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24時間テレビ、NEWSが危機を乗り越えられた理由

 パーソナリティーだった高畑裕太容疑者の途中降板など、スタート前から大きなトラブルに見舞われた『24時間テレビ39“愛は地球を救う”』(日本テレビ系)。会場である日本武道館はどうなるのか? 代役を立てるドラマは大丈夫なのか? そんな不安がささやかれながらも、同番組は無事に幕を下ろした。メインパーソナリティーは、NEWS。4人が様々な困難を乗り越え、全国に感動を届けられたのはなぜか? 武道館での彼らの様子から、その理由を探る。

『24時間テレビ』瞬間最高視聴率は35.5%、たい平ゴールシーン

『24時間テレビ』瞬間最高視聴率は35.5%、たい平ゴールシーン

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◆ドラマでは高畑容疑者の代役を小山が見事に務め上げた

 NEWSにとって、“24時間テレビ”のメインパーソナリティーは、実は二度目である。初めて彼らが起用されたのは、今から7年前の2009年。当時はまだ山下智久錦戸亮が在籍し、NEWSが6人だった時代である。もともとは9人で華々しくデビューしたNEWSだが、メンバーが1人抜け2人抜け、2011年には主力と言われていた山下と錦戸も脱退。グループ存続の危機を迎えたが、4人で話し合いを重ね、“応援してくれるファンのために”と活動継続を決めた。2012年には東京・秩父宮ラグビー場で復活ライブを開催。いまや6人時代以上の活躍を見せる彼らだが、その道は決して順風満帆だったわけではない。様々な思いを胸に、4人の“24時間テレビ”が始まった。

 初日、NEWSにとって大きな目玉となったのが、加藤シゲアキが主演したドラマスペシャル『盲目のヨシノリ先生〜光を失って心が見えた〜』だ。両目の視力を失った教師を、加藤は全力で熱演。急きょ代役として出演することになった小山慶一郎は、加藤演じるヨシノリ先生のリハビリ担当。訓練時はその命を守るために厳しく見守り、無事にリハビリを終えたときには、ヨリノリ先生と抱き合って喜んだ。代役が決まった際、「メンバーが困ったら、助けるのは当たり前のこと」と語っていた小山。時間のない中での撮り直しとなった経緯ともあいまって、ふたりの絆、そしてメンバー愛は大きな感動を呼んだ。

◆メンバーへのクレームも、何でも言い合える関係性があればこそ

 一方、4人のやりとりが笑いを生んだのは、『ド深夜の生しゃべくり!愛のクレーム処理1000本ノック007』。“ファンを子猫ちゃんと呼ぶ”“NGがない”など、何かと目立つ手越祐也に対し、小山ら3人は「同じだと思われると困る」と実例を語り、“NEWS=手越じゃない”とクレーム。だが、討論後のしゃべくりメンバーの総意は“手越は悪くない”という結果に。異論を唱える3人に対し、有田哲平が「じゃあ、“オレ、ピンになるわ”って手越くんが言ったらどうする?」と投げかけると、加藤がすかさず「それは困る、もうダメ」と3人で手越に土下座するという結末に至った。もちろんスタジオは大爆笑。観ている方も、NEWSそれぞれのキャラクターや関係性が伝わり、丁々発止のやりとりに笑顔になったのではないだろうか。とはいえ、一歩間違えばメンバーの関係性に軋轢を生みかねないこのやりとり。こうして堂々とクレームを言い合い、それを笑いへと昇華できるのも、グループ存続の危機の際に率直な気持ちをぶつけ合い、お互いをわかり合ったNEWSならではと言えるのかもしれない。

 そして翌日。すでに開始から14時間ほど経過するも元気いっぱいなNEWSは、朝8:35ごろメインステージで「24時間テレビ、盛り上がっていきましょう!」との掛け声とともに「weeeek」を熱唱。夕方には、佐渡海峡40キロの遠泳を目指す片腕の少女・岡部歩乃佳さんに向けて、「歩乃佳ちゃん、頑張って! 応援してます」という小山のメッセージに続けて、「希望〜Yell〜」を歌いあげた。どちらも“4人のNEWS”ではない時代の曲だが、応援ソングの多い彼らの作品の中でも、特に力をくれる2曲。晴れやかな4人の姿が、大きな力を生んだ。

