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渡部陽一、戦場へ向かう理由明かす「中毒のような症状」

 戦場カメラマンの渡部陽一氏が13日、都内で行われた映画『アメリカン・スナイパー』(21日公開)特別試写会に出席した。同作の舞台となっているイラク戦争では米軍従軍での取材を体験したほか、ルワンダ内戦、コソボ紛争など幾度も戦場に自らの意思で足を運んできた渡部氏。その理由について「戦場に入れば、レバノンのベイルートでも、イラクのバグダッドで、もアフガニスタンのカンダハールでも、出会うカメラマンのメンツはほぼ重なる。現場に戻ってくる症状は、日本人の僕でもどの国のカメラマンも、兵士も誰もそこから逃れることができないと、前線に立つ兵士が口をそろえて言っていました」と引用しながら明かした。

戦場へ向かう理由を明かした渡部陽一氏 (C)ORICON NewS inc.

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 実際に、イラクで出会った兵士がアフガニスタンでも兵士として戻ってきていたという渡部は「同じ兵士が1年間の任務を終え、祖国に戻ることができても、また戦場に戻ってくる。これは中毒のような症状でもあると兵士はみんな言っていました」と回顧。「悲しい現実がある、世界史が音を立てて目の前で動いていく、その状況に身をおいた時、人はだれでもその現場に戻りたいという衝動に身体が侵されていくと言っていた」と言葉に実感を込めた。

 その症状はカメラマンで言えば“ウォーフォトグラファーシンドローム”という言葉で表されるそうで、「今も中東情勢は大きく動いている。世界は大きく動いている。その前線に立つ兵士の声が、僕にとって従軍カメラマンとして大きく影響を受けている。そんな出会いが最前線にありました」と静かに語った。

 同作は国を愛し、家族を愛し、それでも戦場を愛し続けた伝説のスナイパーの半生を描いた衝撃の実話。渡部氏は「どの戦場でも戦争の犠牲者はいつも子供たち。民族、領土や宗教、様々な理由で戦争が起こっていますが、最前線ではそこに残されて暮らさざるを得ない人々、たくさんの家族、子供たちが犠牲になっている」と話し、「情報統制や国境封鎖によって紛争地の中でなにが起きているのかわからなくなるなかで、そこで泣いている子供の声を一人だけでも世界の方に届けることができた時、日本であっても国際情勢とつながることができる。カメラマンとして丁寧に世界の声を記録に残していきたい」と強い使命感を口にした。

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  • 戦場へ向かう理由を明かした渡部陽一氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 「カメラマンとして丁寧に世界の声を記録に残していきたい」と強い使命感を口にしていた (C)ORICON NewS inc.
  • 映画『アメリカン・スナイパー』特別試写会に出席した渡部陽一氏 (C)ORICON NewS inc.

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