ORICON NEWS

安全地帯、若い頃はつかみ合いのケンカも……長く続けられた秘訣とは

 来年結成35周年を迎える安全地帯のギタリスト、矢萩渉と武沢侑昴の2人がユニット・ワタユタケを結成。なにかと話題になっているクラウドファウンディングで限定CD『TWIN GUITAR』を発売し、目標を上回る達成。新たな販売スタイルに挑んだ彼らが、音楽業界の現状や安全地帯について語った。

安全地帯のギタリスト・矢萩渉と武沢侑昴がユニット・ワタユタケを結成

安全地帯のギタリスト・矢萩渉と武沢侑昴がユニット・ワタユタケを結成

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


◆音楽のあり方や聴き方が変わり、アーティストに誰でもなれるものになってしまった

――ファンからの要望により3月23日に完全版CDの発売も決定しましたが、今作には、安全地帯のカバーも収録されていますが。
【矢萩】 個人的には「時計」という曲をやりたくて。構成はすごくシンプルなんですけど、昔から良い曲だと思っていたんです。実際にインストで演奏してもいい曲だと実感したし、やっぱり玉置はすごいなって思いました(笑)。玉置には、メールでこれとこれをカバーさせてもらうという報告はしましたよ。「わかったよ」くらいの簡単な返事でしたけど、聴いてどんな反応をするか楽しみです。

――今回は、クラウドファウンディングというやり方での発売になったわけですが。
【矢萩】 最初は何のこっちゃ? という感じでした。でも、わからなかったからこそ、じゃあやってみようかなと思えたのも事実です。ただ、ファンも50代後半〜60代が増えていて、クラウドファウンディングと言われても、わからない人が多いだろうと思うので、実はそこが不安なところでもあります(笑)。でもまあ難しく考えるよりも、ネットで買い物をする感覚でいいんじゃないかなって思います。

――ただCDを作って売るだけでは、なかなか聴いてもらえない時代。おふたりは、そういう音楽の最前線に長年立たれていて、どんな風に感じますか?
【武沢】 どんどん売れなくなりましたね。もう6〜7年前からだと思います。ここ数年は、それがよりひどくなっているなと実感しています。もちろん売れている方もいるでしょうが、厳しいのが現状です。
【矢萩】 でもそれは、仕方のないこと。音楽のあり方や聴き方が、まったく変わったので。僕らが始めた30年くらい前は、アーティストというのは限られた人だけがなれる特殊な職業だった。それが今は、極端なことを言うと誰でもなれるものになってしまった。それだけ音楽が日常に浸透しているわけだけど、そのぶんアーティストの数もものすごくたくさんいる。そりゃあ、みんな大変ですよ。

◆若いときは、酒を飲んでるうちに、気がついたらつかみ合いに

――ところで、安全地帯は2017年で結成35周年とのこと。長く活動されてきた秘訣みたいなものは?
【矢萩】 よく聞かれますけど、まったく分からないです(笑)。彼(武沢)と玉置は中学校の同級生ですし、僕とドラムの田中は、6歳のころからの幼なじみで。1個1個までは覚えてないけど、もちろんケンカもありましたし。
【武沢】 若いときは、酒を飲んでるうちに、気がついたらつかみ合いになっていたとか(笑)。

――今回のように、そのときどきで新しいことを採り入れながらやっていくことも、長く活動する上で大事なことでしょうね。
【矢萩】 そうでしょうね。アーティストは、サメやイルカと同じで、常に泳いでいないといけない生き物なので。常に頭は柔軟にしてアンテナをいろんなところに張っています。それに昔のことにこだわっていると、それ以上いい音楽は作れない。古い考えを捨てなければ前に進めないのなら、どんどん捨てていくという考え方です。
【武沢】 それが、音楽を続ける上での楽しさにも繋がっています。
【矢萩】 特に安全地帯は、昔からそういうところがあって。楽器も含めて、すべてアナログだったものからデジタルに変わって行く、そのすべてを経験して来ました。レコーディングにデジタルを採り入れたのも、一番最初だったんじゃないかな。アイディアは、たいてい玉置が思いつきで言い出すんですよ。でも、彼は技術的なことには無頓着だから、彼のアイディアを実現するためにはどうしたらいいか、そのフォローは全部我々がやるわけです。だから、けっこう大変でしたよ(苦笑)。

――ちなみに今の若いバンドに向けて言いたいことは?
【矢萩】 何も言えるようなことはないですよ。僕らの時代と今では、あまりにもあり方が違いすぎるので。でも思うのは、我々の時代よりも今バンドを組むほうが、よほど大変ですよね。昔は、レコード会社や事務所がバンドを抱えて、ちゃんと面倒を見てくれたり育てたりしてくれていましたけど、今はそういうことをやってくれるところはないですから。1枚出してダメならハイさよならって感じ。昔は、いろんなところで人と人との繋がりがあって、みんなでなんとかしようぜっていう一体感や熱さがありました。でも今はすごくシビアと言うかクールになっている感じです。

(文:榑林史章)

関連写真

  • 安全地帯のギタリスト・矢萩渉と武沢侑昴がユニット・ワタユタケを結成
  • (左から)矢萩渉、武沢侑昴

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索