◆“よさこい”は130人の円陣から 4人が作った歌詞にNEWSの思いが

 日も暮れ、武道館に東京都知事の小池百合子氏が訪れる中、始まったのが“よさこい”の大パフォーマンス。盲学校・ろう学校の生徒らとともに、早稲田大学の“踊り侍”とNEWSの総勢130名が、よさこいに挑戦。約2ヵ月前から、ろう学校には小山と増田貴久が、盲学校には加藤と手越がサポートのため訪れていたという。小山は、前回の“24時間テレビ”出演をきっかけに学んだという手話で、生徒たちとコミュニケーションをとっていた。

 VTRが流れている間に、4人は一緒に練習を積み重ねてきた生徒たちと、薄暗いステージでセッティングを開始していく。130人で円陣を組んで気合を入れると、パフォーマンス直前のCM中には、4人がそれぞれ生徒たちに声をかけ始める。最後に手越が「笑顔でね!」と叫ぶと、生徒たちは一斉に「はい!」と答えた。

 よさこいの生パフォーマンスは圧巻だった。青の着物を着たNEWSを先頭に、目の見えない、耳の聞こえない少年少女たちが舞台の上で踊りまくる。ときには目の見えない子たちの位置取りを、NEWSのメンバーが後ろで支えながらサポート。小山が「そいや!」と叫ぶと、NEWSが4人で作ったという歌詞が流れ始める。

 「負けたくない強い想いだけで この壁を越えてみせる 無理だと人は言うけれど これが私の生きる道だと胸をはって 笑って 愛をつないで」

 子供たちのために考えたというこの歌詞は、しっかりと心を励ますものとなっただろう。しかもこの言葉、決して綺麗ごとではない。“4人では無理だ”、そんな言葉に悔し涙を流しながらも復活を果たし、今に至る彼らである。波乱万丈な道のりを歩んできたNEWSだからこそ、伝えられる重みがあった。

 パフォーマンスが終わると、耳の聞こえない永井東子さんからNEWSへ感謝の手紙が読見上げられた。目を真っ赤にしていた手越と増田は、我慢できずに涙し、顔を覆ってしまった。加藤は口をきゅっと結び、小山も感極り、全員が目に涙をためていた。ステージからカメラが離れると、まずは小山と増田がハイタッチ。続いて全員でハイタッチを交わし、無事にパフォーマンスを終えたことを称え合い、舞台から去って次の準備へ。なかでも手越は最後までステージに残り、生徒たちと抱き合ったり、言葉をかけたりしていた。

◆オリラジ中田も絶賛、増田が涙した「フルスイング」の後は固い握手

 こうして、いよいよ番組はクライマックスへ。チャリティーランナーの林家たい平がゴールに近づき、グランドフィナーレは目前。そんな高揚感に満ちた会場でNEWSが歌ったのは、「フルスイング」だ。4人になった新生NEWSが最初にリリースしたシングル「チャンカパーナ」のカップリング曲である。

 ステージ上で4人が一直線に並び歌い始めるが、増田は今までの思いがあふれ出したかのように泣き出してしまう。ソロパートをなんとか歌おうとするが、どうしても声は震える。OA終了直後の囲み取材で彼は、「諦めずにやってきたことを感じていた」と語った。素直な感情は涙となって声を震わすが、その思いは小山、加藤、手越がしっかり引き継ぎ、歌に込めていく。途中、手越も上を向き、涙をこらえるような仕草を見せながら、ありったけの感情を歌にして届ける。小山は片手を挙げ、会場の隅々まで伝わるよう歌い、加藤も歌詞をかみしめるように声を張り上げていた。

 歌い終わった瞬間、4人で肩を抱き合ったメンバー。深々と頭を下げる増田を3人は覗き込むようにして、泣き笑い状態。映像がこん平に移ると、小山から手越に握手を求め、4人はそれぞれがっちりと握手を交わした。涙をこらえきれなかった増田に「うんうん」とうなずきながら司会席へと戻っていく彼ら。OA後、オリエンタルラジオ中田敦彦が「「フルスイング」のときのNEWSの4人の顔が忘れられない」と言っていたとおり、彼らの歌は多くの人々にたくさんの思いを届けた。

 再び“24時間テレビ”に帰ってきたNEWSは、見事にメインパーソナリティーを務め上げた。いろいろな困難にぶつかりながらも、そのたびに大きくなってファンのために復活した彼らだからこそ、伝えられるものがある。不安要素がある中のスタートだったものの、OA後に手越は、「僕らはドタバタに慣れてるんで」と言ってみせた。多くの困難を笑い飛ばすまでになるには、どれだけの努力が必要だっただろうか。乗り越えた先には、たくましさをも身につけた4人がいた。そんな彼らが届けるからこそ、今回のテーマ「愛〜これが私の生きる道〜」は重く響く。そう感じさせられた今年の“24時間テレビ”だった。
(文/今 泉)

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