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批判強い名作リメイク、“続編”ものには視聴者も寛容?

 新ドラマ『ど根性ガエル』(日本テレビ系)の初回放送が視聴率13.1%と健闘。2話以降は数字も落ちてしまったが、原作アニメの16年後という設定で、個性派キャストの熱演がネットを中心に「意外におもしろい」と話題だ。さらに『おそ松くん』の10年後を舞台にした新作アニメも、今秋、27年ぶりに放送開始予定など、なぜかかつての名作アニメの“続編”が注目されている。果たして、その理由とは?

■リメイクは“安パイ”なコンテンツだが常に批判の的に

 そもそも『ど根性ガエル』の原作アニメが放送されていたのは、今から40年以上も前の1972〜74年。原作アニメをリアルタイムで観ていた視聴者は、少なくとも40歳以上にはなっている計算になる。これまでの数多くのリメイク作品と違っている点は、登場人物の名前や“ピョン吉”の存在など、当時の作品のリンクしているのは最小限の設定のみであること。16年後とうたってはいるものの、設定のみをベースにした全く別の作品といってもいいかもしれない。ニートとなってしまった30歳のひろしを演じる松山ケンイチをはじめ、満島ひかりが声を担当する平面ガエルのピョン吉、ヒロイン役の前田敦子、ひろしの母に薬師丸ひろ子――個性派キャストが、清々しいほどぶっ飛んだ新たなキャラクター、ストーリーを構築していく。ドラマを観た視聴者からは、「とことんぶっ飛んでほしい」という声も聞かれるほどだ。

 アニメに限らず、過去に人気を博した名作は当然ながら知名度もあるし、固定ファンがついている。つまり、ゼロからスタートするものと比較して当初からある程度は数字が見込めるため、リメイクは“安パイ”のコンテンツともいえる。しかし、過去の名作・人気作を、キャストやストーリーを現代風にマイナーチェンジしてリメイクするだけでは“過去の遺産にすがって…”と批判されることもあるし、原作のファンであればあるほど新しい作品に拒絶反応を示す人も多いだろう。リメイク作品がオリジナルを超えるなんてことは非常に稀であるし、比較対象があれば「昔のほうが好きだった」という気持ちになるのもごく当たり前のことだ。

■フォーマットだけを利用した“続編”設定ならば批判も少ない

 そこで、『ど根性ガエル』のようにあくまで原作に対するリスペクトは崩さずに“続編”として全く新しいものにしてしまう。かつてのファンも、とことん突き抜けた続編を“同じだけど違うもの”と捉えることができれば、数ある未来のなかのひとつと思えばいいし、作品の世界観を壊される不安をそれほど抱かずにすむ。まずは1話だけ観てみようかなと思う人も多いだろう。単純に元の作品をベースにキャストやスタッフを入れ替えただけのリメイクと比較すると、ある程度は寛容に見ることができるのだ。

 過去にもCMで『サザエさん』の磯野家の25年後を実写化した江崎グリコの「オトナグリコ」シリーズや、原作から20年後の『ドラえもん』のキャラクターを実写化したトヨタの企業CMシリーズなども記憶に新しいが、『サザエさん』のイクラちゃんがスーパーカーに乗ったイケメン社長に成長していたり、なぜかドラえもんをジャン・レノが演じていたりと、やはり原作の最小限の設定は守りつつも、どこか突き抜けた未来を見せたことで、視聴者にも概ね好感を持って受け入れられていた。原作の基本フォーマットを誰もが知っているからこそ、そこさえ守っていれば多少ぶっ飛んでいても作品のことを理解できるし、“遊び”的な要素を取り入れても許されるのだ。

 名作を“続編”としてリメイクすることは、番組制作者側が過去のヒットコンテンツをどう活用するか、散々頭を悩ませた末のひとつの答えとも言えるだろう。ここ数年、アニメの関係者から、ドラマ、映画、アニメなど原作モノの映像化が相次いだために、“原作の枯渇”が起こっているという話をよく聞く。しかし、膨大なコストをかけてオリジナル作品を製作したとしても、ヒットするとは限らない。過去のヒット作なら、すでに厚いファン層を形成しているかつての名作だけに、コンテンツとしての魅力は絶大だ。成功するか否かは、その内容が、原作ファンに受け入れられ、かつ新しいファン層にもアピールできる世界観を新たに構築できるかどうか。もしくは、核となる部分だけは守りつつ、とことんぶっ飛んだものにしてしまうか。今後、名作のリメイクは、“続編”として製作されるパターンがさらに増えていくかもしれない。
(文/五目舎)



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