“無限の樹形図”＝子どものいのちを救うことはたくさんの未来を救うこと。そんな信念を持つ若き小児外科医・西條命（みこと）を主人公に、日本の小児医療が抱える問題を正面から描く医療ドラマ『最上の命医2016』が、10日（後9：00〜11：09）にテレビ東京系で放送される。

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　『週刊少年サンデー』（小学館）で連載された橋口たかし氏の同名漫画が原作。2011年1月期に放送され、番組の公式掲示板には続編を希望する書き込みがこの5年間、途絶えることがなかった。主演の斎藤工も時折、掲示板を見て、「そこに綴られていた言葉は僕をすごくポジティブにしてくれた」といい、今回の続編放送決定の際には、斎藤たっての希望でマスコミ発表に先駆けて「西條命／斎藤工」としてメッセージを掲載。「続編を待っていてくれた人たちに良い知らせを届けられたことがうれしかった」と語っている。

　斎藤にとってはプライムタイム（午後7〜11時）に放送される連続ドラマで初主演を務めた出世作ともいえる。今回のスペシャルドラマにかける思いもひとしおだ。「僕のことを知らなくても、2011年のドラマ版を観ていなくても、原作漫画のファンの方、あるいはたまたまチャンネルを合わせた人にも、何か深いところで共感してもらえる自信があります」と充実した表情。

　主人公の西條は、患者を救うためにはリスクを顧みず困難な手術に挑む天才小児外科医。前のテレビシリーズで、西條自身も肝臓がんを患い、多発的転移で手の施しようのない状態に陥るが、アメリカで最先端医療の治験者となり、奇跡的に一命をとりとめる。

　スペシャルドラマは前作から5年後。アメリカから帰国した西條が臨時職員として働くことになった大手の慶良総合病院を舞台に、さまざまな患者を相手にその腕をふるい、奮闘する。「西條命の5年間と、僕たちキャスト・スタッフの5年間がリンクしているんです。経過した時間から生まれたものは活かすべきだし、そこが面白いと思いました」。

　特に、この5年間での医療の進歩、器械の開発は目覚しく、「メスを使った開腹手術よりも、内視鏡的療法や腹腔鏡手術が増えているそうで、医療ドラマの中で描かれるものも変化する。このドラマもある種の“現実”なんだと思いました。視聴者の皆さんが医療ドラマでイメージする従来のオペシーンに比べると出血も少ないし、画的に地味になってしまうところをいかにドラマチックに見せていくのか、ということも考えながら撮っていきました」。

　前作の最終回は東日本大震災（2011年3月11日）の3日後に放送された。未曾有の災害を経験した直後とあって、反響も大きかった。

　「僕らの仕事は作っている最中は、どこでどんな人にどう響くのかはわからない。企画立案時には狙いがあるのかもしれないけれど、フタを開けてみたら…なんてこともよくある。でも、この作品は『ドラマを観て、小児医療を目指すことにしました』と掲示板に書き込んで下さった方がいたり、誰かの、何かの、きっかけになった作品だったんだなということを主に掲示板を通じて知ることができた。改めて俳優という仕事のやりがい、責任の大きさを感じることができた作品でもありました」と思い入れたっぷりに語っていた。

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