先だって、4月期で土曜21時から22時へ移動することが発表された日本テレビ系“土9”ドラマ枠。そのラストを飾るのが、現在放送中の堤真一主演ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』だ。堤のスーパースーツ姿も話題の同作。プロデューサーの高明希氏に制作の裏側を聞いた。
◆おとなも着目する土曜枠のドラマを目指した
1月14日から放映されている日テレ系土曜ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』は、初回が平均視聴率12.9%を稼ぎ、上々の船出となった。日本を代表する漫画家、藤子・F・不二雄の『中年スーパーマン左江内氏』を原作に、テレビシリーズ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』や『明烏 あけがらす』などで、コメディに抜群のセンスを発揮する福田雄一氏が脚色・演出。しかも出演が堤真一と小泉今日子という豪華な布陣で、放映前から注目を集めていた。
「藤子・F・不二雄先生の大ファンで、とりわけ大人向けのコミックに先生の生きることへの希望や思いが込められている気がしていました。たまたま本屋さんで『中年スーパーマン左江内氏』というタイトルを見たときに衝動買いしたのがそもそものきっかけでした」(日本テレビ制作局プロデューサー 高明希氏/以下同)
『35歳の高校生』や『お迎えデス。』など、土曜ドラマ枠のプロデュースを手がけてきた高氏は藤子・F・不二雄の世界観、ストーリーは、この枠にぴったりはまると考えた。
「もっと大人も注目する土曜枠のドラマを作りたいと思っていました。藤子・F先生の子どもへの眼差しを持ちながら、大人に舵を切ったこの原作はまさに最適でした。幅広い世代が楽しめる、家族のドラマに仕上げることができますから」
◆堤真一の提案で、福田雄一監督&脚本が決定
企画の段階からキャスティングを考える高氏は、最初から主演には、たとえスーパーマンのような扮装であっても地に足の着いた大人の演技ができる堤真一をイメージしていた。
「この企画は堤さんしか考えられませんでしたが、日テレの連続ドラマに出演されたことがないので心配していました。ところが意外にも面白い!と引き受けていただき、脚本と演出に福田雄一さんはどうかと提案までされたのです。私も「勇者ヨシヒコ」シリーズや『アオイホノオ』(ともにテレビ東京系)のファンだったので、大賛成で、さっそく福田さんに連絡をとり、快諾をいただきました」
愛らしいダメな人ばかりが登場する福田氏の世界観と、人間愛に満ちた藤子・F世界の融合に、高氏は手応えを感じたと続ける。連続ドラマとして、主人公の家族の在り方からはじめ、次に会社と世界が広がっていく展開に仕立てたことには、広い世代にアピールする狙いがある。
「堤さんが演じる左江内氏の、愛すべき鬼嫁を考えたときに小泉今日子さんが頭に浮かびました。強烈なキャラクターだけれど、裏を返せば、夫への愛に溢れた役。小泉さんなら、その歪な愛情をいとおしく表現できると考えたからです。アイドル時代からのファンだった福田さんも大喜びで、脚本作りが進みました」
◆『逃げ恥』パロディじゃない! EDでの「ダンス」シーンは1年前から福田氏が熱望
高氏は、入社後に情報番組を担当していた経験がドラマ作りにも役に立っていると語る。
「ドラマが好きでテレビ業界に入ったのに、まず『ズームイン!!SUPER』の現場に配属されました。ここで懸命に培った“時代のトレンドを取り入れる”感覚が役に立っています」
情報番組で走り回る傍ら、ドラマの企画を出し続けた努力が報われ、ドラマ制作部に出向となった。
「この作品ではギャグや小ネタ、仕掛けを散りばめています。主題歌が三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEに決まった時点から、ラストは出演者のダンスシーンが良いと福田さんが熱望していました。福田さんの作品だから、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のパロディだと思われがちですが、実は1年前から決めていて、真似したわけではないんです。堤さんは踊りが苦手とのことでしたが、とても素敵なダンスでした」
豪華なキャストをはじめ、ギャグ満載。全編、世代を超えて楽しめるドラマを目指した高氏の思いが貫かれている。常に斬新な企画で勝負するプロデューサーとしての今後に注目しつつ、まずは『スーパーサラリーマン左江内氏』の成功を祈りたい。
