孤高の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)の過去を知る最恐の敵、“海の死神”サラザール(ハビエル・バルデム)の決戦を描く最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(7月1日公開)。6年ぶりの新作となった本作には、オーランド・ブルーム演じるウィル・ターナーやその息子ヘンリー、そしてキーラ・ナイトレイ演じるエリザベス・スワンが登場することでも大きな話題となっている。そんな本作をより楽しむために、ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドペリ、2人の監督に裏話を聞いた。
両監督は、ノルウェーの小さな町サンネフヨルで育った幼なじみで、ティーンエージャーの頃から暇さえあれば一緒に短編映画を撮っていた。1993年、映像制作会社ローンベリを設立。CMやミュージックビデオを監督し、『USAトゥデイ・スーパーボウル2001』の視聴者投票を勝ちとったバドワイザー「Rex」のスポットにより、アメリカCM市場に地位を築く。長編映画監督デビュー作は、リュック・ベッソン脚本、ペネロペ・クルスとサルマ・ハエック主演のコメディ・ウェスタン『バンディダス』(06年、日本未公開)。3本目の長編監督作品である海洋アドベンチャー『コン・ティキ』(2012年)がノルウェー映画で初のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、注目を集めた。
――低予算で小規模だった前作(『コン・ティキ』)とは異なり、今回の大規模な映画セットに足を踏み入れた時にはどのように感じられましたか?
【ヨアヒム】まるで現実とは思えない世界でした。このようなアドベンチャー映画を観て育ち、監督になりたいという思いが生まれ、このような現場で仕事をする機会に恵まれたわけです。撮影現場に足を踏み入れた時点ではすでに何年も映画の製作には携わってきましたから、心の準備はできていたと思います。朝トレーラーから出て、5分ほど見事な映画セットを目にしながら撮影現場を歩いていくと、作品に携わる何千人というスタッフが働いており、遠くにはブラック・パールが見え、実際にそこまで歩いて触ることもできたわけです。この映画を観て育ちましたから、ブラック・パールを目の前にし、その30分後にはジャック・スパロウ役のジョニー・デップが登場し、撮影が始まり、「アクション」と声を掛けるなんて、まるで夢のようでした。
――今作の核心となる部分は?
【エスペン】その質問に答える方法は何通りもあります。ただ、ほかの大規模な映画と異なる点は、ユーモアの要素ですね。ユニークで、笑い転げるほどに面白く、それは私たちが常にこの映画に感銘を受けてきたことです。もちろんアクションや感動を与える部分も大切です。言葉だけでなく、体を張ったユーモアが存在することで、さらに映画をスペクタクルなものにしており、それは私たちが高く評価してきた要素でもあります。
【ヨアヒム】私もこの映画に込められた多くの要素のコンビネーションだと思います。この映画に取り掛かり始めた頃に、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目を振り返りました。そしてこの映画が大好きである理由を考えてみた時に、驚くべき壮観さと迫力あるアクション、コメディーやホラーの要素だけでなく、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイが演じるウィル・ターナーとエリザベス・スワンらのキャラクターが感情に強く訴える感動的な部分を巧みに表現していることを認識しました。これらの要素を2時間の映画に全て組み入れることができれば、もう映画館に観に行くしかないですよね!
――オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイの出演については?
【ヨアヒム】ジェフ・ナサンソンの脚本の初稿では、オーランド・ブルームの復帰は描かれていましたが、エリザベスの登場はなかったのです。何かが欠けているように感じていたため、最終的にキーラ・ナイトレイが出演してくれることになり、とてもうれしかったです。彼女との撮影は1日でしたが、再びカップルがそろった姿を目にすることができたのは、まるで魔法のような時間でした。
――新キャラクターのヘンリー・ターナーを演じたブレントン・スウェイツや、天文学者カリーナ役のカヤ・スコデラリオの演技はいかがでしたか?
【ヨアヒム】今回は映画を少し現代風にしたいという希望がありました。海賊映画ではありますが、ブレントンやカヤには古風な感じではなく、強く斬新な役として観客に捉えてもらえるように演じてもらいたいと思いました。特にカヤのキャラクターは、男性陣と常に行動を共にするほどたくましくありながら、知的な天文学者という部分は興味深いですよね。ほかの誰よりも賢明で、しっかり地に足が着いた女性です。ブレントンとカヤの役は映画の中で繰り広げられる非常識な世界において、唯一まともな人物としてキャスティングする上でも重要でした。
――今回の作品で、若き日のジャック・スパロウとサラザールの因縁が明らかにされますが、ジャックの原点を映画で語る狙いは?
【ヨアヒム】彼の原点についてのストーリーを伝えることこそ、今回の作品が製作される当初の理由の一つであったと感じています。ジェフ・ナサンソンが見事な脚本を書き上げ、その中でジャック・スパロウの原点を語るストーリーが取り込まれました。今作で、ジャック・スパロウについてもう少し掘り下げて知りたいと思ったのです。
――ジャック・スパロウのどこが気に入っていますか?
