩いた方がいいね。東京の街が一変して、思い出が変わっちゃうから。日頃見ていたビルでも、なくなって一週間もしたら『何があったかな』って本当にわからないよ」。

 ひとしきり著書の話が終わると、高田のギョロ目がキラリと光った。「どうせ、2〜3行くらいしか書かないんだから、本の話はこれくらいあれば十分だろ。それで、まだ別に聞きたい話があるんだろ。ほとんど奴がそうだから、その何か言いたそうな顔見たらわかるんだよ(笑)」。高田流のやさしさに甘えて、トークは“延長戦”へと突入した。【後編に続く】

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