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2017新語・流行語、選考委員5人の選評 やくみつる氏「こりゃ、弱ったなぁ」

 その年話題となった新語・流行語を決定する年末恒例の『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)が12月1日に発表され、「インスタ映え」と「忖度」の2語が年間大賞に決定した。そのほか、トップ10には「35億」「Jアラート」「睡眠負債」「ひふみん」「フェイクニュース」「プレミアムフライデー」「魔の2回生」「○○ファースト」が選ばれた。

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 11月9日のノミネート30語発表の際には、同賞事務局は書面を通じて「(今年は)言葉そのものに、勢いがなく低調な年といえるのではないか。息の長い流行語も少なく、事象をそのまま直接的にとらえる言葉も多かった」と分析し「例年と比較すると、嗜虐性、負の言葉が多い年だったともいえる」としていた。

 今年の選考委員は、姜尚中氏(東京大学名誉教授)、俵万智氏(歌人)、室井滋氏(女優・エッセイスト)、やくみつる氏(漫画家)(50音順)、清水均(「現代用語の基礎知識」編集部長)。以下、選評を紹介する。

▽姜尚中氏
 何事につけ、真偽のほどが定かではなくなった時代を象徴するような言葉が目立った一年であった。縦横無尽に情報が飛び交い、誰でもが自由に発信できる時代なのに、何が事実で何が虚偽なのか、いやそもそも、事実と虚偽を分けるものは何なのか、曖昧になりつつある時代の兆候を感じた一年だった。そんな時代を反映してか、目障り、耳障りな言葉や情報、またそれらを発するメディアや人々が遠ざけられ、言葉から諧謔や皮肉、ユーモアや逆説など、言葉の綾や奥行がなくなりつつあるように思えてならない。

▽俵万智氏
 今年も、ネットの強さを感じた。豊作の印象がないのは、ドラマやスポーツからのヒットがなかったからか。ネットは、言葉を素早く広め、また消費しつくす。流行語の寿命が短い要因の一つだろう。ネットを使っているかどうかで、言葉の届く時間に差も生まれる。「ユーチューバー」が、今年か、という議論があった。写真や動画が圧倒的な説得力を持つのも特徴だ。「写真写りがいい」って、褒め言葉ではなかったような気がするのだけれど。一方で古くからある日本語が、急に脚光を浴びるという事象があった。「みどもが、流行語とな?」と言葉のほうが驚いていそうだ。

▽室井滋氏
 最近の傾向なのかもしれぬが、今年も世間を騒がせた政治的騒動に付随する言葉が頭に浮かんだ。“ちーがーうーだーろー!このハゲ”や“モリカケ”“忖度”“Jアラート”など。もっとインパクトがあったのが某元大臣が会見で発した“コンニャク”というお金の政治隠語だ。“レンガ”に“座布団”という隠語も。ついでに、相撲界の隠語で稽古をさぼることを“カマボコ”ということも耳にした。これは不味い。新語・流行語ってそもそも何だっけと、その定義を考え直すところから始めねばと何度も思った。
 年月が過ぎて、「ああそうだったね」と今年の世情が鮮やかに蘇ってくる言葉でなければいけないし、懐かしくニヤリとなる言葉でもあって欲しい。そして長年使っている出発点は2017だったと振り返る可能性の高い言葉も選びたい。“プレミアムフライデー”や“睡眠負債”などは、この先もっと人々が口にするのではないかと感じている。

▽やくみつる氏
 流行語大賞選考に備え、日頃から新語・流行語、あるいは問題発言を渉猟しているのだけれど、今年は年間を通じて「こりゃ、弱ったなぁ」と感じていた。政界や芸能界で諸々奇ッ怪な言葉は出て来るのだけれど、つい12月の顕賞式のことを考えてしまう。もちろん言葉を発した当人の式出席は顕賞の条件ではないけれど、こうも“負の言葉”ばかり浮上した日には、当事者に皆、辞退されてしまうのではないか。小っ恥ずかしい思いをした人も暮れのこの席でパーッとチャラにして差し上げたいが、そうも言っていられないほどの重大事だったりするものなぁ。

▽清水均氏
 葉から世相が見える? それって本当なんだろうか。日々新語を捕獲しながら、実のところ、ここ数年は疑念を抱かざるを得ませんでした。確かに新語たちはドンパチ花火のように賑やかに打ち上げられるのですが、どれも小粒というのでしょうか。それぞれの集団、それぞれの世代に届く範囲での賑やかさにすぎない。発信する側も多様なら発信に使われるメディアも多種多様で、そこに浮かび上がるのは「世相」ではなく「個相」と呼ぶべきものであります。ダメなのか、もはや「世相」は死語になったのか…。と、あきらめかけていたところに、突如として救世主が登場したような、今年はそんな気持ちです。2017年は選考委員会、満場一致の大賞語が出ました。「時代と共に新たな言葉が生まれ、その言葉がその時代の特徴を規定する」。2018年版の冒頭で池上彰さんもこう書かれています。まさにその通り。今年の「世相」がここにあります。



関連写真

  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』の選考委員を務めたやくみつる氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 流行語大賞に関する批判記事をガラケー片手に読み上げるやくみつる氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』授賞式より (C)ORICON NewS inc.
  • 「インスタ映え」の象徴ナイトプール(写真はCanCam Night Pool 2017・現在は営業終了)
  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞を受賞した「インスタ映え」 (C)ORICON NewS inc.
  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞を受賞した「インスタ映え」 (C)ORICON NewS inc.
  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞を受賞した「忖度」 (C)ORICON NewS inc.
  • 会場に置かれた忖度まんじゅう=『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』授賞式 (C)ORICON NewS inc.
  • 『2017 ユーキャン新語・流行語大賞』授賞式より (C)ORICON NewS inc.
  • 「ひふみん」が流行語となった加藤一二三 (C)ORICON NewS inc.
  • 「35億」が流行語となったブルゾンちえみ (C)ORICON NewS inc.
  • かわいいスイーツも「インスタ映え」の要素に

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