最近、女性を中心にSNS上で「#しまパト」人というハッシュタグが人気を集めている。これは、“しまむらパトロール”の略で、「ファッションセンターしまむら」で購入した、“掘り出し物”おシャレかつお買い得な服やカバンなどを、インスタグラムやツイッターなどに投稿すること。2000年代後半から、郊外型ファストファッションチェーン店による“激安なのに意外におしゃれ”なファッションアイテムが人気で、全身しまむらの服でコーディネートした女性を“しまラー”などと呼んで話題にもなったが、なぜ今、ここにきてまた“しまパト”が盛り上がっているのだろうか？

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◆ユーザー間で発生したハッシュタグが拡散　公式採用へと発展

　「『しまパト』は、恐らく2015年ころからSNS上で発生した言葉で、弊社では2016年4月から公式で採用しています。ただ、しまパトというワードが発生する以前から、“パトロール”のように頻繁にご来店されて、新しい商品が入荷していないかチェックされるお客様はたくさんいらっしゃいました」そう語るのは、株式会社しまむらの広報担当者。たしかに、しまむらの店内には多種多様なファッションアイテムがあふれ、同じくファストファッションの雄であるユニクロの“整然とディスプレイされた”店内とはひと味違った、おもちゃ箱の中を探検するような楽しさがある。

　しかし、一方でしまむらにはネットショッピングの取り扱いがなく、顧客たちは来店して商品を購入するしかない。今では、ZOZOTOWNなどのファッション通販サイトの大ブレイクにより、衣料品をネット通販で買うことへの抵抗は無くなっており、“家から出ずにショッピング”という世の中の流れに逆行しているようにも思えるのだが、目当ての商品が無くとも店舗へ足を運びたくなる理由は一体どこに隠されているのだろうか？

◆店舗に行かないと見つけられない　“宝探し”のような楽しさ

　「商品の種類が多く、入れ替わりも早いため、チラシやHP、SNS等に掲載しているのはごく一部の商品のみです。大半の商品はご来店いただかないと見つけられないアイテムで、それも一部の定番商品を除けば、ほとんど1店舗に1枚しか入荷していません（色違い、サイズ違い等を除く）。多くの商品の中から選んでいただくことで、お客様にお買い物を楽しんでいただきたいと考えています。結果として、ご近所の方ともお洋服がかぶりにくいというメリットもあります」（前出・広報担当者）

　つまり、実際に店に行き、豊富な商品の中から自分によく似合う掘り出し物の服を探し出すという“宝探し”のような楽しさが、しまむらの“ウリ”なのである。さらに1店舗に1着しかないので他人とはかぶらず、その服が本人に似合っていればいるほど、その写真が「#しまパト」を通じてSNSで拡散されるので、結果的に“しまむらブランド”のオリジナリティーも注目されるというわけだ。

◆しまむらとSNSを引き合わせた「#しまパト」　人気アニメやゲームとのコラボも

　さらに、『おそ松さん』、『刀剣乱舞-ONLINE-』、『Fate／Grand Order』（FGO）』（FGOはしまむらグループ・アベイルのみの取扱い）などの人気アニメやゲームとコラボした商品が人気となり、こちらもSNSで大きな話題となっている。現在では、小泉今日子主演のドラマ『監獄のお姫さま』（TBS系）とのコラボ商品まで発売されるなど、コラボ商品も広がりを見せている。これは、SNSでの広がりを受けて、同社が新しく取り組んだ試み。広報担当者は「今まで『しまむら』や『アベイル』をご存じなかった方にも、弊社に興味を持っていただけるよい機会だと考えています」と話す。

　ネット通販全盛のデジタル系のご時世に、あえて店頭でしか商品が購入できないという“アナログ的”な商売を継続してきたしまむら。そこに、逆説的にSNS側からのコネクトにより新展開が発動したわけだ。「お客様にとって選びやすく、買いやすくなるように売り場を設定しています」（同）というように、どこまでもブレない地域密着型の姿勢が、“しまむららしさ”として根強く消費者に愛され続ける理由なのだろう。