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リアリティショー初の映画化『テラスハウス』 テレビと映画の違いは?

 バラエティ番組放映時から何かと話題になり、出演者はのちにメディアで常に注目を集める人気者になっていた『テラスハウス』(フジテレビ系)。その映画化のニュースは賛否を巻き起こしていたが、リアリティショーである同番組の映画化作品は、これまでのバラエティの映画化とは異なる作品に仕上がっている。バラエティ映画化の流れと、同作のテレビと映画版の違いとは?

菅谷哲也(てっちゃん)の“最後の物語”(C)2015 フジテレビジョン イースト・エンタテインメント 東宝 電通 FNS27社

菅谷哲也(てっちゃん)の“最後の物語”(C)2015 フジテレビジョン イースト・エンタテインメント 東宝 電通 FNS27社

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◆バラエティ番組発の映画化企画の流れ

 2012年10月から2年間、海の見えるオシャレなシェアハウスで共同生活を送る男女6人の“リアル”を映して話題を集めたテレビ番組『テラスハウス』。その後を撮影した映画『テラスハウス クロージング・ドア』が2月14日から公開される。

 毎週金曜午後11時からという遅い時間帯の放送でありながら、最高視聴率は9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。人気の理由は、総勢22名の若者たちの恋愛模様を眺めつつ、視聴者の気持ちを代弁するように絶妙にツッコミを入れる、スタジオでの掛け合いのおもしろさにあった。YOU、トリンドル玲奈、アジアンの馬場園梓、南海キャンディーズの山里亮太、チュートリアルの徳井義実、三代目J Soul Brothersの登坂広臣の計6人が展開する赤裸々トークには、若者たちのリア充ライフ以上にハマったファンも少なくないだろう。そういう意味では、コメディ色の強いトークバラエティ番組とも言える。

 ドラマからではなく、バラエティ番組発の映画化といえば、過去に『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系)から誕生した、全編インドロケ映画『ナトゥ踊る! ニンジャ伝説』(2000年)や『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)から生まれた『矢島美容室 THE MOVIE〜夢をつかまネバダ〜』(2010年)などがあった。

 昨年は、ゲームバラエティ番組『ゲームセンターCX』(フジテレビCS)の番組10周年、ファミコン30周年の節目を記念した映画『ゲームセンターCX THE MOVIE』が公開。また、『ゴッドタン』(テレビ東京系)の名物企画「キス我慢選手権」から生まれた『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』(2013年)はスマッシュヒットし、シリーズ第2弾『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』(2014年)も生まれた。

 もともとは番組のキャラクターを主人公にした新たな物語やアナザーストーリーとして映画化されていたが、ここ最近では番組企画に脚色を加えながら物語性を作り出しつつ、テレビとしても成立する、内容的にオリジナルに近いままスクリーンに持ってくる作品も登場している。しかし、今回の『テラスハウス』に関しては、後者に近いようだが、それとも異なる作品に仕上がっている。

◆『テラハ』映画版がテレビと一線を画する2つのポイント

 ドラマ以上に長い歳月をともにして、番組を作り上げてきたスタッフ、キャストが一丸となり、作り上げる映画となれば、映画ならではのスケールアップ感に期待が高まるというもの。『テラスハウス クロージング・ドア』については、先日放送された『テラスハウス、プレイバック……映画公開記念! 真夜中のてっちゃんSP』(フジテレビ系)番組内で、YOUと山里が「『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(“後味の悪い映画”としてよく名前が上がる、ラース・フォン・トリアー監督作のデンマーク映画)以来の衝撃!」という意味深なコメントとともに「興収10億円!」を目標に掲げた。

 映画版『テラスハウス』には、テレビ版とも従来のバラエティ番組とも一線を画する2つのポイントがある。そのひとつは、台本が用意されていない“リアリティショー”仕立ての側面が強いこと。つまり『テラスハウス クロージング・ドア』は、日本初のリアリティショー番組発の映画化でもあり、今回の映画化では、そのニュアンスが強い印象を受ける。例えば映画では、テレビ版とは異なり、VTRの再生中には副音声によるスタジオからの実況中継を入れず、途中で画面ごとスタジオに切り替え、おなじみのスタジオメンバーの忌憚のないトークを繰り広げていくスタイルが取られている。テラスハウスとスタジオをはっきりと区切ることで、スタジオメンバーは、より客席に近い、客観的なポジションに立つ。彼らのテレビ時代のネタを盛り込んだ、愛のある指摘が、狭い家のなかで混戦し、ヒートアップしていく恋愛模様の状況整理と箸休めにも、一役買っている。

 ポイントの2つめは、新たな出演者のポジション。今回のメンバーは、番組開始時から『テラスハウス』で暮らし続ける“テラハの寅さん”こと俳優の菅谷哲也、会社員でグラビアアイドルの松川佑依子ほか6人。このなかで、テレビ時代にも出演していた、モデル志望の島袋聖南や、映画化に合わせてムック本を出版する、編集者・小田部仁の存在は、『テラハ』ヒストリーを辿っていく役割も担っている。とくに小田は、ムック本の取材という形で、歴代メンバーたちを巧みに巻き込みつつ『テラハ』における青春と恋の変遷を簡単におさらいすることで、テレビ番組を見逃したビギナーにも、映画をより楽しめる構成にする。

 図らずも今回もまた、ラブバトルに参戦することになる歴代メンバーの今井洋介や、スタジオでYOUや馬場園が萌えトークに花を咲かせた、史上最年少メンバーの吉野圭佑、山里から“悪女”の称号を与えられた松川の恋愛モンスターっぷり、そしてスタジオメンバーがずっと見守ってきた、てっちゃんの恋の行方は……? 今回も見どころ(ツッコミどころ)は満載だ。彼らがリアルな青春を駆け抜けて、『テラスハウス』から卒業する姿が、劇場で映し出される。

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