(文:稲田隆紀)
(コンフィデンス 17年1月30日号掲載)
◆おとなも着目する土曜枠のドラマを目指した
1月14日から放映されている日テレ系土曜ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』は、初回が平均視聴率12.9%を稼ぎ、上々の船出となった。日本を代表する漫画家、藤子・F・不二雄の『中年スーパーマン左江内氏』を原作に、テレビシリーズ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』や『明烏 あけがらす』などで、コメディに抜群のセンスを発揮する福田雄一氏が脚色・演出。しかも出演が堤真一と小泉今日子という豪華な布陣で、放映前から注目を集めていた。
「藤子・F・不二雄先生の大ファンで、とりわけ大人向けのコミックに先生の生きることへの希望や思いが込められている気がしていました。たまたま本屋さんで『中年スーパーマン左江内氏』というタイトルを見たときに衝動買いしたのがそもそものきっかけでした」(日本テレビ制作局プロデューサー 高明希氏/以下同)
『35歳の高校生』や『お迎えデス。』など、土曜ドラマ枠のプロデュースを手がけてきた高氏は藤子・F・不二雄の世界観、ストーリーは、この枠にぴったりはまると考えた。
「もっと大人も注目する土曜枠のドラマを作りたいと思っていました。藤子・F先生の子どもへの眼差しを持ちながら、大人に舵を切ったこの原作はまさに最適でした。幅広い世代が楽しめる、家族のドラマに仕上げることができますから」
◆堤真一の提案で、福田雄一監督&脚本が決定
企画の段階からキャスティングを考える高氏は、最初から主演には、たとえスーパーマンのような扮装であっても地に足の着いた大人の演技ができる堤真一をイメージしていた。
「この企画は堤さんしか考えられませんでしたが、日テレの連続ドラマに出演されたことがないので心配していました。ところが意外にも面白い!と引き受けていただき、脚本と演出に福田雄一さんはどうかと提案までされたのです。私も「勇者ヨシヒコ」シリーズや『アオイホノオ』(ともにテレビ東京系)のファンだったので、大賛成で、さっそく福田さんに連絡をとり、快諾をいただきました」
愛らしいダメな人ばかりが登場する福田氏の世界観と、人間愛に満ちた藤子・F世界の融合に、高氏は手応えを感じたと続ける。連続ドラマとして、主人公の家族の在り方からはじめ、次に会社と世界が広がっていく展開に仕立てたことには、広い世代にアピールする狙いがある。
「堤さんが演じる左江内氏の、愛すべき鬼嫁を考えたときに小泉今日子さんが頭に浮かびました。強烈なキャラクターだけれど、裏を返せば、夫への愛に溢れた役。小泉さんなら、その歪な愛情をいとおしく表現できると考えたからです。アイドル時代からのファンだった福田さんも大喜びで、脚本作りが進みました」
◆『逃げ恥』パロディじゃない! EDでの「ダンス」シーンは1年前から福田氏が熱望
高氏は、入社後に情報番組を担当していた経験がドラマ作りにも役に立っていると語る。
「ドラマが好きでテレビ業界に入ったのに、まず『ズームイン!!SUPER』の現場に配属されました。ここで懸命に培った“時代のトレンドを取り入れる”感覚が役に立っています」
情報番組で走り回る傍ら、ドラマの企画を出し続けた努力が報われ、ドラマ制作部に出向となった。
「この作品ではギャグや小ネタ、仕掛けを散りばめています。主題歌が三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEに決まった時点から、ラストは出演者のダンスシーンが良いと福田さんが熱望していました。福田さんの作品だから、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のパロディだと思われがちですが、実は1年前から決めていて、真似したわけではないんです。堤さんは踊りが苦手とのことでしたが、とても素敵なダンスでした」
豪華なキャストをはじめ、ギャグ満載。全編、世代を超えて楽しめるドラマを目指した高氏の思いが貫かれている。常に斬新な企画で勝負するプロデューサーとしての今後に注目しつつ、まずは『スーパーサラリーマン左江内氏』の成功を祈りたい。
(文:稲田隆紀)
(コンフィデンス 17年1月30日号掲載)
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2017/01/28