【エスペン】たくさんありますね。もちろん面白く愉快なところは挙げられますが、後の事を考えずにその場をうまく切り抜けながら突き進む自由な要素も観客を魅了しているのだと思います。ある意味、小さな子どものように振る舞い、許されてしまいますからね。
――これまでも『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画ではさまざまな親子関係がストーリーに織り込まれてきました。今作でも父を呪いから救うため、息子のヘンリーが冒険に旅立ちます。
【エスペン】『パイレーツ・オブ・カリビアン』にとって、重要なテーマだと思います。何といっても家族向け映画ですからね。皆で映画館へ出掛けて一緒に楽しめて、心動かす要素もある。そこを追求しました。ヨアヒムも私もお互いに子どもがいますから、共感できるテーマではありました。
【ヨアヒム】私たち2人の子どもではないですよ!(笑)
――ありがとうございました。
【エスペン&ヨアヒム】こちらこそありがとう。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
両監督は、ノルウェーの小さな町サンネフヨルで育った幼なじみで、ティーンエージャーの頃から暇さえあれば一緒に短編映画を撮っていた。1993年、映像制作会社ローンベリを設立。CMやミュージックビデオを監督し、『USAトゥデイ・スーパーボウル2001』の視聴者投票を勝ちとったバドワイザー「Rex」のスポットにより、アメリカCM市場に地位を築く。長編映画監督デビュー作は、リュック・ベッソン脚本、ペネロペ・クルスとサルマ・ハエック主演のコメディ・ウェスタン『バンディダス』(06年、日本未公開)。3本目の長編監督作品である海洋アドベンチャー『コン・ティキ』(2012年)がノルウェー映画で初のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、注目を集めた。
――低予算で小規模だった前作(『コン・ティキ』)とは異なり、今回の大規模な映画セットに足を踏み入れた時にはどのように感じられましたか?
【ヨアヒム】まるで現実とは思えない世界でした。このようなアドベンチャー映画を観て育ち、監督になりたいという思いが生まれ、このような現場で仕事をする機会に恵まれたわけです。撮影現場に足を踏み入れた時点ではすでに何年も映画の製作には携わってきましたから、心の準備はできていたと思います。朝トレーラーから出て、5分ほど見事な映画セットを目にしながら撮影現場を歩いていくと、作品に携わる何千人というスタッフが働いており、遠くにはブラック・パールが見え、実際にそこまで歩いて触ることもできたわけです。この映画を観て育ちましたから、ブラック・パールを目の前にし、その30分後にはジャック・スパロウ役のジョニー・デップが登場し、撮影が始まり、「アクション」と声を掛けるなんて、まるで夢のようでした。
――今作の核心となる部分は?
【エスペン】その質問に答える方法は何通りもあります。ただ、ほかの大規模な映画と異なる点は、ユーモアの要素ですね。ユニークで、笑い転げるほどに面白く、それは私たちが常にこの映画に感銘を受けてきたことです。もちろんアクションや感動を与える部分も大切です。言葉だけでなく、体を張ったユーモアが存在することで、さらに映画をスペクタクルなものにしており、それは私たちが高く評価してきた要素でもあります。
【ヨアヒム】私もこの映画に込められた多くの要素のコンビネーションだと思います。この映画に取り掛かり始めた頃に、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目を振り返りました。そしてこの映画が大好きである理由を考えてみた時に、驚くべき壮観さと迫力あるアクション、コメディーやホラーの要素だけでなく、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイが演じるウィル・ターナーとエリザベス・スワンらのキャラクターが感情に強く訴える感動的な部分を巧みに表現していることを認識しました。これらの要素を2時間の映画に全て組み入れることができれば、もう映画館に観に行くしかないですよね!
――オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイの出演については?
【ヨアヒム】ジェフ・ナサンソンの脚本の初稿では、オーランド・ブルームの復帰は描かれていましたが、エリザベスの登場はなかったのです。何かが欠けているように感じていたため、最終的にキーラ・ナイトレイが出演してくれることになり、とてもうれしかったです。彼女との撮影は1日でしたが、再びカップルがそろった姿を目にすることができたのは、まるで魔法のような時間でした。
――新キャラクターのヘンリー・ターナーを演じたブレントン・スウェイツや、天文学者カリーナ役のカヤ・スコデラリオの演技はいかがでしたか?
【ヨアヒム】今回は映画を少し現代風にしたいという希望がありました。海賊映画ではありますが、ブレントンやカヤには古風な感じではなく、強く斬新な役として観客に捉えてもらえるように演じてもらいたいと思いました。特にカヤのキャラクターは、男性陣と常に行動を共にするほどたくましくありながら、知的な天文学者という部分は興味深いですよね。ほかの誰よりも賢明で、しっかり地に足が着いた女性です。ブレントンとカヤの役は映画の中で繰り広げられる非常識な世界において、唯一まともな人物としてキャスティングする上でも重要でした。
――今回の作品で、若き日のジャック・スパロウとサラザールの因縁が明らかにされますが、ジャックの原点を映画で語る狙いは?
【ヨアヒム】彼の原点についてのストーリーを伝えることこそ、今回の作品が製作される当初の理由の一つであったと感じています。ジェフ・ナサンソンが見事な脚本を書き上げ、その中でジャック・スパロウの原点を語るストーリーが取り込まれました。今作で、ジャック・スパロウについてもう少し掘り下げて知りたいと思ったのです。
――ジャック・スパロウのどこが気に入っていますか?
【エスペン】たくさんありますね。もちろん面白く愉快なところは挙げられますが、後の事を考えずにその場をうまく切り抜けながら突き進む自由な要素も観客を魅了しているのだと思います。ある意味、小さな子どものように振る舞い、許されてしまいますからね。
――これまでも『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画ではさまざまな親子関係がストーリーに織り込まれてきました。今作でも父を呪いから救うため、息子のヘンリーが冒険に旅立ちます。
【エスペン】『パイレーツ・オブ・カリビアン』にとって、重要なテーマだと思います。何といっても家族向け映画ですからね。皆で映画館へ出掛けて一緒に楽しめて、心動かす要素もある。そこを追求しました。ヨアヒムも私もお互いに子どもがいますから、共感できるテーマではありました。
【ヨアヒム】私たち2人の子どもではないですよ!(笑)
――ありがとうございました。
【エスペン&ヨアヒム】こちらこそありがとう。
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2017/06/25