「おヒョイさん」の愛称で親しまれ、先月25日に心不全のため亡くなった俳優の藤村俊二さん（享年82）の「献花の会」が14日、東京・渋谷の慈雲山 長泉寺でしめやかに営まれ、多くの著名人、関係者が参列。藤村さんも所属していた「昭和九年会」メンバーの森山周一郎（82）や中村メイコ（82）らも盟友との別れを惜しんだ。

【写真】その他の写真を見る

　自身のショーにもゲスト出演するほど、公私共に親交の深かった森山は「昭和九年会で、僕とおひょいが創立メンバーの最後。創立メンバーでは私が一人になってしまった」と、淋しげな表情。「“無芸の芸”とでも言いますか。何もしていないようでちゃんとしている」と、その魅力を熱弁した。

　「ほとんど仲間がいなくなったな〜…」とポツリと声を漏らした中村は「私とおひょいは、純粋な東京っ子。血のつながらない双子みたいで、いつもオシャレやお酒、異性の話をしてましたね」と回顧。「（昭和九年会では）難しい話や演技論を語るわけでもなく、ただ美味しいお酒を東京人らしく洒落て飲むのがテーマでした」と思い出に浸っていた。

　大橋巨泉さんや愛川欽也さんら、所属メンバーが次々と亡くなり、残る顔ぶれも数えるほどに。中村は「（昭和九年会のメンバーは）天国で大宴会、華やかで洒落たパーティーをしてると思う。私もせいぜいオシャレして逝こうと思います」と話した。

　祭壇には、笑顔の藤村さんが遺影として置かれ、周囲を引き立てる俳優人生を表現するようにかすみ草やローズマリーが彩られた。生前に書き留めていたメモや自身が経営したワインバーの木製看板をはじめ、愛してやまなかったワイン、老眼鏡などが脇に飾られ、参列者たちは「おひょいさんらしい」と目を細めていた。

　そのほか、笑福亭鶴瓶、小堺一機、高木ブー、うつみ宮土理、野口五郎、石丸謙二郎、ダウンタウンの浜田雅功、薬丸裕英、田山涼成、林家たい平、川上麻衣子らが献花に訪れた。

　藤村さんは1934年、神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学を中退後、東宝芸能学校を卒業。「おヒョイさん」の愛称とともに軽妙な語り口と飄々（ひょうひょう）としたキャラクターで親しまれ、『ぴったしカンカン』などのバラエティー番組や、俳優としてドラマ『王様のレストラン』、映画『デスノート』に出演するなど幅広く活躍した。2015年12月、ナレーターを務めていた日本テレビ系『ぶらり途中下車の旅』を降板し、以降は療養生活を送っていた。